ロシアで最も奇妙な食習慣7つ

ロシア料理
ロシア・ビヨンド
 最近のロシア人はより健康的な食事をするようになってきているが、多くの人はいまだに自分自身や親の世代がソ連時代にやってきた食習慣を続けている。当時は、新鮮で体に良い食糧が慢性的に不足しており、人々は自分たちで安価で、カロリーが高く、それでいてヘルシーな食事を考えだす必要があったのである。

1. なんでもパンと一緒に食べる

 ロシア人は家にパンを切らすことはしない。これにはいくつかの理由がある。まず、ロシア人はサンドイッチが大好きである。正確にいえば、これは「ロシア風」サンドイッチ、『ブッターブロート』(ドイツ語の「バター」+「パン」から来ている)である。ブッターブロートは通常薄く切ったパンに、お好みでバターを塗って、ソーセージのスライスかチーズ(大みそかにはイクラをのせることもある)など簡単なものをのせて食べるというもので、大事なことは手早く作れることである。

 しかし、ブッターブロートはちゃんとした一品料理とは考えられておらず、スナック扱いとされている。「乾いたものを食べてはダメ!」ロシアではおばあちゃんや母親がよくこう言う。そのため、ブッターブロートを食べる時は、必ず、紅茶やコーヒーなどの飲み物を一緒が出される。

 ブッターブロートを甘くして食べることもある。ソ連時代、「素早く」朝食を取りたいときにはブッターブロートにカシスジャムをつけて食べることが多かった。カシスは豊富に入手できたのでロシア人はこれを使ってよくジャムを作った。

 次に、パンはほとんどの食事、料理に必ずついてくる。ランチであれディナーであれ、スープであれ(これは確実に!)、メインディッシュであれだ。この習慣のルーツをたどるには深い歴史的背景がある-ソ連時代、多くの地域では第二次世界大戦前と戦中に飢餓におそわれた。そのため、ロシア人の伝統的な食べ物であるパンが、どの料理にもカロリーを補給してくれるスーパーフードとなった。あるいは何か月もそれしか食べるものがないこともあったのだ。

 戦争を体験したおばあちゃんの中には、パンをスイカと一緒に食べたこともあると言う!しかし今の若い世代は、それと反対に、太るから、体形を保ちたいからと言って、パンを食べないのが普通になっている。

2. スープがなければランチではない!

 ソ連時代のランチは伝統的に3品と甘い果物のコンポート飲料から成っていた。3品とはサラダ、スープ、メインディッシュである。これがロシアのレストランのランチメニューで一般的に提供されるものであった。

 野菜サラダにひまわり油もしくはマヨネーズをかけたものは消化に良い。温かいスープは体をあたためてくれるだけでなく、健康的な脂肪分が豊富だ。そしてメインディッシュは炭水化物と蛋白質(パスタ、チキン、肉料理とマッシュポテト、魚料理と米、など)の重要な供給源である。そして最後に、ベリー類や果物を使った飲み物からは必要なビタミン類を摂取できる。

 このような3品料理はソ連当局によって工場労働者向けに考案された。彼らは1日の労働のために十分なエネルギーが必要であったからだ。そのうち、この方式は学生、生徒、幼稚園児やオフィスワーカーにも広まり、同じ食事を食べるようになった。

 ロシアには有名はことわざが2つある。1つは「パンはすべてのものの頂点」、そしてもう1つは「スープはすべてのものの頂点」である。そう、ランチは濃厚で温かいスープがなければ物足りないとされるのである。そういう訳で、小さい子供はランチにスープだけ与えられる。不足がちになる水分補給だけでなく、脂肪酸、野菜繊維を簡単に取ることができるからだ。

 ロシア人がつくって飲むスープにはいろいろな種類がある。たとえばビーツのボルシチ、キャベツや酢キャベツのシチ、エンドウ豆のスープ、魚のスープ、ヌードル入りチキンスープなどだ。

合わせて読みたい:ロシア人はなぜそれほどスープにやみつきなのか?>>>

3. ちょっと変わった温かい「スープ」と冷製「スープ」

 暑い夏に温かいスープを飲みたい人はそう多くはないだろう。しかし、ランチにはすでにスープはつきものになっている。そんな訳で、ロシア人は冷たいスープを考え出した。それが「オクローシカ」と呼ばれる夏のスープだ。細かく切ったゆで卵、新鮮な野菜(キュウリ、青葉野菜、ラディッシュ)や肉やソーセージを茹でたものなどを入れてつくる。これらの材料を混ぜ合わせて、発酵飲料-クワスやケフィール(!)をかけて食べる。外国から来た人は最初はこの奇妙すぎる料理だと我慢がならないが、慣れるにつれて好きになっていくのである!(中には見るのも嫌だと言う人もいるが・・・)。

 海外の読者の中にはロシア人は朝食にもスープの飲むと知り、驚く人もいる(これは現実にはあまりなく、二日酔いの時に「スープを飲みなさい!」と言われることによるのだろう)。しかし、もうひとつ、突拍子ものないスープ料理がある。朝食時に子供によく出されるものだ。それはヌードル入りミルクである(文字通り、温めたミルクにパスタを入れたもの)。

4. あらゆるものに・・・砂糖を加える!

