アメリカ、イギリス
マリア・イヴァノヴナ(短縮してマリヴァンナ)は、ロシアのバーブシカ(おばあちゃん)の典型的な名前。店名から、おいしい家庭料理をイメージする。焼きたてのブリヌィ(クレープ)、ピロシキ、マヨネーズ入りのさまざまなサラダなど。マリヴァンナのメニューは豊富で、料理はこれに限らない。イギリスのロンドン、アメリカのロサンゼルス、ワシントンD.C.、ニューヨークに店舗があり、世界で最も人気の高く有名なロシア料理チェーンの一つになっている。ここでは、海外に暮らすロシアの有名人を見ることもできる。記者はたとえば、ワシントンD.C.店でアイスホッケー選手のアレクサンドル・オヴェチキンに会った。ロシアのおばあちゃんの家にいるような内装と雰囲気の中、おいしい料理に舌鼓を打ちながらリラックスできる。
アメリカ・ニューヨーク
アメリカの人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」に登場する伝説的なレストラン。ドラマで主人公キャリーの恋人のアレクサンドル・ペトロフスキー役を演じるバレエ・ダンサー、ミハイル・バルィシニコフは、この店の共同経営者。キャリーとアレクサンドルはこの店で、ウォッカを飲み、ディル入りサラダ、肉サラダ、ホロデツ(肉の煮こごり)を食べている。これらは「ロシアン・サモワール」の実際のメニューである。店の内装に赤がたくさん使われていることをキャリーが指摘すると、アレクサンドルは、「悲しいかな、それがロシアのイメージ」という。ここにはサモワールもたくさんある。
ここは亡命ロシア人のお気に入りの場所になってきた。ロマン・カプランは1986年、友だちを歓迎するためにこのレストランを開業した。店の経営が苦しくなった時に、ノーベル文学賞作家のヨシフ・ブロツキーやバルィシニコフに支援を頼み、共同経営者になってもらったといういきさつがある。
russiansamovar.com
イギリス・ロンドン
ロンドンのロシア・レストランには、オーソドックスなボルシチから豪華なキャビアまで、幅広いメニューがある。「ノヴィコフ(NOVIKOV)」、マリヴァンナなどもそうである。
数年前、カムデンに新しいレストランが登場した。肉、キャベツ、魚、キノコ、春タマネギなどの詰め物や、甘い詰め物のピロシキを提供している。伝統的なオリヴィエ・サラダ、キエフ風チキンカツレツ、ゴルベツ(ロールキャベツ)などの、ワクワクする料理もある。
ソーホーにある「ジマ」ロシア料理・バーは人気の店。レストラン経営者アレクセイ・ジミンが所有しており、さまざまな前菜、スープ、ビーフ・ストロガノフやペリメニ(水餃子)がある。
ソ連の酒場リュモチナヤ(ショットグラスのリュムカを意味する酒場でウォッカと軽食を提供)をほうふつとさせる内装。10種類のウォッカ以外に、ウイキョウとタラゴン、西洋ワサビとリンゴ、クランベリーとカレーリーフ、イチゴとバジルなど、独特の組み合わせのリキュールなども飲むことができる。
フランス・パリ
モスクワで盛況の貴族ロシア料理レストラン「カフェ・プーシキン」の創業者アンドレイ・デロス氏が、パリに同じ名前のレストランと、ケーキ店「プーシキネット(Pouchkinette)」を開業した。まるで19世紀の貴族社会に飛び込んだようなこの店には、フランス・ロシアの雰囲気満載。どのデザートも、見た目、味ともに素晴らしい。パイやメドヴィク(蜂蜜ケーキ)以外にも、チョコレートのファベルジェの卵などがイースターにメニューにお目見えする。
maison-dellos.com/en/restaurants/
日本東京
牛ほほ肉、ブリヌィ(クレープ)、オクロシカ(冷製クワス肉野菜スープ)、「毛皮のコートの下のニシン」、ペリメニ(水餃子)、またジャガイモ、鶏肉、マッシュルームの壺焼きなど、豊富なロシア料理のメニューが東京にそろっていることは驚きだ。
シベリアのバイカル湖にちなんで名づけられたこの店は、新年、イースター(イースターの本物のケーキやエッグあり)、マスレニツァ(乾酪週)(大量のブリヌィあり)などのイベントを開催している。
https://roppongi-baikal.jimdo.com/
「ロゴスキー」は、1951年に日本人が開業した店。ここを訪れるロシア人は、料理もサービスも素晴らしいと絶賛している。伝統的なロシアの工芸品であるジョストヴォの塗り盆、マトリョーシカなどのある内装は豊かで素敵である。
ドイツ・ベルリン
