ロシアの皇帝の一日:起床から就寝までのルーティン

ツァールスコエ・セローで新聞を読んでいるニコライ2世、1902年

ツァールスコエ・セローで新聞を読んでいるニコライ2世、1902年

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 19世紀のロシアの皇帝は、帝国の第一の文官にして軍人だった。その儀式上の義務ひとつとってさえ、極めて複雑でしかも定期的に繰り返されたから、それだけでも頭がおかしくなりそうな負担だった。

 ロシアの皇帝は、現代のオフィスマネージャーさながらに働かなければならなかった。ロシアの歴史家、イーゴリ・ジミン教授の助けを借りて、3人の皇帝の典型的な平日を見てみた。ジミン教授は、19世紀ロシアの皇帝数人のルーティンを入念に研究している。

 皇帝の日常は季節によって変わる。冬には、皇帝は帝都サンクトペテルブルクの冬宮殿に住み、夏には、皇帝一家は帝都近郊のツァールスコエ・セロー、ペテルゴフなどの離宮に移った。

 ジミン教授は、皇帝がそれぞれの日課を始める時間を正確に突き止めようとしているが、それはもちろんおおよその推定だ。にもかかわらず、すべての皇帝は定期的なスケジュールを厳守した。 そうでなければ、広大なロシア帝国を統治することは不可能だっただろう。

ニコライ1世:模範的に精励した皇帝(1825~1855年)

『クリミアからの手紙』、コズロフ画家。冬宮殿でデスクワークを行っているニコライ1世。

 ニコライ1世の日常は、彼の息子、それから孫にとって、日常生活の模範となった。多くの同時代人は、ニコライのルーティンが大変シンドイものだったという意見だが、それはこの皇帝の人生観によるものだった。ニコライは誰も信用せず、すべてを自分で再確認すべきだと考えていた。以下に、ニコライの日々の「日課」のごく正確なリストをまとめた。

 午前

7時:起床、洗面、入浴。

7時30分:宮廷医による毎日の健康診断。

7時30分~8時:お茶と5本のピクルス。

8時:大臣の毎日の報告会に出席。

10時~11時:ネヴァ河畔を、護衛なしで朝の散歩をする。シンプルな軍服を着た皇帝は、道すがら知り合いや友人に気軽に挨拶する。

 午後

午前11時〜午後1時30分:皇帝の執務室で、公式の書類の決済、処理などデスクワークを行う。

1時30分~3時30分:徒歩または馬車で帝都を巡回。国の様々な機関を訪問して検査する。毎日の皇帝の視察により、サンクトペテルブルクの国家機関は常に緊張状態を保った。

『橇に乗っているニコライ2世ニコライ1世』、ニコライ・スウェルチコフ、1850年代

4時:正餐をとる。

5時~7時:皇帝執務室でさらにデスクワーク 。

7時30分:家族全員とお茶を飲む。

8時~11、12時:社交の時間。具体的には、レセプション、訪問、舞踏会、劇場、仮面舞踏会など。皇帝は、これらの機会を、世間話や外国使節との秘密交渉に利用した。

 午前

11、12時~午前1、2時:皇帝執務室でさらにデスクワーク(これはしばしば、皇帝が机の上で寝込むことで終わった)。

2時:夜の祈祷と就寝。

アレクサンドル2世:リラックスした日課をこなした皇帝だったが…(1855~1881年)

アレクサンドル2世(1818-1881)

 ニコライ1世の息子、アレクサンドル2世は、成人するや公務に慣らされた。ニコライがしばしば、息子にあまり重要でない国務を任せたからだ。

 しかし、アレクサンドルが皇帝になったとき、彼のルーティンは父親のそれとはちょっと違った。アレクサンドルの日々の最も目立った特徴は、落ち着き、のどかさ、あるいは吞気さだろう。それは、戦争、暴動、蜂起、経済不安などの厳しい出来事を前にしてのものだった。

 アレクサンドル2世の死でさえ、ある程度は彼の吞気さと関係している。最初の爆弾が炸裂した後、彼は、負傷した暗殺者(と思われる男)と話をするために、わざわざ馬車から降りた。そこへ、二つ目の爆弾が爆発し、皇帝を殺した。 

 午前

10時以前:起床、洗面、入浴、朝食

10 時:大臣の毎日の報告会に出席(正教の祭日および国の祝日でさえも)。

 午後

午前11、12時~午後6時:国および宮廷の行事。父ニコライとは異なり、アレクサンドルは、視察やデスクワークの時間を決めていなかった。彼は、国の他地域への旅先でさえ、できるときには働いた。そういう場合は、アレクサンドルは書類を自分のもとに届けさせた。しかしアレクサンドルはいつでも「仕事の休止」を宣言する可能性があった。こういう休憩中には彼は、誰に対しても「仕事」について話すことを禁じた。

6時:正餐をとる。

7時:社交の時間。レセプション、訪問、舞踏会、劇場など。

ニコライ2世:適応力のあった皇帝(1896~1917年)

ニコライ2世、1900年

 父帝アレクサンドル3世が急死し、皇帝としての責務がいきなりニコライにのしかかった。しかし、彼は速やかに自分の仕事の日課を作った。

 午前

8時30分:起床

9時:私室で手早く朝食をとる。

9時30分~10時:公園を散歩する。

10時:3人以下の大臣から3つ以下の報告を聞く。報告の後は会合。会合の後は、選ばれた訪問客と会見。

 午後

1時:皇后および客と「正式の」朝食。

2時:私室で、皇后、友人とともにお茶。

2時30分~4時:子供たちと長い散歩。

4時:報告を聞く。公務のデスクワークをする。

5時:家族とお茶。

5時30分~8時:さらに報告を聞き、デスクワークをする。

8時~9時:「正式の」正餐。しばしばレセプション。

正餐後:政治の話は抜きのプライベートタイム。

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