辞書で「ラソーリニク」を調べると、酢漬けキュウリと漬汁に、一般的には腎臓肉などの肉を入れたロシアの伝統的なスープだと書かれている。しかし、実は別の意味もある。それは、漬汁につけた鶏肉とそば粉やゆで卵が中に詰められたライ麦パイのことである。これは舟のように楕円形に閉じられた形で作られており、ラソーリニク・スープと一緒に食べられた。
後者のラソーリニクの名は、辞書の中だけではなくて、ロシアの古典的名作にも登場する。たとえば、ロシア料理について多くの専門的記述がある作家、ニコライ・ゴーゴリは次のように記している。「ラソーリニクとは、鶏肉、そば粥、漬汁、刻まれた卵が餡として詰められたパイのことである」。
ハラハラ・ドキドキ、読み応えのあるゴーゴリの小説「死せる魂」の中には、「倹約家の女地主コローボチカは、他の食材と一緒にピクルスのパイをひとつ馬車で運んでいた」という一文がある。
このパイを、細切れ肉を使って伝統的な方法で焼いてみよう。アメリカン・チーズバーガー風にしてもよいし、軽めの味付けにしてもよい。美味しいだけでなく作るのも楽しいこのパイ、好きになること間違いない。
1. タマネギとキュウリは小さく刻む。ピクルスはお好みでおろしてもよい。刻んだ(あるいはおろした)キュウリを絞って、余分な漬汁を取り除く。タマネギとキュウリの割合はお好みでよいが、一般的には5対5(重さではなく、見た目)くらいが良い。
2. タマネギをバターと植物油で炒め、うっすら茶色く色づいたら火を止める。炒めたタマネギにキュウリを加え、キュウリが柔らかくなり、フィリングがパラパラするまで、5分から7分ほどさらに炒める。
3. 最後に砂糖少々を加え、必要があれば塩を加えて、甘酸っぱい塩味にする。黒コショウを加えてもよい。ここで茹でておろしたジャガイモを加える人も多い。
4. フィリングを完全に冷ます。
5. 生地に取り掛かる。ライ麦粉、植物油、ビールを深めのボウルに入れる。すべてが均等に混ざるまで混ぜる。
6. 形を保ったままの柔らかい生地ができたら、ふきんで覆い、15分から20分ほど休ませる。
7. 生地を丸くのばす。フィリングを真ん中に乗せ、フィリングの周りだけが生地に覆われ、真ん中はオープンパイのようになるよう、縁をくるっと丸める。
8. 焼く前に、パイにフォークで穴を開け、植物油を塗る。200℃に予熱したオーブンに入れ、パイが固くなるまで焼く(40分ほど)。
その間にテーブルセッティングをする。たとえば、かつてこのパイはロシアの有名なスープ、ラソーリニクとサワークリームと一緒に食された。
9. ピクルス・パイができたら、完全に冷ます。おいしい料理を召し上がれ!
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