チョコレートでコーティングされたカッテージチーズバーのことは、生まれて最初の記憶として覚えている。小さい頃から大好きだったお菓子だが、今でも甘い間食としてよく食べる。このカッテージチーズバーを食べるのはたいてい朝だった。というのも、このバーの主な材料はトヴォーログ、つまりロシアのカッテージチーズで、これは当時の朝ごはんとしてはもっとも人気のある食品だったからである。ちなみに、このチョコレートのかかったカッテージチーズバーは、愛情を込めて、「スィロク」と呼ばれている。この「スィロク」というのは、文字通り、柔らかいチーズでできた小さなバーという意味である。
この「スィロク」が大量生産されるようになったのは1950年のことで、「スィロク」はまずモスクワとレニングラードでたちまち大人気となり、その後、ソ連中に広まった。いくつかの地域ではなかなか買えないほどの人気であった。最初はバニラ入り、ココア入り、レーズン入りの3種類しかなかったこの「スィロク」だが、1990年代の終わり頃からはクッキー入り、アプリコット入り、いちごジャム入り、コンデンスミルクキャラメル入りなど、さまざまな種類のものが作られるようになった。
カッテージチーズバーは、普通、店で買うお菓子の一つで、家では作らないものとされていた。誰もが作るのは難しいと思っていたからである。しかし、このカッテージチーズバーは、レシピを見る限り、もっともシンプルなお菓子の一つである。ベースとなるバーを作るのに必要な材料は、カッテージチーズ、バター、パウダーシュガー、バニラの4つだけである。また家で作れば、カッテージチーズの脂肪分を調節できるので、もっと濃厚な味にしたり、もっとヘルシーにさせたりすることもできる。つまり、脂肪分の多いカッテージチーズを使えば、もっと濃厚な味にできるし、脂肪分なしの凝乳を使って作ることもできるのである。またホームメイドのカッテージチーズバーの良いところは、たくさん作り置きして、冷蔵庫で数週間、保存できるということである。食べたいときに解凍すればよいのでいつでも食べられる。
個人的にはバニラ味とココア味が一番シンプルで一番おいしいのではないかと思っている。
1. 大きめのボウルにほぼすべての材料―カッテージチーズ、室温に戻したバター、パウダーシュガー、バニラエッセンス、塩を入れる。カッテージチーズは脂肪分9%のものが望ましい。ハンドブレンダーでなめらかなペースト状になるまで混ぜる。
2. ブレンダーで混ぜたものを2等分し、片方にココアパウダーを加え、なめらかになるまで混ぜる。
3. バーを作るのには、大きな丸い口金をつけた絞り袋を使うのが一番簡単だが、なければビニール袋の端を切ったものでも代用できる。バニラとココアのカッテージチーズのペーストを別々の袋に入れ、ラップかパーチメント紙を敷いたカッティングボードなどの上に5センチから7センチくらいの棒状になるよう絞り出す。2~3時間、冷蔵庫に入れて、固める。
バーを作るのには少なくとも2通りの方法がある。ほとんどの人は、昔からある長方形の型をした小さなバー型を使い、そこにカッテージチーズのペーストを流し込んで作っているが、もしそのような型を持っていない場合は、カップケーキ型など、小さめの型ならなんでも使える。それもないという場合は、手でバーの形に整えてももちろんかまわない。表面がなめらかに仕上がらないかもしれないが、それで味が変わることはない。
4. バーを冷蔵庫で冷やしている間に、ゆっくりグレーズを作る。チョコレートを湯せんにかけて溶かし、植物油を加え、なめらかでツヤが出るまでスパチュラで混ぜる。グレーズは熱くて、ドロドロの状態にすること。
5. バーが完全に固まったら、冷蔵庫から取り出す。冷えたバーに竹串かつまようじを突き刺し、チョコレートの中に浸け、スプーンで両面にもチョコレートをかける。バーの表面が冷たいので、チョコレートはすぐに固まってしまう。
6. すべてのバーにチョコレートをかけたら、板の上に置き、もう一度、冷蔵庫に入れ、チョコレートが完全に固まるまで20分待つ。バーは1つずつ小さなアルミホイルに包んでおくとよい。食べる30分くらい前に取り出しておいて、いただく。
プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)
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