ヴォルガ・ドイツ人が今でもロシアで作っているおいしい料理7選(レシピ)

Legion Media
 ケフィールの生地を使った伝統的なドーナツ、サワークリーム入りの丸パン、砂糖とバターを振りかけたパイ。ドイツ系の人たちがこれらのシンプルなレシピをロシアに持ち込んだのは250年も前だが、それらは現在まで伝え継がれている。

 そう遠くない昔、ヴォルガ・ドイツ民族はロシア最大の常民のひとつであった。彼らは18世紀の中頃にエカテリーナ2世の招きで、ドイツ各地からヴォルガ川河岸地方にやって来て、現在はサラトフ州、ヴォルゴグラード州の一部になっている無人の地に多くの集落を建設した。

 彼らは、簡単で栄養たっぷりな数々の料理のレシピをこの地域にもたらし、こうした料理の多くは今でも家庭で作られている。

1. クレッペル・ドーナツ 

 ドイツで作られているドーナツは、ロシアにいるドイツ系住民が作るものと違う。ドイツでは「クレッペル」と呼ばれるものだが、ロシアでは地域によって「クレプリ」「クレブリ」「クレベル」などとも呼ばれる。

 「クレプリは真ん中にひし形の切り抜きがある、ふわふわな生地でできたドーナツで、どこの村でも作られているものです」と話すのは、サラトフ州エンゲル出身のアナスタシア・クラインフェルダーさん。「祖母が子どもの頃、これを大量に作ってくれたのをよく憶えています」。このドーナツのおいしさの秘訣は生地にイーストを使わず、ロシアの発酵飲料ケフィールを使うことである。

作り方(4人前)

小麦粉-1/2カップ、温かいケフィール‐1カップ、卵‐1個、砂糖‐大さじ1杯(お好みで)、ベーキングパウダーと塩‐ひとつまみ

 すべての材料を混ぜて作った生地を1時間置き、その後、長方形にカットしたら、真ん中に開けた切り込みから「ねじり返す」。それをひまわり油で揚げる。キッチンペーパーに乗せて余分な油を取ってから、粉砂糖を振りかける。 

2. クラウト・ウンド・クレイス: ダンプリングとキャベツ

 煮込みキャベツと蒸したダンプリングの組み合わせは、ドイツ系ロシア人の間で今でも大人気な料理の一つ。ダンプリングの呼び方は、「クラウス」「クネプフェル」「クランプ」「ダンプフヌデルン」などさまざまある。

作り方:

キャベツ‐1/2キロ、玉ねぎ-1個

ダンプリング: 牛乳または水-1カップ、卵-1個、油-大さじ2杯、小麦粉-大さじ3杯、塩-お好みに合わせて、ドライイースト

 まず、砂糖を加えたぬるま湯50CCを温めてイーストを加え、5分間置く。それに牛乳、卵、塩、バター、小麦粉を加える。(2倍に)膨れるまで暖かいところで寝かせる。それを伸ばし、油をつけ、ロール状にして2センチ程度に切り、タオルをかぶせて休ませる。

 キャベツ(酢キャベツか生キャベツ)をスライスした玉ねぎと一緒に5分ほど炒める。深鍋(エナメル鍋以外)に移し、上からダンプリングを入れて水を少量加える。蓋をして40分煮る。ドイツ系ロシア民族の中には、まず豚肉入りキャベツを煮込み、マッシュポテトを加える人もいる。

3. リーヴルクーヘンパイ

 ヴォルガ・ドイツ民族のほぼどの家庭でも作られるパイ。「ストロイゼルクーヘン」と呼ぶ人もあれば、「ツッカークーヘン」もしくは「リヴェル・クッフ」と呼ぶ人もある、小麦粉に砂糖とバターを混ぜて振りかけたパイである。家庭によってはジャムやベリー類を加えるところもあり、これもとてもおいしい。 

作り方: 

生地: 温めた牛乳-1リットル、卵-4個、小麦粉-1キロ、バター-200g、ドライイースト-1袋、塩と油-ひとつまみ

フィリング: サワークリーム-小さじ3杯、卵-1個、砂糖-大さじ2杯、ベーキングパウダー、小麦粉-一握り

トッピング: 小麦粉-1カップ、バター-125g、砂糖-大さじ3〜4杯(お好みで)

