ミシュランの専門家を魅了したモスクワのレストラン9軒

1. Artest 

シェフのテーブル（1階）が2つ星を獲得、暖炉の部屋（2階）がリコメンドを受けた。

　「Artest」はモスクワ中心部にある19世紀に建てられた2階建ての屋敷の中にある。1階にはシェフのテーブルがあり（客が1つのテーブルに座り、シェフと会話しながら、シェフの料理を直接受け取る）、2階は暖炉が置かれた部屋がある。2021年初頭に、ロシアの有名なレストラン経営者アルカージー・ノヴィコフがレストランをオープンし、ペテルブルクの有望な若手シェフ、アルチョム・エスタフィエフが招かれた。エスタフィエフは、これまでにもペテルブルク、モスクワの有名なレストランに勤務し、スペインとフランスで研修を積んだ。アルチョムは農場直送の食品を使いつつ、斬新な手法にも取り組んでいる。レストランには研究所があり、野菜やベリー（ニンジン、ブラックチョークベリーなど）からビネガーを作ったり、発酵させたり、日本の麹を使った実験を行ったり、食品を高温で加熱したりしている。また素晴らしい料理に合うワイン（ワインリストには400種類以上）や紅茶キノコ屋発酵食品をベースにしたオリジナリティ溢れるカクテルを供している。

オススメ料理：「ヴレーミヤ」セット、

平均予算：15,000〜20,000ルーブル（シェフのテーブル）、2,800〜9,000ルーブル（暖炉の部屋） 

住所： Trubnikovskiy pereulok, 15, stroenie 2 

ウェブサイト

2. Twins Garden

ミシュランガイドの2つ星を獲得。「ベスト・サービス賞」受賞。

　2017年より、イワン・ベレズツキーとセルゲイ・ベレズツキー兄弟が、自身のレストラン「Twins Garden」に訪れる人々のために、クリエイティヴで、ハイテクな料理を作っている。シェフたちは、ラボラトリーで、食品を発酵させたり、料理を3Dプリンターで印刷したり、フリーズドライを活用したりして科学と料理を融合させている。またここには空中に食材が浮かぶ動きのある農場が、レストランの主要な農場のシンボルとして作られている。主要な農場はヤロスラヴリ州にあり、その大きさは100ヘクタールで、レストランの食材のほとんどがここから運ばれている。農場の1部は森の中にあるため、レストランではいつでも旬のベリーやハーブ、キノコが採れる。また農場では牛、ヤギ、鶏などが飼われているほか、チーズも製造されている。 

　レストランでは、主なメニュー以外に、「ロシア再発見」というメニューを選ぶこともできる。これはロシアの様々な地域の地元の食材を使った料理である。もう1つのセットは、「野菜」と名付けられている通り、野菜を端から端まで食べることができるメニューとなっている。また野菜やキノコから作られたワインも14種類おかれている（トマトのワインやヤマイグチのワインなんていかが？）。レストランは種類が豊富なワインリストが置かれていることでも有名である。というのも、ワインリストには世界の1,000種以上のワインが集められており、本のような厚みがある。

オススメ料理：「ロシア再発見」セット、極東エビのワレニキ（いちご、アスパラガス、スズキの卵入り）。

平均予算：2,500〜15,000ルーブル

住所：Shopping Center 'Na Strastnom' 7-8F, Strastnoy bulvar, 8A

ウェブサイト

3. White Rabbit

ミシュランの1つ星獲得

　レストランは「スモレンスキー・パッサージ」の16階のガラスの丸屋根の下に位置しており、モスクワのパノラマ風景が訪れる人々を驚かせる。このレストランのシェフで、ホワイト・ラビット系列のブランドシェフでもあるウラジーミル・ムーヒンは、ベスト・シェフ・アワードが選ぶ世界最高のシェフの第9位に選ばれている。タンパク質の代わりになる食材や新たな技術の実験を行なっている。その中には、食べ物の色や形、音が、料理の評価にどう影響するかについて調べるものもある。ウラジーミル・ムーヒンがシェフのテーブルで供するすべての料理は、大胆なパフォーマンスとなっている。

オススメ料理：「ブラック・スワン」セット、氷のお皿のホワイトマッシュルーム入りオクローシカ、ココナッツサーロ入りボロジンスキーパン、あんずのキャビア乗せ

平均予算：2,500〜12,500ルーブル

住所：16F, Shopping Center 'Smolenskiy passaj', Smolenskaya ploshad’, 3

ウェブサイト

4. Selfie 

ミシュランの1つ星獲得

　ホワイト・ラビット系列の現代的なオリジナルレストランで、シェフのアナトーリー・カザコフが、フランスの技術を用いて、ロシアをテーマにした実験を行なっている。たとえばサハリンのホタテのアミガサタケとカリフラワー添え、カブ、はちみつ乗せルタバガ、フェイジョア、ポジャルスキー風カツレツのきゅうりのケチャップ添え、ブラックトリュフを添えたポテトピューレなど、ここで出されている料理を見れば、そのことが分かる。 

