「ドルマ」という料理が、トルコ、アルメニア、タジキスタン、アゼルバイジャンのどこで最初に作られたのかを証明できる人はいない。「ドルマ」という言葉の元来の意味も実は明確ではない。ただ一つだけはっきりとしているのは、オスマン帝国時代に作られたものだということである。現在、「ドルマ」はカフカスを始め、多くの国の料理において特徴的な一品と考えられている。
もっとも一般的な「ドルマ」はぶどうの葉で作られているが、そこにイチジクやリンゴ、マルメロの葉を加えて作るという人もいれば、キャベツで作る人、またごく稀ではあるが、ピーマンで作るという人もいる。「ドルマ」はカフカス地方を中心にそれ以外の地域でも広く知られていることから、数百のレシピが存在する。
あまり詳しくない人は、おそらく「ドルマ」は豚肉か鶏肉で作られていると思うかもしれない。しかしカフカスでは、肉といえば羊肉で、たまに牛肉を属することもあるが、豚肉であることは絶対にない。というのも、ムスリムは豚肉を食べないからである。
「ドルマ」をおいしく作るためには、高級な羊肉を用意しなければならず、最高の肉を選ぶエキスパートが必要である。とはいえ、ときに羊肉に牛肉が加えられたり、あるいは牛肉で代用されることもある。そうするとフィリングはより柔らかくなる。
また「ドルマ」を覆う葉には、塩漬けか酢漬けにしたもの、あるいは冬の間凍らせておいたものを使う。しかし、ここでは市販のぶどうの葉のピクルスを使って作ることにする。ちょっぴり酸味のある絶妙な味に仕上がる。
ダゲスタンのあちこちで作られているこの「ドルマ」には、新鮮なハーブをふんだんに使う。マツォーニ・ソース(発酵乳製品)と一緒に食べると、天にも昇るおいしさである。
材料:
- ぶどうの葉 50枚ほど、または500ml入り1缶
- 羊肉または牛肉のひき肉 700 g
- タマネギ 2 個
- 新鮮なハーブ(パセリ、ネギ、ディル)30 g
- お米 グラス半分
- ニンニク 1 片
- スパイス(ナツメグ、キャラウェイ、コショウ)
- 高脂肪サワークリーム 200 g
- トマト・ペースト 大さじ3
- 植物油 大さじ1
- マツォーニ 1缶、または300 ml
- 野菜または肉のブイヨン、あるいは水 500 mlくらい
作り方:
1. 葉を準備する。酸味のある酢漬けのものを使う。瓶から取り出したら、深いボウルに入れ、水を注いで、30分ほど浸けておく。酸味を和らげるため、水をかえる。
2. お米は研いで、水を入れた鍋に加える。沸騰させ、半分煮えた状態にする。
3. 大きめのタマネギは皮をむいて、小さく切り、植物油で炒める。お米とタマネギの粗熱をとる。
4. ハーブは小さく刻む。
5. 適度に深いボウルに牛肉または羊肉のひき肉、タマネギ、お米、ハーブを入れ、塩コショウで味を整えたら、お好みでその他のスパイスを加える。なめらかになるまで、ひき肉を混ぜる。
6. 酢漬けのぶどうの葉をザルにあけ、余分な水を切る。葉は、艶やかな面を下にして、平らな台の上に広げる。葉の上にひき肉少量を乗せる。
7. まずぶどうの葉の先の部分を包む。
8. それから両サイドの端を折り込む。
9. 次にぶどうの葉を、ロールキャベツの要領でくるくると巻く。
10. 葉がなくなるまで繰り返す。大きな鍋の底に破れたぶどうの葉を敷き、その上にドルマを並べる。
11. 上記の材料で中サイズのドルマが35個できる。
12. トマトペーストと野菜または肉のブイヨン、あるいは水を混ぜ、ドルマが入った鍋に注ぐ。
13. ドルマをお皿で覆い、しっかりと蓋がされるよう水を注ぐ(注ぎないように注意)。1時間10分ほど弱火にかける。その間に塩を入れてもよい。火を消したら、10分ほどうまみを吸わせて出来上がり。ブイヨンの半分が吸収され、さらにおいしくなる。
14. マツォーニ、ニンニク、塩、コショウ、大量のハーブを使ってソースを作り、かけていただく。
15. どうぞ召し上がれ!