 イースト生地をつくり、それに油を塗って暖かいところで1〜2時間寝かせる。それをクッキングシートに伸ばして上にフィリングをのせる。3層目にはシュトロイゼル(砂糖、小麦粉、シナモンなどで作るトッピング)を乗せる。180度にあらかじめ熱したオーブンで30〜40分焼く。焼きあがれば切り分けて、出来上がり。

4. シュマンドクーヘン・バンズ

 この丸パンは、名前を正しく言うよりも、作る方が簡単!実際、イースト生地にサワークリームに砂糖を入れて泡立ててつくったフィリングを入れれば出来上がる。

作り方:

牛乳-2カップ、卵-2個、塩-大さじ1杯、砂糖-大さじ2杯、小麦粉-5〜6カップ、ドライイースト-1袋

 イースト生地をつくり、3倍に膨れるまで寝かせる。それを球形に切り取り、さらに30分寝かした後、180度に熱したオーブンで焼く。冷めてから上部を切り取り砂糖を入れて泡立てたサワークリームを加える。

5. ヌーデルズッペ チキン・ヌードル・スープ

 鶏もしくは野菜のだしベースの大人気のスープで、肉を入れても入れなくても良い。このスープの主役は自家製の麺である。

作り方:

麺: 小麦粉-1カップ、卵-1個

スープ: 鶏のだし汁-3リットル、人参-1個、玉ねぎ-1個

麺の作り方:小麦粉を深いボールに入れ、卵と1リットルの水を加え生地をつくり、1ミリの厚さに伸ばす。それを丸めて薄く切り、だしで3〜4分茹でる。麺が浮き上がってきたら、すりおろした人参と玉ねぎを炒めたものを加える。他の野菜や薄切り鶏肉を加えても良い。それにハーブ(そして、もちろんディル!)を添えれば出来上がり。

6. シュニッツズッペ スイートスープ

 ドライフルーツを使って作るこのスープは、ヨーロッパではあまり知られていない。このスープについて、現代のロシア系ドイツ民族の間では、外国人にとってのオクローシカ(ロシアの冷製スープ)同様、賛否両論あるようだ。このレシピが現れたのは、おそらく、ドイツ人が最初にロシアに移り住んできた頃だと思われる。ヴォルガ川沿いには多くの果樹があり、それを使って冬のためにドライフルーツを用意した。そしてこのドライフルーツを利用してこのスープを作ったとされている。

作り方:

 沸騰させたお湯に、種々のドライフルーツ(レーズン、アプリコット、リンゴ、ナシ、プルーンなど)を一握り入れる。それをソースパンに入れて、水と砂糖大さじ2杯を加え、20分煮る。塩ひとつまみと3カップほどの牛乳をソースパンに加える。小麦粉大さじ1.5杯を別の1カップの牛乳に加え、それもソースパンに入れる。牛乳が煮えたら、火からおろす。少し冷ましてからサワークリームを加える。

7. カセクリンプ・ワレニキ

 ワレニキはスラヴ諸民族の間でとても人気のある料理で、甘いカッテージチーズを使って作られることが多い。しかし、ヴォルガ・ドイツ人たちはトヴォーログ(カッテージチーズ)とネギを使って、まったく甘くないダンプリングを作る。南ドイツの料理に、マウルタッシェ(口の袋と言う意)と呼ばれる、チーズとほうれん草入りのダンプリングがある。「ドイツ人は四角いダンプリングが好きで、おそらくそれは、簡単に早く作れるからでしょう。少なくとも、他の民族がこのような形のダンプリングを作るのをわたしは聞いたことがありません」とドイツ系ロシア人の家庭に生まれたアンナさんは言う。

作り方:

 カボチャのピューレ-1カップ、卵-2個、トヴォーログ(カッテージチーズ)-1カップ、小麦粉-2カップ、水-1/2カップ、ネギ-3本、塩-ひとつまみ

 カボチャのピューレ、水、卵、小麦粉、塩で生地をつくる。フィリングは、カッテージチーズに玉ねぎを刻んだものを混ぜる。トヴォーログが固い場合はサワークリームを加える。生地を伸ばして、四角に切ってフィリングを詰め、「斜めに」留める。お湯で5分間茹でる。

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