自主的な年金積立を国民に提案

ミハイル・ヴォスクレセンスキイ撮影/ロシア通信
 ロシア連邦財務省は年金改革計画を発表した。ここには、任意年金の概念が導入されている。病気になったり、働けなくなったりした場合、全額を口座から引き出すことができる。

 財務省は、2018年に任意年金をロシアで始めることを提案した。自主的な積立方式年金である。ロシアに現在あるのは、雇用主が集める賦課方式年金。

 この年金改革計画を、第1回「モスクワ金融フォーラム」(9月23日、中央展示ホール「マネジ」)で、アレクセイ・モイセエフ財務次官が発表した。ロシアの日刊経済紙「RBCデイリー」が伝えている。

 ロシア政府はここ3年の財政赤字という条件のもと、現在の年金受給者への給付のために、雇用主が納めた賦課方式年金の資金を使うようになった。政府はこれで国家予算を総額2兆ルーブル(約3兆円)節約したが、将来の年金生活者の資金は凍結される形となった(補充されないため、支払われない)。年金の資金の凍結は、既存の年金システムの信用を損なったと、モイセエフ財務次官は説明した。

 専門家によれば、賦課方式年金は政府の財産ではなく、納めている人の財産であるが、国民は特に動かなかったという。約900万人が「非国家年金基金(NPF)」への振り替え申し込みを行わなかったため、その資金は「対外経済活動発展銀行」へと動いた。

 「私の世代は、年金に将来性を見いだしていない、と言うのでは。資金力のある人は、不動産、外貨、金などに投じている」と、ロシアのFX会社「テレトレード」のアナリスト、アナスタシヤ・イグナテンコ氏は話す。改革によって、現状を是正しようと政府は考えているのだ。

 

新たなシステム

 新たに提案されたシステムでは、国民が自主的に月給から年金へと資金を振り替えることができる。また、自分でNPFを選ぶことも可能。

 見返りとして、小規模ながら税優遇措置を受けることができ、また自分のニーズに応じて積み立てた資金の一部を引き出す権利を持つ。例えば、未来の年金生活者は好きな時に、独断で、積み立て金の最大20%を引き出すことができる。また、病気や労働能力の喪失などで、困難な生活状況に陥った場合に、全額を期限前に引き出すことが許される。

 「賦課方式年金が最初に凍結された時、賦課方式年金の制度自体が脅かされていることがわかった」と、ロシアの証券会社「オトクルィチエ・ブロケル」最高経営責任者マクロ経済顧問のセルゲイ・ヘスタノフ氏は話す。年金の特徴とは、非常に長期的であることで、投資期間は平均勤続年数とほぼ同じなのだという。そのため、あらゆる規則の変更が大きな影響を与える。

 専門家によると、雇用主が年金のために控除するというモデルに、政府はもう戻らなそうだという。「賦課方式年金の長引く『凍結』を考えると、このメカニズムの復活の可能性は極めて低いように見える。予算では支給を補う資金さえ不足している」と、ロシアの大手証券会社「フィナム」の金融アナリスト、ティムール・ニグマトゥッリン氏は話す。政府は使った資金を今後年金生活者に返さないだろうし、既存の年金市場には今後是正が不能なほどの大きな打撃となったという。この状況において、40歳以下の国民は、NPFに資金を振り替えながら、または株式に投資しながら、年金を積み立てていくことを、今考えなくてはいけない。