オススメ料理：　鳩のキクイモと浸しコケモモ、カニ、小麦、ポシェホンスキーチーズ、セロリの茎に入れたアプハジアの甘いレモンのゼリー。

平均予算： 2 500 - 7 000 ルーブル

住所： 2F, TDTs 「VEB.RF」, Novinskiy bulvar, 31

ウェブサイト

5. サハリン

ミシュランの1つ星獲得

　「サハリン」では、魚、貝など、ロシア極東の海産物を中心に、地中海料理とアジア料理をミックスした料理が供されている。レストランの中央に氷の山と水槽がおかれており、そこから調理してもらいたい魚介類を選ぶことができる。このほか、レストランからは22階、23階の高さからモスクワを360℃見渡すことができる。キッチンを率いるのはアレクセイ・コガイ。2011年からホワイト・ラビット系列のアジア部門で調理している。

オススメ料理：ロール寿司「ゾロタヤ・ルィプカ（金魚）」、サラダ「サハリン」、キャビアの容器を模したティラミス

平均予算：3,000〜11,000ルーブル

住所：22F, Hotel “Azimut”, Smolenskaya st, 8

ウェブサイト

6. ベルーガ

ミシュランの1つ星獲得

　レストランは高級ホテル「ナツィオナーリ」の2階にあり、クレムリンが一望できる。「ベルーガ」はロシアの食通のためのレストランと呼ばれ、メニューには20以上のキャビアがあり、また世界最大のウォトカリストがある。厨房を率いるのは、エヴゲーニー・ヴィケンチエフ。サンクトペテルブルク出身のアヴァンギャルドシェフで、ペリメニとノーザンパイク、フォアグラと干し草とキノコのブイヨン、チーズケーキとパリパリしたハナゴケ、リンゴマイマイとソバの実などを組み合わせた料理を作っている。

オススメ料理：「新珍味のセオリー」セット

平均予算：2,500〜12,000ルーブル

住所：2F, Hotel “National”, Mokhovaya st, 15, stroenie 1

ウェブサイト

7. サヴァ

ミシュランの1つ星獲得

　レストランは歴史的な建物であるホテル「メトロポール」の中にある。近くにはボリショイ劇場、クレムリンがある。シェフ、アンドレイ・シマコフのメニューには、「ZOJ」、「ダーチャ」、「農場」、「ロシア」の4つのコースがあり、それぞれが4つの料理から成っている。たとえば、「ロシア」グループには、鴨肉とサクランボ入りのボルシチ、温かいジャガイモを添えたムクスンのスグダイ（生魚料理）などがある。これとは別に、キャビアのメニュー（6種のキャビアが、ソバ粉のパンケーキやジャガイモ、浅漬けキュウリ、サワークリームなどと供される）、より伝統的な料理、デザートなどもある。オリジナルのメニューを考案したアンドレイ・シマコフは、2013年から「メトロポール」との協力をスタートしたが、それまではラトビアやサンクトペテルブルクで働き、また伝説的なコペンハーゲンのNoma、ヘルシンキのChez Dominiqueなどで研鑽を積んだ。

オススメ料理：乾燥牛肉と燻製ビーツのパルメザンチーズとマスタード入りアイスクリーム添え、サーモン、タラ、オヒョウのピローグのアスパラ添えキャビア入りグリーンソースがけ、松の実とチョコレートとキノコとモミの風味のアイスクリーム入りピローグ。

平均予算：2,500〜6,000ルーブル 

住所：Hotel “Metropol”, Teatralniy proezd, 2 

ウェブサイト

8. Grand Cru

ミシュラン1つ星獲得

　モスクワのパトリアルシェ池の近くの高級地区にあるこのレストランを仕切っているのはシェフのダヴィド・エメルレ。これまでにもフランスやアラブ首長国連邦の高級レストランで研鑽を積んだ。Grand Cruでのダヴィド・エメルレのメニューは季節ごとの地元の食材とプロフェッショナルに作られたソースが組み合わされている。非常にフランス料理に近い。

オススメ料理：アンズタケ、葉ニンジンを詰めた農場直送の鶏のジンジャーソースがけ、カムチャツカガニとノーザンパイクの卵のムース入りタルト

平均予算：3,000〜7,000ルーブル

住所：Malaya Bronnaya st, 22, stroenie 2

ウェブサイト

9. Biologie

ミシュランの1つ星、グリーンスター獲得

　1年ほど前にオープンしたシンプルなメニューが自慢のガストロビストロ「Biologie」は、モスクワ郊外の木造の家の中にある。レストランはスイスアルプス地方に見られる山小屋風にデザインされている。シェフのエカテリーナ・アリョーヒナは、意識的な消費を環境保護を支持する立場に立っており、厨房での食品廃棄物を最低限にすることを心がけている。

オススメ料理：はしばみオイルを使ったホタテのグリル、使用したコーヒ豆と梨のクリーム添え

平均予算：2,100〜4,000ルーブル

住所：Selo Ili’nskoe, Lenina st, 30, stroenie 2

ウェブサイト

平均予算はミシュランガイドの評価による。

＊1ルーブルはおよそ1.62円。