 パスタはミルクをかけて食べるだけでなく、砂糖も振りかける!正気の沙汰とは思えないが、多くのロシアの子供はこの簡単な料理がほんとうに大好きなのだ。もし、子供があまり食事をとってくれない時には、この料理を出すことで、カロリー補給することができる。そして、あまりお金を使いたくない時には、これでディナーとデザートを一皿で済ませることができる。

 砂糖は、蕎麦、雑穀類、カラスムギなどを使ったあるゆるお粥にもかけられる。そして、パン、スープ(酸味を抑えるため)をはじめ、オムレツ、「トヴォーログ」(カッテージチーズ)や他の多くの料理にも多くかけられる。ソ連時代、長い冬の間、果物、野菜で新鮮なものが手に入らない時には砂糖をかけることは、簡単で安く食事を美味しく食べる方法だったのである。

5. 何も残さず食べる、食材を無駄にはしない!

 最近では多くのロシアの若者たちが摂食障害に悩まされている。心理学者らはお腹がいっぱいのときには食べるのをやめるようアドバイスしているが、お皿の上に食べ物が残ったままにしておけないという人がたくさんいる。というのも、祖父母や両親が出されたものを残してはいけないと教えてこんできたからである。

 ソ連初期の飢饉の時代―とりわけレニングラード封鎖について知っている人々は食べ物を残したり捨ててはならないと考えている。なぜなら次いつ食べることができるか分からないからである。

 子供がお皿の上に食べ物を残していると、母親たちは大声で叱る。それもったいないからでもあり、また料理をしてくれた人(つまり母親や祖母)に対して失礼なことだからでもある。さらに、世界中にいる数百万の飢えた人々のことを考えるのは当然のことである。

 中でもパンを無駄にするというのは、罪とされている。そこで固くなったパンも調理に使われたり(カツレツ用のパン粉にするなど)、クルトンを作るのに使われたりする。

6. マヨネーズたっぷりのこってりサラダ

 ロシア料理と言って最初に思いつく狂気の一品と言えばなんだろう?おそらく、一番に思いつくものの一つが「毛皮を着たニシン」サラダだろう。

 物議を醸すもののこの今でも人気の高いこのサラダは、油っこくて塩辛いニシンに、細くおろしたビーツ、ジャガイモ、ニンジンと大量のマヨネーズの「毛皮」をまとわせたものである。

 実際、ソ連の主婦たちがマヨネーズを加えていた(そして今でも作られている)サラダはまだまだたくさんある。家庭の「シェフ」たちは、奇妙な食材の驚くべき組み合わせを使った独自の料理を考案した。野菜、肉、米、魚・・・それらすべてを一つのボウルに入れるのである。なぜってマヨネーズがこれらを一つにしてくれるからである。

7. 甘いものを食べながら何時間もお茶の時間を過ごす

 「ロシア人はケーキやいろいろな餡が詰められていたり乗せられているパイを食べるのが大好きだ」と別の読者も指摘しているが、実際、その通りなのである。ロシア人はパイや焼き菓子、クッキー、チョコレート、キャンディーが本当に好きだ。ロシア人の家を訪ねることがもしあったら、何か「お茶」に合うお菓子を持っていくと、より温かく歓迎されるだろう。

 お茶を飲むというのはロシアの民族的伝統であり、特徴である。朝にはお茶(そう、コーヒーではなく!)、休憩時間にもお茶、ディナーの後にもお茶、あるいはディナーの代わりにお茶を飲むことさえある。お茶の時間というのは、単にお茶を飲むためのものではなく、長い時間をかけた心のこもったキッチンでのおしゃべりタイムである。お茶を飲みながら過ごす長い夜は、皇帝の時代に生まれたもので、人々はお茶を飲み、おしゃべりに花を咲かせながら、大量のお湯を沸かす「サモワール」(ロシアの巨大な金属製のポット)で暖を取ったのである。

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