アメリカが対露制裁を拡大

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 アメリカが対露制裁のリストに新たに34の法人および個人を追加し、制裁を拡大した。そのなかには、ロシアの大手銀行の“子会社”と電子決済サービス「ヤンデックス・デーニギ」が含まれている。

 対露制裁のリストには新たに、VTB銀行のアフリカ、カザフスタン、アルメニア、オーストリア、ベラルーシ、ウクライナの子会社が、また最大手のズベルバンクのベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン、スイスの子会社、およびSberbank Europeが加えられた。また両銀行の非国営年金基金も追加された。

 また、ロステフの主要取引銀行であるノヴィコムバンクもリスト入り。ロステフは軍事用、民生用のハイテク機器を生産する国営企業だ。

 しかし、同行傘下の企業がアメリカによる対露制裁リストに追加されたことは、既に発動されている制裁の規模と法的効力を変えるものではないと、ズベルバンク広報部はタス通信に伝えている。

 

「どちらかというと形式的なもの」

 ロシア経済・国家行政アカデミー金融市場講座の准教授でエコノミストであるセルゲイ・ヘスタノフ氏は、この制裁拡大はどちらかというと形式的なものであるとの意見に賛成する。「その目的は、制裁を形式的に回避する可能性のうちの比較的小さなものをブロックするということ。銀行システムへの影響という点からすると、大した結果は招かないだろう」。同氏の見解では、米国はこうした措置をとることで、断固たる姿勢を示そうとしている。

 また、ロシアの大手検索エンジン「ヤンデックス」の電子決済サービス「ヤンデックス・デーニギ」が初めて、制裁の対象になった。これにより、米政府当局は、このシステムを使ってロシアから米国に送金する可能性を形式上無くしたことになる。

 とはいえ、これについても、ヘスタノフ氏の意見によると、ユーザーに何らかの悪影響がおよぶことはないだろうという。「ヤンデックス・デーニギによる米国への送金額は大きくないので、大半のユーザーには何ら影響はない」。ヘスタノフ氏はこう確信している。

 ちなみに、先に欧州連合(EU)は、特定の分野に科していた対露制裁を、来年7月末まで延長することを決めていた。

 この新たな制裁は、リストが公表された時点から発効する。米財務省では、ウクライナ問題をめぐり調印されたミンスク協定が完全に履行されるまでは、制裁は解除されないとしている。

 米国が最初に対露制裁を発動したのは、2014年3月のクリミアでの住民投票の後のことだった。その後、制裁は拡大され、現時点で、計109のロシアその他の国の法人におよんでいる。