1.ペレペチとフランスのキッシュ
ウドムルトの丸くて平たいパイは、様々な具を入れて作られるが、このペレペチはフランスのキッシュによく似ている。ペレペチはイーストを加えないライ麦の生地かライ麦と小麦粉の生地で焼かれ、その上におかず系の具(たとえば肉やキャベツ、ジャガイモ、キノコなど)を乗せて作られる。具の上に卵、牛乳、サワークリームを混ぜたものを乗せて、オーブンで焼く。ペレペチの「ぺチ」はオーブンの意味である。キッシュはペレペチと違い、パートブリゼで作られ、中にはサワークリームではなく、チーズが加えられる。
2.オラディとアメリカのパンケーキ
ロシアのオラディはアメリカのパンケーキに似ている。材料はほぼ同じだが、パンケーキには多めの卵とベーキングパウダーが使われ、生地はしっかり泡立ててから焼く。もう一つの相違点は焼き方にある。パンケーキはオラディにあるような焼け目をつけず、ふわふわに仕上げるため、少量のバターで焼く。そして食べ方も少し違う。パンケーキには普通、メイプルシロップ、ジャム、チョコレートをかけて食べるが、ロシアのオラディはサワークリームかハチミツを添えて出される。
3.ニャーニャとスコットランドのハギス
キエフルーシの時代から知られる古いロシアの料理ニャーニャはその材料と作り方からスコットランドのハギス(ヒツジの内臓をヒツジの胃袋に詰めて茹でたもの)に似ている。ニャーニャはヒツジの胃袋にヒツジの肉や脳と、そばの実の粥とタマネギを詰め、オーブンで焼いたものである。
4.コヴリシカとドイツのシュトレン
シュトレンはレーズンとマジパンが入ったドイツの伝統的なケーキである。ロシア版シュトレンはコヴリシカといい、蜂蜜入りの生地で出来た2枚のケーキの間にジャムを挟んだものである。生地にはクルミ、レーズン、砂糖漬けのフルーツが加えられ、上には砂糖の白いグレーズをつける。ロシアで主にコヴリシカが作られているのはゴロジェッツとモスクワであった。
5.トヴォロージニクとドイツのクヴァルククーヘン
材料も作り方も非常によく似ている。カッテージチーズ、小麦粉、卵、バター、サワークリーム 、砂糖、塩、ベーキングパウダーで作られる。チーズケーキにも似ているが、チーズの代わりにカッテージチーズが使われる。
6.ホロジェッツとブルガリアのパチャ
ホロジェッツは濃厚な肉汁と小さく切った肉で作るゼリー寄せである。ゼラチンや寒天は使わず、肉の骨の中に含まれるゼラチン質で固める。良く似た料理がブルガリアにある。パチャと呼ばれるもので、骨つきの肉をスパイス入りのお湯に入れて長い時間煮込み、その肉を取り出して小さく切ったものをブイヨンに戻し、ニンニク、唐辛子、ときに牛乳を加えて作る。出来立てを温かいまま食べることもあれが、冷ましてゼリーになった状態で食することもある。
7.ワレニキとスロヴェニアのジュリクロフィ
ワレニキは生地の中に具を入れて茹でたもの。具はベリーやカッテージチーズ、ジャガイモ、キノコ、タマネギなどである。耳のような半月形をした生地に具が詰めてあるスロヴェニアのジュリクロフィによく似ている。具には、ジャガイモと、豚の脂身とベーコンとタマネギを細かく刻んだものが使われることが多い。
8.ジャガイモのザペカンカとスペインのトルティーヤ
どちらの料理も薄い輪切りにしたジャガイモと卵、牛乳または生クリームが主な材料である。違いがあるのは作り方。ザペカンカはオーブンで焼くが、トルティーヤはフライパンで焼く。
9.ザワークラウトと韓国のキムチ
ルーシ時代、キャベツは2番目のパンと呼ばれていた。キャベツ、とりわけ発酵させた作るザワークラウトは、一年中、食卓に乗っている食品であった。ザワークラウトは短冊切りにしたキャベツに細く切ったニンジン、塩、砂糖を加えて、重しをして、3~5日間、室温で漬け込む。毎日、ガス抜きをし、泡をとる。韓国のキムチは調理法はほぼ同じだが、ニンジンの代わりに唐辛子を加えるため、非常に辛い。
10.フリカデリキ(ミートボール)とインドネシアのバクソ
バクソは肉か魚のインドネシアのミートボールで、ブイヨンかスープに入れた形で出される。ロシア料理のフリカデリキは挽き肉で作る小さなミートボールで、こちらもスープに入れるととてもおいしい。