ロシア文学の作家の美味しい料理5選

Anke pie by Sofya Tolstaya

Anke pie by Sofya Tolstaya

www.tolstayacookbook.ru
 トルストイのピログ、プーシキンのコトレタ、ブルガーコフの卵ココットなどをつくり、古典文学の食の世界に浸ってみよう。

1.     トルストイ夫人の「アンケのピログ」

トルストイ夫人の「アンケのピログ」=www.tolstayacookbook.ruトルストイ夫人の「アンケのピログ」=www.tolstayacookbook.ru

材料

\t小麦粉 1フント\t無塩バター 1/2フント\t砂糖1/4フント\t卵黄 3個\t水 水30㎖
 このピローグ(ケーキ)の名前は、ベルス家(レフ・トルストイの妻の旧姓)の家庭医ニコライ・ボグダノヴィチ・アンケにちなんで名づけられた。トルストイの妻のソフィヤ・アンドレーエヴナは、つくり方をアンケ医師の専属料理人から教えてもらった。以来、トルストイ家の祝い事では欠かせないピローグとなった。トルストイの息子のイリヤは、「アンケのケーキのない『名の日』はツリーのないクリスマスと同じだった」と話している。

中身

\t無塩バター 1/4フント\t卵 2個\t砂糖 1/2フント\tレモン 3個備考:1フント=400㌘
 ソフィヤ・アンドレーエヴナの料理本によれば、レシピはとても簡単である。「小麦粉1フント、バター1/2フント、砂糖¼フント、卵黄3個、水30ml。バターは少し冷たい状態のものを使う。バター1/4フントをこね、卵2個、砂糖1/2フント、レモン2個分のピール、レモン3個分のレモン汁を加えて混ぜる。蜂蜜のようになるまで煮沸させる」

ソフィヤ・アンドレーエヴナの料理本は、インターネットで見ることができる。

2.     プーシキンが愛したポジャルスキー風コトレタ

ポジャルスキー風コトレタ=Shutterstockポジャルスキー風コトレタ=Shutterstock

材料

\t鶏肉(皮なし) 500㌘\t無塩バター 大さじ2\t生クリーム 大さじ2\t白パン 3切れ\t牛乳 2/3カップ\t乾燥パン粉 大さじ1/2\t卵 1個\t植物油 適宜\t塩、コショウ、葉野菜
 トルジョク(モスクワとサンクトペテルブルクのちょうど間に位置)のポジャルスキー家の飲食店兼旅館には、プーシキンなどの著名人が多数宿泊していた。ポジャルスキー家のコトレタ(ハンバーグ)は、皇家のメニューにもなった。プーシキンはトルジョクの小さな店の看板から、作品の主人公の名前を取った、と考えられている。「エヴゲーニイ・オネーギン~パンと裁縫の職人」という看板を見て気に入り、決めたようだ。

 1826年に友人の一人ソボレフスキー宛てに書いた手紙には、ポジャルスキー風コトレタとトルジョクについてのこんな詩がある。

 「暇な時に食事、トルジョクのポジャルスキーのところで、焼いたコトレタ食し、出発が軽快に」

作り方:

 鶏肉をひき肉器を使ってひき、溶かしバター、生クリーム、塩、コショウを肉に加えて混ぜ、再びひき肉器でひく。白パンを牛乳に浸して絞り、肉に加える。楕円形のハンバーグにする。溶き卵につける。乾燥パン粉を全体にまぶして、フライパンに油を敷いて熱し、キツネ色になるまで8~10分焼く。葉野菜を添えてふるまう。

3.     ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」の卵ココット

「巨匠とマルガリータ」の卵ココット=Panthermedia「巨匠とマルガリータ」の卵ココット=Panthermedia

材料(1人分)

