毎年夏が来ると、冬の間によく作るヘビーなバタークリームが入った手の混んだ多層仕立てのケーキは食べたくなくなり、軽くて口どけのよいさっぱりしたケーキが食べたくなる。新鮮なベリーを添えたスメタンニクは「to do」ならぬ「to cook」リストの一番上に来るデザートだ。
ケーキの名前はサワークリームを意味するスラヴの言葉「スメタナ」に由来する。サワークリームはロシアの家庭の冷蔵庫にいつも必ずあると言っても過言ではない一般的な食品の一つ。パンケーキのトッピングやスープ、サラダに入れられるだけでなく、ケーキを作ることもできる。
スメタンニクの一番の魅力は材料も作り方もシンプルである点。はっきり言ってこれは最高の夏のスイーツだと言える。甘すぎないからである。その理由はクリームにある。砂糖とサワークリームが組みわされたシンプルなクリームは、少し酸味のあるさっぱりとした味で、口どけがよい。ただし伝統的なスメタンニクは層になったココアのスポンジと甘いサワークリームで作られている。
わたし個人的にはグラスに入ったいわゆる「フュージョン・スメタンニク」がお気に入り。クリームと新鮮なイチゴとカリッとしたココアシュトロイゼル(そぼろ状の甘いトッピング)をグラスに入れれば、驚くほどおいしいスメタンニクの出来上がり。
ケーキを作る時間なんてないけれど、すごくおいしいデザートを作りたいというあなたにぴったりなグラス入りスメタンニクのレシピをどうぞ。
シュトロイゼルの材料:
- 小麦粉 130g
- ココアパウダー 20g
- ベーキングパウダー 大さじ1/2
- バター 75g
- 砂糖 50g
- 塩少々
クリームの材料:
- サワークリーム 300g
- 生クリーム 100ml
- 粉砂糖 適宜
- イチゴ 適宜
作り方:
まずはシュトロイゼルを作る。小麦粉、ココアパウダー、ベーキングパウダー、塩、砂糖をボウルに入れて混ぜる。ココアの量はお好みで調節する。
生地の入ったボウルに冷たいバターを入れ、両手でこねる。サクサクと砂のような手触りになれば、シュトロイゼルの生地の出来上がり。バターを加える前に、生地を冷蔵庫で40分ほど寝かせると、さらに重厚な感じになり、クラムが均等になる。
シュトロイゼルを焼き型に入れ、小さく切ったベーキングペーパーで覆い、180℃で30分ほど焼く。10分ごとにシュトロイゼルをオーブンから取り出し、軽く混ぜると均等に焼きあがる。ボロボロ、カリカリした状態になればシュトロイゼルは完成。
シュトロイゼルを冷ましている間に、クリームを作る。冷たいサワークリームに粉砂糖を少量加え、固くなるまで泡立てる。ちょっぴり酸味があるユニークな味にするには、砂糖大さじ2–3杯にする。クリームはこのままでもよいが、もう少しなめらかさを出すには、ここにホイップクリームを少量加えるとよい。スパチュラを使って、ホイップクリームをサワークリームにそっと加える。
最後に新鮮なイチゴを小さく切って、クリームに入れる。シュトロイゼルをスプーンですくい、グラスの底に入れたら、その上にイチゴの入ったクリームを大さじ3杯ほど注ぎ、その表面にもう一度シュトロイゼルをふりかける。できあがったら冷蔵庫で数時間冷やす(一晩冷やすとなおよい)。なめらかなクリームがふんわりとしたムースになる。これこそまさに料理の魔法である。
この夏のデザート、カプチーノと相性抜群。きっとお気に召すはず。ぜひ作ってみてください。