カリカリに揚げて甘い蜂蜜がたっぷりかかった無数の小さな生地。これがタタールのお菓子、チャクチャクである。タタール語で「チャクチャク」とは「少しの」もしくは「小さな」と言う意味で、まさにこのお菓子が小さな生地から作られていることを表わしている。これ以外に、ナイフでカリカリの生地を切る音に似ていることから名づけられたと言う説もあるが、本当のところは確かなことは誰にも分からない。
この料理は今ではヨーロッパロシアの一部であるヴォルガ・ブルガリア地方から来たと広く考えられており、次のような伝説がある。この地方を治めていた偉大な統治者のハン(汗)が、息子の結婚式のための新しいデザートを作ろうとしていた。長持ちして、栄養があり、作るのも簡単だが、それだけでなくて、見た目もあっと驚くようなものではならなかった。汗は数多くのデザートを試したのだが、最終的にとてもシンプルなものに落ち着いた。
もともとチャクチャクは儀式用のもので、大きな祝宴や結婚式のために作られた。祝祭のテーブルに幸福な結婚、愛、固い絆で結ばれた家族などの象徴として並べられたのである。しかし今では、ロシア中の多くの食料品店で目にすることができる。
家でチャクチャクを作るのは実に簡単である。なんといっても材料がこれ以上ないほどシンプルであること。さらに作ってから何週間も保存できることも非常にすばらしい点である。しかし、誓って、作るのにそんなに時間はかからない。我が家では、いつもまだ熱いうちにすべて平らげてしまう。
生地の材料:
- 小麦粉 200g
- 卵Lサイズ 2個
- 砂糖 小さじ1
- ベーキングソーダ 小さじ1/2
- 塩少々
- 揚げるための油
シロップの材料:
- ハチミツ 250g
- 砂糖 50g
作り方:
1.ボウルに卵、砂糖、塩、ベーキングソーダを入れて、泡立て器かフォークでなめらかになるまで混ぜる。
2.きれいな調理台の上に小麦粉をふるい、真ん中をくぼませる。まず180gほどの小麦粉を使い、残りは後で使う。くぼみの中にそっと溶き卵を注ぎ入れ、フォークを使って小麦粉と合わせる。
3.生地に厚みが出てきたら、両手を使って、生地が柔らかく、手につかなくなるまで5分ほどこねる。
4.生地を丸めたら、ビニール袋か容器に入れ、涼しい場所に置き、20分ほど寝かせる。
5.生地を2等分し、半分はすぐに延ばして、厚さ2~4㍉の薄い長方形にしたら、4㌢幅にカットし、10分ほどおいて少し乾燥させる。
6.カットした生地に少量の小麦粉をふりかけて重ねていき、5㍉ほどの幅で、斜めにカットする。重なった生地は簡単にはがれる。この作業を繰り返し、もう一つの生地も同じようにし、小さな「ヌードル」状の生地をたくさん作る。
7.生地をすべてカットしたら、深鍋に十分な油を注ぐ(揚げるのには少なくとも300mlの油が必要)。中火から強火にかけ、生地を1本入れてみて温度を確認する。入れた生地がすぐにふくらんだら、少しずつ揚げていく。生地は揚げているうちに大きくなるため、片手にすくえるくらいの量がちょうどよい。
8.油の中の生地は網じゃくしで常に混ぜ、黄金色に色づくまで揚げる。(普通は1分か2分で出来上がる)。揚がった「ヌードル」状の生地はキッチンペーパーの上に置いて、余分な油を落とし、続きを揚げていく。
9.シロップは、砂糖とハチミツを鍋に入れて、弱火で煮て作る。
10. 1分か2分、シロップを混ぜたら、素早く火から下ろす。
11. 揚げた生地をすべて大きなボウルに移し、上から熱いシロップをかけ、全体にいきわたるよう木製のスプーンで混ぜる。
12.シロップのかかったチャクチャクをお皿に乗せたら、冷たい水に浸した手でピラミッド型に整える。すぐに固まってしまうので手早く行うこと。ピラミッド型になったら、お好きなナッツで飾ってもよい。
13.チャクチャクは食べるまでに数日置いておいた方がいいと言う人もいるが、そんなに長くは待てないので、室温で数時間置いておくか、冷蔵庫で少し寝かせて冷たいまま食べるのもよい。紅茶と一緒にどうぞ。