おいしいソ連風メレンゲケーキの作り方

ヴィクトリア・ドレイ撮影
 「甘いもの好きは世界をつなぐ!」。この革命的なレシピは、ソ連のすべての主婦ご自慢の一品で、一人一人が自分のオリジナルレシピをもっていた。このデザート「伯爵の廃墟」は、労働者階級が貴族階級に勝利したことを表現しているようにも見える。

 子どもの頃に私が断然好きだったケーキ「伯爵の廃墟」を、自分の誕生日になると毎年、おばあちゃんに作ってくれるようせがんでいたことを覚えている。祖母はものすごく大きな最高のケーキを作ってくれて、休日の食卓で大人気だった。私はずっと、これをいちばんおいしいケーキだと思っていたから、どこでも買えないもので、「家で作るしかこのケーキを味わうことはできないのよ」とおばあちゃんが言ったときには、心底驚いたものだった。

 女性たちはよく、他の人とレシピを共有し合ったりもした。そうして、「伯爵の廃墟」はいちばん人気の自家製ケーキのひとつとなったのだった。今もロシアのお店やベーカリーで見つけることができるけど、おばあちゃん手作りの「伯爵の廃墟」が、今も私にとっては唯一のもの。

 いつ、誰が「伯爵の廃墟」のレシピを考案したのかは、誰もはっきりとは知らない。でも、多くの人が「キエフケーキの弟」と呼んでいる。この二つのケーキは本当に似ている。どちらもメレンゲベースで、ナッツとチョコクリームを使う。でも、本物のキエフケーキを作るのは難しいから、「伯爵の廃墟」は、初心者でもマスターできる、より簡単なレシピにしたものだと一般的には信じられている。

 このケーキは、ソ連の指導者だったレオニード・ブレジネフも熱愛していたと言われている。メレンゲのデザートは彼のお気に入りのひとつだった。だから、「伯爵の廃墟」もおそらく、ブレジネフのお気に入りのお菓子だったのだろう。

 名前の由来は分からないけど、ケーキの形がお城の廃墟を思わせるからだと思っている人が多い。ソヴィエト支持者なら、こうした「廃墟」が農民と労働者が蜂起した結果だと思いたくなるかもしれない。

 いずれにせよ、これは私がこれまでに食べた中で、いちばんおいしくて他にはないケーキだ。ココア風味の柔らかなバタークリームに包まれたカリっとしたメレンゲを思い浮かべてみて――「伯爵の廃墟」はそんな味。普通のビスケットベースの代わりにメレンゲを使っていることが、このデザートを特別なものにしている。とてもさくさくしていて軽いから、いつもあっという間になくなってしまう。

メレンゲの材料:

  • 卵白 3個分
  • 砂糖 150g
  • 塩 ひとつまみ

クリームの材料:

  • 卵黄 3個分
  • サワークリーム 200g
  • ココアパウダー 大さじ2
  • 小麦粉 大さじ1
  • 砂糖 70g
  • バター 200g
  • 塩 ひとつまみ
  • デコレーション用のナッツとダークチョコレート

作り方:

 1.メレンゲを作る前にまず、お酢かレモン汁少しを使って、ボウルと泡立て器をきれいにする――こうすることで器具についている油分が除去され、卵白がしっかりと泡立つようになる。卵を卵白と卵黄に分け、卵白をきれいにしたボウルに入れて最初はゆっくりと泡立てていく。ツンとしてきたら塩をひとつまみ加え、中くらいの速さで引き続き泡立てる。卵白が白くふわふわになったら、砂糖を大さじ1ずつ加えていく。数分して砂糖の粒が完全になくなったら、つやのある硬いメレンゲができる。

 2.できたメレンゲを絞り袋に入れ、クッキングシートを敷いた天板の上に絞りだし小さな丸い形をたくさん作る。これを120℃で60分焼く。その後、温度を100℃に下げて、さらに30分焼く。メレンゲが焼きあがったら、火を切り、オーブンの中に入れたままで冷ます。

 3.この間にケーキ用のクリームを作る。大きめのボウルに、卵黄、サワークリーム、砂糖、塩、ココアパウダーを入れて混ぜたら湯煎にかける。

 4.休まずに攪拌し続けると、3〜6分後にはかなり濃厚になる。クリームが十分な濃さになったら湯煎からおろし、ラップをして、しっかりと冷ます。

 5.やらなきゃいけないことは、クリームとバターを混ぜ合わせるだけ。まず、別のボウルで柔らかくしたバターを混ぜよう――つやつやした、黄色がかった白になるまで。

 6.次に、バターにココアクリームを加える。大さじ1ずつ加えながら、むらなく滑らかなになるまでミキサーで泡立てる。

 7.さあ、いよいよケーキを完成させよう! 皿の上に大さじ1のクリームを塗り敷き、その上にメレンゲの第一層を並べる。

 8.メレンゲをひとつずつクリームに浸けて、ピラミッド型にケーキを組み立てていく。 各層に砕いたチョコレートをたっぷりと振りかける。お好みでナッツを追加してもいい。

 9.出来上がったケーキを冷蔵庫で一晩寝かす。濃い目のコーヒーと一緒に味わおう。召し上がれ!

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