\t卵 1個\t無塩バター 大さじ1\tすりおろしハードチーズ 大さじ1\t乾燥パン粉 少々\tピューレ\tマッシュルーム 500㌘\t高脂肪生クリーム 100㎖\tタマネギ大 1個\t無塩バター 適宜\t塩、コショウ 適宜
 1930年代の飢えていた未構築のモスクワが舞台の長編小説「巨匠とマルガリータ」には、ソ連のプロパガンダと政権の称賛で国から食べさせてもらうソ連の作家が描かれている。作家の集合場所は、普通の人の入れないグリボエードフ家のレストラン。当時では考えられない珍味がふるまわれていた。「モスクワの古参は有名なグリボエードフ(文学組織マッソリトのあったグリボエードフ家)を覚えている!一品もののスダク煮を!銀鍋のカワリチョウザメ、カワリチョウザメ、ザリガニの後尾と採りたてのキャビアと交ざっているカワリチョウザメは?カップに入ったマッシュルーム・ピューレの卵ココットは?」

作り方:

 マッシュルームを切って、玉ねぎと蒸し煮にし、ピューレをつくる。塩、コショウをして、生クリームを加え、バターを塗っておいたココット用カップに入れ、上に卵を一個落とし、チーズと乾燥パン粉を混ぜてふりかけ、卵の白身がかたまるまでオーブンで焼く。

4.     ストルガツキー兄弟の「幽霊殺人」のカクテル18+

「幽霊殺人」のカクテル=Ingimage「幽霊殺人」のカクテル=Ingimage

材料

\tポートワイン 300㎖\t水 200㎖\tレモン 1/2個\t砂糖 大さじ1\tシナモンスティック 適宜\tクローブ 4~5個
 警察官はスキーをしに山奥の山荘に来る。そこで止宿人の死の証人となる。これは殺人事件のようであった。捜査を始めるが、予期せぬ結果になる。山荘の止宿人の一部は宇宙人で、死亡したのはロボットであった。ロボットは電力システムの故障により、作動しなくなった。

 「私たちは暖炉のある部屋に座っていた。石炭が熱く燃え、椅子は古い、本物の、しっかりとしたものだった。ポートワインは熱く、レモン入りで、香り豊かであった」

作り方:

レモンの皮を削る。レモン汁を絞って、鍋にレモンピールと一緒に入れ、砂糖を加える。ポートワインを加え、弱火にかける。混ぜて、砂糖が溶けるのを待つ。この間に水をやかんに入れて沸騰させる。砂糖が溶けたら火からおろし、熱湯を1カップ注ぎ、鍋の蓋をしてしばらく置く。ろ過させたら、できあがり。

5.     ゴンチャロフの「オブローモフ」のパルメザンチーズ・マカロニ

「オブローモフ」のパルメザンチーズ・マカロニ=Panthermedia「オブローモフ」のパルメザンチーズ・マカロニ=Panthermedia

材料

\tマカロニ 300㌘\tバター 100㌘\tパルメザンチーズ 100㌘\t焼いた肉の汁 適宜\t塩、コショウ 適宜
 オブローモフの怠惰と食道楽がエスカレートする、物語の最後の舞台は、サンクトペテルブルク郊外の、大学の秘書アガフィヤ・マトヴェエヴナ未亡人の家。オブローモフをひたむきに愛し、オブローモフの大好きな料理をつくる。「オブローモフが数年前にここに入居した時と同様、丁寧、きれいに、おいしいコーヒーがふるまわれた。モツ入りのスープ、パルメザンチーズのマカロニ、クレビャカ(大きな肉、魚、キャベツの入ったパイ)、ボトヴィニヤ(クワス、菜っ葉、魚の冷スープ)、ひな肉が、厳密な順番で次々に出され、小さな家の単調な日々が心地良い多彩な日々となった」

作り方:

 鍋の熱湯に塩を入れ、マカロニ300㌘を入れて、半茹でにする。マカロニをザルにあげてお湯を切り、鍋に1層並べ、その上にパルメザンチーズを振り、肉汁を大さじ3杯かけ、またマカロニを1層並べて、これをくり返していく。一番上にバター100㌘をのせて、蓋を閉め、弱火にかける。マカロニが焦げつかないように、鍋をひんぱんにゆする。マカロニは、お湯に入れてから食卓に出すまで、1時間半ずっととろ火でゆでる。

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