女帝エカテリーナ2世は1772年に執筆した喜劇の中で、このコロボヴィ・ピローグを贈り物として描いている。このピローグの特徴は、層になった生地の作り方で、それぞれの層の生地を、牛脂を入れて作るというものであった。
ワシリー・レフシンは料理本「ロシアの料理」(1816年)の中で、次のようなレシピを書いている。「生地に十分に(牛脂)を塗った後、丸いピローグを1つ焼き、次のピローグには餡を入れる。餡は、牛肉を大きめに切ったものにタマネギを多めに加え、コショウで味付けし、牛脂で焼いてから、細かく刻む。これをピローグに詰め、同じ生地で蓋になる部分を作り、肉の茹で汁をかけるか、氷を1つ置いて、生地をかぶせ、閉じて、熱いかまどの上にフライパンを乗せて焼く」。
ピローグの名前「コロボヴィ」というのは、「コロボック」、「クレビャカ」と類似したもので、丸いパンを意味する。
「コロブ」という言葉は16世紀の文書でよく見られるが、19世紀には使われなくなり、「コロボック」にとって代わった。
現在、ロシアで生地を作るのに牛脂が使われることはほとんどないため、ここでは、レストラン「ウフヴァト」のシェフ、ヴィクトル・べレイが、コロボヴィ・ピローグの簡単バージョンを紹介する。
材料(1〜2人分):
ブリヌィ(12枚分):
- 水 250ml
- 牛乳 200ml
- 卵 4個
- 植物油 70ml
- 砂糖 35g
- 塩 2g
- 小麦粉 150g
このピローグを作るのに、ブリヌィは1枚必要なだけなので、残りはピローグができるまで、家族と食べてもかまわない。
フィリング:
- 鶏のもも肉 300〜400g
- バター 600g
- マッシュルーム 70g
- タマネギ 70g
- 植物油(調理用)
ピローグ:
- パイ生地 2枚
- 牛乳 30ml
- 卵 1個
野菜のクリーム醤油ソース:
- ニンニク 30g
- パセリ 30g
- エシャロット 30g
- ワイン 100ml
- しょうゆ 100ml
- 生クリーム 1l
- グリーンオイル(飾り用)
作り方:
1. ブリヌィを作る。水、温かい牛乳、卵、植物油をボウルに入れ、泡立て器でかき混ぜ、均等にする。小麦粉、砂糖、塩を少しずつ入れる。薄いブリヌィを焼くため、ゆるい生地にする。
2. 鶏もも肉は塩・コショウで下味をつけ、澄ましバターをかけ、170℃で35分、ゆっくり焼く。
3. オーブンから取り出し、骨を取り除き、繊維を断つように切る。
4. キノコとタマネギはみじん切りにし、植物油で炒め、鶏肉と合わせる。
5. 生地の上にフィリングを乗せる。上にブリヌィを1枚置き、上にもう一度フィリングを乗せてから、生地で覆う。
6. 卵と牛乳を軽く泡立てて、卵液を作り、ピローグの表面に塗る。10分後にピローグを取り出して、もう一度、卵液を塗る。180℃で15分焼く。
7. ソースは、野菜を洗い、小さく切り、植物油で炒め、白ワインを加えて、アルコール分を飛ばし、生クリームと醤油を加える。
8. 器にソースを注ぎ、そこにピローグを乗せ、グリーンオイルで飾り付ける。