ダンプリング(ロシアではペリメニと呼ばれる)は、ロシアの多くの地域で常に人気の温料理である。時にはスープにも入れられることがあり、ロシア連邦で2番目に人口の多い民族グループであるタタールではまさにそのように食されている。
クリミアのタタール人の間では、小さな自家製ペリメニを肉のスープに入れたものをカシク・アシ(スプーン・スープ)と呼ぶ。実際に、家庭の主婦の料理の実力はスプーンひとつで推し量られるのである。スプーンに乗せられるダンプリングの数が多ければ多いほど、その若い主婦の料理の腕は高いと考えられる。
「若い」と書いたのには訳がある。このスープは結婚適齢期の女性が将来の義母や、結婚相手の側の女性親族たちにその技量をアピールするよう作られるからだ。ヴォルガ地方のタタール人の間では、肉汁の入った小さなダンプリングは新郎のための料理だと考えられており、これで、女性は料理の腕前を披露することになる。
実際にこの料理は数多くの薄生地の極小ダンプリング (サイズは指ぬきや指輪によって決まる)でできていて、それが骨付き肉や野菜で煮込んで作ったブロスに入っている。調理後、煮込んだ骨付き肉や野菜は取り除くが、そこに多くのハーブやサワークリームを加えて食する。
ひとさじのスプーンに6個から12個のダンプリングが入れば、完璧なスープの出来上がりである。ご想像の通り、このダンプリングを作る作業は大変な骨折りで、このテストをパスするにはとても難しいとされている。そんなタタールの伝統料理を一緒に作ってみよう!
材料(8人分):
生地:
水 300ml
小麦粉 700g
塩 小さじ1
植物油 大さじ3
フィリング:
ひき肉 800g
タマネギ 2個
塩 適宜
ブラックペッパー 適宜
卵 1個
ブロス(スープ):
ニンジン 1本
タマネギ 1個
刻んだ葉物野菜 大さじ3
ニンニク 2片
塩 適宜
ブラックペッパー 適宜
植物油 大さじ½
バター 20g
ローリエ 2枚
盛り付け:
ハーブ 適宜
サワークリーム(15%) 適宜
挽いたブラックペッパー 適宜
作り方:
1. ふるった小麦粉、お湯、塩、植物油で生地をこねる。後でのばして形成するときに小麦粉を足さなくていいように十分に粘り気がありつつ、手にくっつかない状態にする。
2. こねた生地はラップで包んで、冷蔵庫に入れ、60分休ませる。
3. フィリングを作る。タマネギは細かく刻む。
4. ひき肉と一緒にボウルに入れ、スパイス、塩、卵1個を入れる。水は加えない。
5. のばした生地をカットし、1.5〜2 cmの縁がある正方形に生地をのばす。 それぞれにひき肉を置き、包むようにして、周縁を閉じる。最後の部分はひだを2〜3ヶ所作り、それから全体をしっかり閉じる。これとは違うダンプリングの閉じ方の方がやりやすければ、それでもかまわない。
6. 形成したダンプリングに小麦粉をはたく。全部で200個(そのうち100個を小さめにする)できる。ここでは大きめの方を冷凍庫で保存する。
7. 次にニンジンとニンニクの皮をむく。ニンジンはおろし器でおろし、タマネギ、ニンニクはお好みでカットする。
8. スープ用の鍋に植物油とバターを入れて熱する。野菜を加え、ニンジンが柔らかくなるまで煮る(5分ほど)。ときどきかき混ぜる。
9. 水を3リットル加え、中火で沸騰させる。次に、ダンプリングを80〜100個入れ、さらに5分ほど茹でる。ローリエを加え、刻んだハーブ、塩、ブラックペッパーを入れる。
10. スープは熱々で食べるのがよい。サワークリームまたは脂肪分の高いヨーグルトを別の器に入れて出し、それぞれが食べたいものを加える。どうぞ召し上がれ!