「ワーシカは、話は聞いたけど食べてるよ」:この慣用句の意味と由来は?

ロシア語
アンナ・ポポワ
誰かが他人の指摘や批判に反応せずに自分の主張に固執するとき、その人についてこう言う。「ワーシカは、話は聞いたけど食べてるよ」 “А Васька слушает, да ест”。これはつまり、人が控え目な批判、反対には鈍感で、自分がやり始めたことを続けることを意味する。

 この慣用句が生まれたのは、寓話作者イワン・クルィロフ(1769~1844年)のおかげだ。1813年に彼は、料理人について韻文の教訓的な物語を書いた。料理人は、猫のワーシカを当てにして、自分の留守中は、この猫がネズミから食べ物を守ってくれると期待していた。ところが戻ってみると、猫は食べ物をすっかり食い終えるところだった。

 

「猫のワーシカはずるがしこい!猫のワーシカは泥棒だ!

だから、ワーシカは調理場だけじゃなく、

庭に入れるのもだめだ、

羊小屋に貪欲な狼を入れるようなものだ

こいつは、こういう場所じゃ厄介ごとをまき散らす疫病神みたいなもので、とにかく害悪だ!

(ワーシカは、話は聞いたけど食べてるよ)」

 

 こうした状況での似た表現として、「彼は耳をピクつかさえしない(彼は聞く耳さえもたない)」 “он и ухом не ведет” がある。つまり、まったく注意を払っていないということだ。