ロシア、モルドヴィア地方のふわふわのキビ粉のパンケーキの作り方(レシピ)

ロシア料理
ユリヤ・ムリノ
 ロシア正教の大斎前の1週間には、いろいろなパンケーキが焼かれる。その中でももっともふわふわでスポンジのようなパンケーキ「パチャット」は、モルドヴィアで作られている。

 パチャットはモスクワの南東450キロに位置するモルドヴィア地方の特別なパンケーキだ。パチャットは小麦粉に加えて、キビ粉、エンドウ豆粉、そば粉もしくはセモリナ粉を入れることによって濃厚さとふわっとした形状となりそれが特徴となっている。

 パチャットは酵母を使って焼かれるので、大きなスポンジのような形になる。その厚みは2.4センチほどになるが、それはフライパンで焼く生地の厚さによる。パチャットには一般的にバターを塗ることが多いが、それは表面の大きな気孔に中に沁み込んでいく。

 異教徒による支配の時代は、パンケーキは生贄用のパンだった。しかし、今ではモルドヴィアのトレードマークと言っていい。この地方の首都であるサランスクに行けば、この厚めのパンケーキを出すファーストフード店が数多くあるのがわかる。伝統的に、ここを訪れる人は、祝日の為かもしくは平日であっても家族のために焼いて高く積み上げられたパチャットに迎えられる。

 もっとも一般的なパチャットはキビを使ったものだ。それにも2種類あって、バターにキビ粥を加えて作るものと、キビを粉にして小麦粉に加えて作るものがある。ここでは2番めの焼き方を試して見よう。

 パチャットを作ることは家庭でキビを初めて食べるのにとても良い機会だ。健康にも大変良いキビは、体内の有害な毒素や抗生物質を取り除き、重要な大小の成分を満たしてくれる。キビ料理は、特に糖尿病や動脈硬化の対策によく、肝臓、膵臓、心臓血管や神経系の機能改善にも役立つ。ケイ素やフッ化物が多く含まれているため、キビは骨、歯、髪、爪を強くしてくれる。また、微量の銅は、筋肉と骨に弾力を与える。私がこの健康的な食品を好むのはおのマイルドな味とその黄色が楽しいからでもある。

 パチャットはあまり甘くないので、甘味はトッピングでつける。酵母は少しパンケーキを酸っぱくする。弾力はあまりないので、巻くのはあまりお勧めではなく、半分に折るか、ナイフで切り分けるのが良い。蜂蜜、サワークリームかジャムと食べると美味しい。

 最後に、もちろん、このふわっとしたパンケーキは春の太陽に似ているので、マースレニツァのお祝いにぴったりである。

パンケーキ(直径18センチを810枚分)

作り方:

1. きび粉は洗って、ペーパータオルで水気をとる。

2. 弱火にかけてフライパンで乾燥させる。常に混ぜ続けること。

3. きび粉を潰し、小麦粉に加える。

4. 温かい牛乳にイーストを溶かす。

5. 卵、砂糖、塩をボウルに入れ、泡立てる。

6. 小麦粉ときび粉を混ぜる。

7. 牛乳と小麦粉と卵を合わせる。

8. かき混ぜたら、ラップをして、1時間半〜2時間暖かい場所に置く。

9. パンケーキ型に入れる。

10. 鉄板で焼く。

11. パンケーキにバターを塗る。

12.ハチミツ、サワークリーム、ジャムなどを添えていただく。