6月6日から8日まで、ロシアの北都において、ロシアの主要なビジネスイベントの一つである年に一度のサンクトペテルブルク経済フォーラムが開催された。主催者側の発表では、今年は145ヶ国から19000人以上が参加した。その中には政府高官1300人と国の指導者7人が含まれる。
「最大の代表団を送ったのは中国で、1072人が訪れた。次はアメリカで、520人が参加した」と同フォーラム運営委員会の書記、アントン・コビャコフ氏は話す。その他、フランス、日本、ドイツ、スイス、イギリスなどから大勢の代表団が訪れた。
2019年のフォーラムでは合わせて3兆1000億ルーブル(478億1000万ドル)規模の650もの契約が結ばれたが、コビャコフ氏によればこれは「記録的な数字」だという。
以下では、外国企業と結ばれた最も興味深い契約を簡単に紹介していく。
1. 中国の電力会社、中国電力建設は、ロシアの水力発電会社、ルスギドロと連携協定を結んだ。両社は、ロシア北西部における揚水発電所建設のパイロット・プロジェクトの最適な技術的パラメーターを特定するための設計解を共同で分析する予定だ。
2.ドイツの電力会社、VNG AGと、ロシアのガスプロムが、VNG AGの子会社であるVNG・ハンデル・ウント・フェアトリープ(VNG Handel & Vertrieb)にガスを供給する契約を結んだ。合意によれば、2021年から2022年まで、ガスプロムが毎年最大35億立方メートルのガスをVNG・ハンデル・ウント・フェアトリープに供給する。天然ガスを輸入し、地下に貯蔵し、ドイツ東部の州とベルリンに供給することもVNG AGの事業に含まれている。
3. フィンランドのインフラ事業者、シニア・オイ(Cinia Oy)と、ロシアの電気通信事業者、メガフォンが、ヘルシンキと東京を結ぶ新しい海底高速光ファイバーケーブルを建設する国際コンソーシアムを設立することで合意した。新しい光ファイバーケーブルは北極海の海底に引かれ、ヨーロッパとアジアをつなぐユニークかつ最も良好な転送速度を持つケーブルとなる。
4. チェコの癌治療・画像診断診療センター、プロトン・セラピー・デヴェロプメント(Proton Therapy Development)は、ロシアの陽子線治療センターと共同で、癌治療診療センターをロシアのカルーガ州に設立する予定だ。このチェコ企業は、120億ルーブル(1億8590万ドル)を要するプロジェクトに共同投資することになっている。合意によれば、この診療センターは2024年までの開業を目指しており、高水準のハイテク機器が導入される予定だ。
5. イギリス・オランダの多国籍消費財企業、ユニリーバ(Unilever)とロシアのX5リテール・グループ(X5 Retail Group)は、モスクワの食料品店の使用済みプラスチック容器を回収する自動機械を導入することで合意した。契約によれば、両社はまずパイロット試験を行い、それが成功すれば、プロジェクトの規模について合意する。
6. アメリカの多国籍企業、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、24億ルーブル(3億7190万ドル)を投資して工場を拡大し、トゥーラ州のノヴォモスコフスクに新しい流通センターを建設することを計画している。投資の一部は女性衛生用品(オールウェイズ(Always)、タンパクス(Tampax)などのブランド)の現地生産化に充てられる。この決定がなされたのは、現地市場での柔軟性を高め、サプライチェーンと生産コストを削減するためだ。
7. 国際的なたばこメーカー、JT(日本たばこ産業)インターナショナルは、2019年から2020年まで「ドンスコイ・タバク」たばこ工場に約1200万ドルの投資を行うことでロストフ州と契約を結んだ。合意項目の一つは、ロストフ州の工場で働く700人の従業員の給付・福祉の拡充だ。また同社は、環境保全分野で州を援助し、違法たばこ市場を撲滅するための対策を講じることについても合意している。