無性に食べたくなるロシアのケーキ10種

ロシア料理
アンナ・ソロキナ
 最も甘いリストを用意した。カロリーのことはしばらく忘れよう。

1. プティチエ・モロコ(鳥のミルク)

 このケーキの名前は、材料とは関係ない。マシュマロのようなふっくらスフレにダーク・チョコレートのかかっている菓子で、ロシア人の大好物。1982年に、ソ連で初めて特許登録されたケーキである。モスクワの伝説的な「プラハ」レストランのパティシエ、ウラジーミル・グラリニク率いるチームによって、レシピが考案された。

 全国各地の店、カフェ、レストランで販売されている。極東ウラジオストク市では、ゼラチンの代わりに寒天を用いたプティチエ・モロコ・キャンディーが製造されている。

2. ナポレオン

 一説によると、フランス軍に勝利した1812年ロシア戦役の100周年で、考案されたという。多層ケーキで、層の間にはクリームが入っている。ロシアの祝いの食卓でよくふるまわれる。他の国にも似たケーキがある。フランスの「ミルフィーユ」(1000層の意)、イギリスの「バニラ・スライス」、ベルギーの「トンプース」など。

 ナポレオンはクリーミーでやわらかく、口の中でとろける。家でも簡単につくることができる。

3. ポリョト(飛行)

 ソ連時代、とても愛されていた。どのようにしてあらわれたのかは謎。やわらかなメレンゲ焼きとなめらかなバタークリームのハーモニーが特別なケーキで、祝いごとのある時にふるまわれる。もちろん、毎日を祝いの日にしたっていい。

4. メドヴィク(蜂蜜ケーキ)

 メド(ミョド)とは、ロシア語で蜂蜜を意味する。このケーキの甘い歴史は、19世紀初頭、皇帝アレクサンドル1世の厨房で始まった。皇后エリザヴェータ・アレクセエヴナは蜂蜜が大嫌いで、蜂蜜の入った料理があると不機嫌になっていた。ある時、若い新入りの菓子職人が、それを知らずにサワークリームのたっぷり入った蜂蜜ケーキをつくってしまった。蜂蜜の風味がしっかりとあるにもかかわらず、エリザヴェータ・アレクセエヴナはこれを食べ、とりこになった。

 今日、メドヴィクには多くのバリエーションがある。練乳入り、バタークリーム入り、カスタードクリーム入りなど。

5. プラガ(プラハ)

 とてもおいしいチョコレート・ケーキ。プティチエ・モロコを担当したプラハ・レストランの菓子職人たちが、1970年代に考案したケーキで、ソ連の魅力と贅沢さの極みを象徴している。オーストリアの「ザッハトルテ」に似ているが、プラハはバターと練乳を特徴としている。

6. モスクヴァ(モスクワ)

 2015年に考案されたばかりの新しいケーキであるが、すでにモスクワの料理のシンボルとなっている。行政府後援のケーキ大会で20万人以上がこのケーキに投票し、優勝した。クルミと練乳が惜しみなく使われた4層のクリーム・ケーキで、赤いアイシングが特徴。モスクワのあちこちでふるまわれている。

7. ムラヴェイニク(アリ塚)

 ケーキの形がまるでアリ塚のようであるため、このような名称になっている。ソ連のどの家庭にもある材料ですばやくつくることができた。

 細かな生地をカリカリに焼き上げ、クリームを使い、山状に整える。多くの家庭に独自のレシピがある。

 今日、店頭でも販売されている。

8. スカスカ(おとぎ話)

 丸太の形をした祝い用のケーキは、ロシアにたくさんある。このケーキは、おいしいビスケット生地にオレンジ・リキュールまたはコニャックがしみこんでいる。ソ連時代、コスト的にお手頃なケーキだった。クリームの花と砂糖漬けのフルーツの装飾がかわいく、おいしい。

9. パンチョ

 「フィリ・ベイケル」という会社が、最近考案したケーキ。ロシアの主婦の異なるレシピをもとにしている。チョコレートとバニラの層にバニラ・クリームがしみこんだ、ナッツとチェリーたっぷりのケーキで、チョコレートが上にかかっている。大きな祝いごとにぴったりである。

10. レニングラーツキー

 サンクトペテルブルク市のソ連時代の古称レニングラードにちなんだケーキ。短い焼き菓子とクリームの多層ケーキで、クリーミーな花とチョコレートの飾りが施されている。

 ロシアで一番おいしいケーキは何だろうか。ぜひ下にコメントを。