凍結によって原油価格が上昇するか、少なくとも安定することに、政府は期待している。だが、専門家は、原油価格の上下にはたくさんの要因があると警告する。
「ロシアでは現在の産油量で凍結することは可能。これ以上に、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国および他の産油国が減産で合意すれば、かなり有益」と、政府に近い経済研究所「ロシア経済・国家行政アカデミー」のイワン・カピトノフ准教授は話す。ロシアの石油会社の利益とは、現在の課税水準で新たな油田を開発するのが採算に合わず、新しい条件のもとで各社が投資計画を縮小させ得るレベルだという。
プーチン大統領との会議が行われたのは、クレムリンの安全保障会議の会議室。重要かつ非公式の話し合いが行われる場所である。ロシアのメディアグループ「RBC」が報道している関係筋の話によると、石油会社は減産または輸出の抑制を義務づけられるのではないかと警戒していたという。石油会社にその用意はなかった。
このようなことが義務づけられていたら、市場のシェアを失うであろうし、投資も回収できなくなる。プーチン大統領によると、ロシアの石油会社は昨年、記録的な5億3400万トンの原油を生産した。つまり、その前の2014年と比べて1.4%増えたということである。「石油分野の安定性を維持し、発展を確保することが我々の課題」とプーチン大統領は述べた。
産油量を凍結する代わりに、国家の予算歳入は減っているものの、石油会社が税制上の優遇措置を受けるか、少なくとも以前の水準までの減税措置を受けるかできる。ノヴァク・エネルギー相は会議後、このように「ロシア通信」に伝えた。とはいえ、ノヴァク・エネルギー相によると、石油分野向けの税制上の措置に関する協議が政府内で行われるのは、これからである。
先月、ロシア、サウジアラビア、カタール、ベネズエラの主要な産油4ヶ国は、他の産油国の参加を得られた場合に、原油生産量を2016年1月の水準に凍結することで合意したと発表した。凍結の用意をすでに、エクアドル、アルジェリア、ナイジェリア、オマーン、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)も表明している。だが、これに関する締結された協定というものはない。また、経済制裁が解除されたイランは、逆に増産を示唆している。
「ロシアがサウジアラビアと合意した産油量の凍結は、原油価格に現実的に影響する要因というよりも、『口先介入』である」と、ロシアの大手証券会社「フィナム」のアナリスト、アレクセイ・カラチョフ氏は話す。というのも、合意された2016年1月の産油水準というのは、史上有数の高さであったためだ。
さらに、現代世界の原油価格は、生産者だけでなく、主要な購入者、特に中国の需要に依存していると、ロシアの投資会社「ルス・インヴェスト」分析部のドミトリー・ベデンコフ部長は話す。新興国の石油需要は徐々に落ちているという。「需要と供給の不均衡は今のところ、1日150万バレルのレベルで続いており、年末までこれが価格を抑制する」と、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏はつけ加えた。
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