ベルリンにはさまざまなロシア料理レストランがある。ノーベル文学賞受賞者(1958年)で有名な長篇小説「ドクトル・ジヴァゴ」の作者である20世紀最大のロシアの詩人で作家の一人、ボリス・パステルナークの名前のついた店。「プロレタリアート」、「インテリジェンス」という名前の料理や、ペリメニ「レニングラード」、ヴァレニキ(大水餃子)「シベリア」、またロシアや旧ソ連諸国の料理、ユダヤ料理を提供するというコンセプトは興味深い。ソ連のアパートをイメージした内装は、一見の価値あり。
「ダーチャ」、「カフェ・ゴーリキー・パーク(Café Gorki Park)」などのレストランもある。ダーチャとは、国民が週末の時を過ごす別荘で、自然の中をかけまわったり、隣の庭からリンゴをこっそりいただいたりした楽しい子ども時代のイメージがある。もちろん、この店からこっそりいただいたりしてはいけない。ソリャンカ(味の濃い肉や魚の入ったスープ)やビーフ・ストロガノフはおすすめ。
イタリア・トリノ
シビリャキとはロシア語でシベリアっ子を意味する。菜食主義者には厳しいレストランだが、シベリアに菜食主義者はいないであろう。おいしい肉料理を食べたいなら、ここはおすすめ。量が多く、喜びもその分倍増する。開店時間は午後7時30分なので注意。
www.tripadvisor.ru/
イタリア・フォルテ・デイ・マルミ
トスカーナで休暇を過ごすなら、ここを訪れて、おしゃれなロシア人みたいに料理を楽しんでみよう。海岸部であるため、ブリヌィ、ペリメニ、ボルシチなどのロシア料理以外に、魚、ロブスター、キャビアなどもメニューになっている。景色は素晴らしい。作家ニコライ・ゴーゴリが、イタリアを愛し、ここで作品を書いたことも忘れずに。
www.tripadvisor.ru/Lobster_Russian_Corner
スペイン・マドリード
コサックを意味するレストラン「エル・コサッコ」は、1969年に開業したマドリードで最も古いロシア・レストラン。軽食のロマノフ、サケのサラトフ、カモのチェーホフといったメニューから、料理長がロシアの歴史、文化、地理にインスピレーションを受けて料理を考案したことがわかる。ブリヌィ、ゴルベツ、ビーフ・ストロガノフ、また食べたことのないサラダも頼んでみよう。ウォッカは複数種ある。
「ラスプーチン」という名前は、海外のロシア・レストランによく使われている。ロシア史で最も印象の強い人物の一人ラスプーチンにちなんでいることは、明らかだ。マドリードのこの店には来る価値がある。メニューはスペイン風であるが(サングリアはロシアの伝統的な飲み物ではない)、絶妙な味のスモークサーモンと、19世紀後半から20世紀初頭のロシアの商人の暮らしをイメージさせる内装は魅力的。
restauranterasputin.com/
レティーロ公園に行くなら、「グリボク(Gribok)」レストランにも行ってみよう。ここもとても評判が良い。
オーストラリア・シドニー
「ベリョースカ」に行くと、ロシア語話者に囲まれ、セリョトカ(ニシン)やクレビャーカ(肉、魚、キャベツなどの入った大きなピロシキ)の正しい発音を学ぶことができる。バーブシカ(おばあちゃん)ウェイトレスは、濃厚なサワークリームの添えられたペリメニを提供してくれる。11月、このレストランは新しい料理長を迎えて新装開店する。どのようになるのか楽しみだ。
https://www.zomato.com/sydney/berezka-restaurant-strathfield
マヨネーズたっぷりのサラダやブリヌィを食べることのできる「ロシアン・ナイツ」。ホロデツや塩漬け野菜つきの軽食は、ウォッカによく合う。
www.zomato.com/sydney/russian-nights-bondi/
カナダ・トロント
カナダにはロシア語話者が多く、この「レッド・スクエア(赤の広場)」レストランは人気がある。初めて行った時には、ニシンとフォルシマク(パテ料理)、メインディッシュにはキエフ風チキンカツレツを食べるのがおすすめ。
www.redsquarerestaurant.com/home.asp
「ロシアン・ツァーリ」や「レッド・アーミー」ウォッカ、「ペレストロイカ」カクテルなどはいかがだろうか。ソ連の新聞「プラウダ」にちなんで名づけられた店で、「トロツキー」、「カール(マルクス)」、「フリードリヒ(エンゲルス)」といったボリシェヴィキ風の飲み物がある。歴史の勉強にもなるメニューだ。クマのように泥酔しないよう、注意しよう。「ロシア人とウォッカ飲み競争」の記事も読んでおこう。
www.pravdavodkabar.com/drink-menu/
海外のロシア・レストランでおすすめの店があったら、下にコメントをどうぞ。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。