ダイナミック・デュオ・パイオニア:新しいロシア料理の最も刺激的な品々

ロシア料理
マリア・スタンブラー
 最近まで、ロシア料理は皆さんが想像する通りのものだった。ボルシチ、ペリメニ、そしてビーフストロガノフ。だが革新的な新世代、大胆で創造的なロシア人シェフらのおかげで、その認識は急速に変わりつつある。この料理革命の最前線にいるのが、双子の兄弟、セルゲイとイワン・ベレズツキーだ。

 2014年に政府が食品の禁輸措置を取ったことで、新しいロシア料理の隆盛が後押しされた。例えば、ベレズツキー兄弟は国中から最も素晴らしい材料を取り寄せ、その名もずばり“ツインズ”というレストランをオープンした。極上の料理を味わう機会を提供することで、モスクワの人々に自国の豊かな料理の伝統に誇りを持ってもらうことが狙いだ。

 ツインズは最近ツインズ・ガーデンと店名を改めたが、この新しい名称も偶然決まったのではない。高品質の材料を常に探し求めることに疲れを感じたセルゲイとイワンは、ティミリャゼフ農業アカデミー(国内で最も権威がある)とチームを組んだのち、カルーガ州に50ヘクタールの土地を購入した。これはモスクワから車で数時間の圏内ではエコロジーの観点から最もクリーンな地域の一つと考えられている。現在、ツインズ・ガーデンの料理に使う野菜、果物、乳製品、肉、魚、ハーブの7割がカルーガ農園から来ている。これにより、兄弟は厨房で使う材料一つ一つを個人的に管理することができる。現時点では、このようなシステムを持つレストランはロシアには他にない。これはロシアのファーム・トゥー・テーブルの最高の実現形だ。残りの3割は、セルゲイとイワンがロシア極東の信用の置ける長期的なパートナーたちのところから取り寄せている。

 セルゲイがロシア・ビヨンドに話すように、客は味の違いを実際に感じているが、ツインズ・ガーデンが他の競争相手より頭一つ抜けていられるのは、特に優れた品質のおかげだけではない。料理に対する斬新で実験的な彼らのアプローチにより、一品一品の料理が、芸術作品もしくは輝かしい科学実験の結果として結実している。ロシア・ビヨンドが、新しいロシア料理の根幹をなす8品を皆さんにお届けする。

 

キャベツ

 燻したスルグニ・チーズのソースとともにロシア式オーブンで焼いたさまざまな種類のキャベツ

 

チシマイチゴ

 煮沸ミルクとチシマイチゴ

 

ツインズ自慢のチーズ

 ヌビアン山羊のミルクで作った4種のチーズと、牛乳で作った4種のチーズ。熟成度の点から言えば、チーズは6ヵ月間寝かせたものから今朝作られたものまである

 

若鶏

 若鶏のフライドチキン、コーン、ビーンズ、トマトの入ったサラダ

 

コチョウザメ

 さまざまなビーツとともに蒸したコチョウザメと、ヴィジガ(乾燥させた軟骨魚の背中の腱)のフジッリ

 

トマト

 さまざまな色のトマトとハマベブドウの温かいパイ

 

サラダ・ガーデン

 新鮮な農園野菜のサラダ

 

カニ

 カムチャッカ産のカニのサラダ、ブンタンと日干ししたイエロートマト入り

 

 今度ロシアに行くときは、ぜひベレズツキー兄弟のレストランを訪れるように。そして40あまりある料理の何品かを味わうか、6コース味わいメニューを試してほしい。しばしばオープンキッチンで働いている彼らの姿を見ることができる。研究室(そう、科学設備の整った研究室だ!)に閉じこもり、衝撃的な新料理を作っていない限りは。

 ワインについて言えば、この分野でも彼らと肩を並べる者はCIS(独立国家共同体)諸国にはいない。彼らのワインセラーには1000種類以上のワインがあり、その多くはロシアのどこを探しても、ここ以外では見つからない。彼らはニコルスカヤ通のセント・レジス・モスクワの中にツインズ・ワイン・スペースをオープンした(彼らのカニをメインとしたレストラン、クラブ・アンド・ワインの近く)。ここには500以上のワインがあり、その8割はフランス産だ。お察しのように、兄弟は食の世界を席巻しているだけでなく、ワインの巨人としてロシアの首都に君臨しつつあるのだ。

 モスクワを訪れることは当面なさそうだという場合も大丈夫、ベレズツキー兄弟を家に連れて来ることができる! どんな機会にもぴったりの一品、ガーデン・サラダのレシピをどうぞ。

 

材料(1人前) 

作り方

パースニップをオーブンで焼く

ズッキーニとブロッコリーをみじん切りし、グリルで炒める

残りの野菜をみじん切りする

トマトのマリネの汁をかける

レタスの葉をドレッシングと混ぜ合わせる

サンドライトマト(50 gを作る)

 

トマトのマリネ(550 gを作る)

 

レタス用ドレッシング(300 gを作る)