建築家のコンスタンチン・ラグーチン氏とアンナ・サジノワ氏はモスクワでインテリアデザインの仕事をしていた。自分たちのアイデアを数々の家具メーカーに持ちかけたが、「デザインが複雑すぎる。注文数が少なすぎる」という理由でいつも採用を拒否された。そこで自分でドリルやハンマーなどの工具を手に取り、自らの斬新なアイデアを実現した。次に必要とされたのは大量生産だった。
現在、二人は自らが所有する家具工場アルヒポレで30人を雇っている。モスクワにある旧ランプ工場を拠点に、いす (1脚約80ドル)やテーブル、ソファ (最高価格は1300ドル) などを製造している。質の高い生活環境を求める中流階級の顧客層を対象としているが、この層こそが現在成長中なのだ。
モスクワのデザイナーグッズのアウトレット店デプストアの共同設立者、クセニア・ヌーニス氏らが二人を支援した。ヌーニス氏はオンラインショップ事業を起こし、ロシア人デザイナーの注目度を高め、西側諸国とロシア製品の間の障壁をなくすことを目標に掲げた。
「メード・イン・ロシアとうたっても、ロシア製品に人々が疑いを持っていたことは明らか。低品質ではないかという懸念があった」とヌーニス氏は説明する。ヌーニス氏の在庫品の8割はロシア産の製品だが、彼女は外国ブランド品もあえて在庫にそろえている。
2009年以来、ウラジーミル・グリゴリエフ氏は靴会社アフォウルをサンクトペテルブルクで経営してきた。現在、同市郊外にある旧ソ連の靴工場の3部屋で、デザイナーシューズやブーツなどの製品20点を生産している。事業は、自分のために作ったオリジナルの製品数点をきっかけに成長していった。
グリゴリエフ氏は靴職人を雇って週1回工場で友人たちのために靴を作った。次にソーシャルネットワークを活用して販促を行い、顧客が独自のデザインを作成できるオンラインストアを開設した。
生産高は創業年以来毎年倍増してきた。材料のほとんどすべてはヨーロッパのメーカーから余剰品を買い取って調達したものだ。純正のロシア製と言える製品を作るという最大の目標はまだ達成されていない。
100%ロシア産という目標が、事業拡大の戦略を模索中のモスクワのアルヒポレの創業者たちを駆り立てている。直近の会計年度の業績はとても好調だったので、建築家の二人は田舎の古い農場を買収した。
都市からそこに製造拠点を移転することにしたのは、新たな家具シリーズを発売するにあたり、急成長路線を可能にするためのスペースを確保するためだった。ラグーチン氏はこう述べた。「市場に影響力をもたらしたかったら、何十人ではなく何千人もの従業員を抱えた大規模な生産体制が必要になる」
外国からあらゆる品を運んでくるトラックの車列。それがいつかはロシア製家具をいっぱい載せて出ていくようにする。長期的目標が描く将来像である。
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