19世紀に引き戻してくれるロシアの町(写真特集)

Delivery Club
 想像してみてほしい。現代都市でありながら、店には革命前の看板が掲げられ、通りをいく配達員はレトロな外套に帽子をかぶっている・・・。ルイビンスクにようこそ。ここはヴォルガ川沿いにある古い商業都市を再現した町なのである。

ルイビンスクの中心部

 ルイビンスクはモスクワの北方320キロ、ヤロスラヴリ州にあった商業都市で、町の中心部にある通りが150年前の姿に蘇っている。ここでは古い建物が多く残っており、数年前に市政府がそこの会社、店舗は看板を革命前の形式にしなければならないと決定した。今では、人々がこのヴォルガ沿岸のこの町の歴史的な通りの写真を撮るためにやって来る。

 すべては2017年に始まった。ドミトリー・クズネツォフという地元のデザイナー兼音楽家の男性が、この町を落ち着きのある昔の姿に戻すと言うアイデアを思いついたのである。

 それまでは、古い建物に入っている商店や会社が現代的な看板を掲げており、建築と街のデザインとが調和していなかった。

 まずクズネツォフさんは、ロシア帝国時代のような古いロシア語のアルファベットを使って旗を作ることを提案した。そしてそれをひとつずつ実行することによって、町の中心部は19世紀後半の写真にあるような姿を取り戻した。彼はこのプロジェクトを旧式スタイル看板野外博物館とよんだ。

 ある出版社と化粧品店が最初にこの試みに賛同した。クズネツォフさんは、「木と亜鉛メッキ鋼板が基本だが、昔のようなオイルペイントを使わず、アクリルペイントを使った。大切なことは、手描きであることで、画家が描くことです」と説明している

 その後、このクリエイティヴな考えが、地元政府の支援に結びついた。そしてその地区のすべての会社が同様の形式で看板を作るようになった。クズネツォフさんはグループを作り、こうした看板のデザインルールを策定した。

 デザイナーたちは教本を使って20世紀初頭のロシア語の綴りの研究をした。現代のロシア人がそこに書かれてあることを即座に理解できた訳ではなかったが、少し考えればわかったという。そしてそれこそが正真正銘のロシア語に思われた。

 これまで、200以上もの看板が架け替えられた。費用の一部は市が支援している。

 中にはさらに先を行く会社もいくつかあった。ある配送会社はこのレトロな町の配達員はレトロな服装であるべきだと考えた。そこで現代的なフード付き上着がクラッシックな外套に変更され、現代的なバックパックの代わりに皮のストラップが付いた箱が使われている。もし、帝政時代にフードデリバリーのアプリがあったとしたら、まさしくこのようなスタイルだったに違いない。しかし、この会社でも、いつもこの格好でデリバリーされるとは限らないとしている。なぜなら当然ながら現代風なスタイルの方がより便利だからだ。しかしときどき、こうした歴史を感じさせる服装の配達員が姿を表すこともある。

レトロな服を着ているルイビンスクの配達員

 19世紀への旅はルイビンスクに行く途中から始まる。毎週土曜日には、ヤロスラヴリから蒸気機関車が運行されている。過去への旅をお楽しみあれ!

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