『ニシンの子牛肉添え。食べ物と作家とレシピについての本』エリダール・オルジェフ著、画像:インナ・バガエワ
「僕は、マイニスト(フィン族)のように炒めたジャガイモを食べているよ、卵はルイ18世のように半熟だ。これが僕の昼食だよ」と、詩人のアレクサンドル・プーシキンは妻のナターリアに手紙で書いている。
『ニシンの子牛肉添え。食べ物と作家とレシピについての本』エリダール・オルジェフ著、画像:インナ・バガエワ
炒めた「プーシキン風ポテト」のレシピは今日、望む人は誰でも作ることができる。そのためには、小さなジャガイモを皮ごと茹でてから皮を剥き、その後、バターとハーブを入れてフライパンで炒め、お好みで塩コショウをすることだ。
このレシピは、長い爪をしたプーシキンの絵と同様に、この詩人の有名なもので(彼には、「有能な者が爪の美を考えてもよかろう……」(『エヴゲーニー・オネーギン』)という詩行がある)、エリダール・オルジェフの著書『ニシンの子牛肉添え。食べ物と作家とレシピについての本』の中にも見つけることができる。
「本の企画は偶然に生まれました、私はクルピャンニク(挽き割りの粥)のレシピに出会って驚いたんです、なぜこんな簡単な伝統料理のレシピが普通に使われていないのかと、それでこの問題を研究し始めたのです」と、エリダール氏はロシア・ビヨンドに語ってくれた。その後、この作家は友人たちへの贈り物としてレシピの載った記念になるような本を作ることにした――こうしてわずかな部数を出したのだが、それはまもなく英語でも出版されることになる。
『ニシンの子牛肉添え。食べ物と作家とレシピについての本』エリダール・オルジェフ著、画像:インナ・バガエワ
「クルピャンニクは冷たくても温かくても食べることができる」と作家は語っている。「中身は無くれも作れるし、甘いもの(干しアンズ、干しブドウ)と同じように、野菜(ブロッコリーやキノコ)でもいいし、実に様々な物を入れることができる。クルピャンニクは簡単に作れる。型に入れてひとつずつ作るんだ。中には、体に良くてミネラルが豊富なソバの実が入るが、他のものでも挽き割りならなんでも使える」。
材料:
作り方:
ソバの実を牛乳に入れて火にかけ、砂糖、塩を少し加えて冷ます。その後、卵を入れ、カッテージチーズを加え、すべてを混ぜて型に入れ、上にバターを塗ってから180度に熱しておいたオーブンで20分焼く。
『ニシンの子牛肉添え。食べ物と作家とレシピについての本』エリダール・オルジェフ著、画像:インナ・バガエワ
エリダール・オルジェフの本には、ゴーゴリが叔父に書いた手紙の引用がある、「あなたはまだ私の長所をすべてご存じないのです。私はあれこれの仕事を知っているんですよ、良い仕立屋ですし……台所で働きもします、料理法もあれこれたくさん知っているんですよ……」。そこには、カクテル「ゴーゴリ・モーゴリ」のレシピが挙げられている。
材料:
作り方:
鍋に、レモンの皮と砂糖、シナモンを一緒に入れてミルクを温める。沸騰したら、すぐに火から下ろし、かき混ぜながら、泡立てておいて卵白を加える。その後、ラムとブランデーを入れる。温かい状態で出す。
*マイニスト―帝政ロシアに住み、ロシア語を解さない沿バルト海地域のフィン族の古い呼び名。
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