ロシア新体操の2人の新星

オレグ・ナウモフ撮影/ロシア通信

オレグ・ナウモフ撮影/ロシア通信

 新体操のヤナ・クドリャフツェワとマルガリータ・マムーンは、トルコのイズミルで行われた世界新体操選手権大会(9月21日~28日)で、金メダルを総なめにした。お家芸と言われる新体操の国内競争は激しいが、2人は友情を守っている。ロシアNOWがこの新星について特集する。

 世界選手権の個人競技で、クドリャフツェワとマムーンは上位を独占。クドリャフツェワはフープとクラブで金メダルを、マムーンはボールとリボンで金メダルを獲得した。

 そして2人は本当の友達である。「競っているのは体育館にいる時と大会の時だけ。スポーツから離れたら仲が良いの。代表の座とメダルを直接的に争う者同士がこんなに仲が良いのは初めて、ってよく言われる」と2人は話す。

 

ヤナ・クドリャフツェワ(17)、鉄の翼がついた天使

 2013年世界新体操選手権大会(キエフ)の個人総合で15歳にして優勝し、世界の新体操のエリートになった。16歳で絶対的チャンピオンになったアリーナ・カバエワやエレーナ・カルプヒナよりも早い。クドリャフツェワはブロンドできゃしゃな女の子だが、性格は「鉄の翼がついた天使」と形容されるほど強い。

 本人はこう話す。「ニックネームの最初の部分には賛成できないかな。私は理想的なタイプじゃないから、天使とは言えない。鉄の翼が生えてきたのは、キエフの大会の予選でリボンの演技の最中に音楽が何度も止まった時。混乱したり、止まったりせずに、最後までプログラムを全うした。それで決勝に進むことができて優勝した」

写真提供:DPA/Vostock-Photo

 今年の世界選手権で、クドリャフツェワは自身の柔軟性、音楽性、洗練性、妙技で圧倒し続けた。そして新たな枕詞が生まれた。「新体操のプリンセス」、「オルゴールのバレリーナ」、「ボールを持って生まれた新体操選手」など。最後のイメージは、ボールのプログラムと、バスケット選手のように指一本でボールを回す動作から来ている。バスケットと違う点は、その前にクドリャフツェワが回転しているところだ。

 トルコ大会の2日後に17歳の誕生日を迎えたが、すでに8回の世界チャンピオン、4回のヨーロッパ・チャンピオンである。それでも厳しい練習へのモチベーションはある。それは2016年リオデジャネイロ夏季五輪に行くこと。クドリャフツェワは五輪メダリストの家族の出だ。父のアレクセイ・クドリャフツェフはロシアの有名な競泳選手。1992年バルセロナ夏季五輪で金メダルを獲得している。

 「毎回優勝することが私の主な目標というわけじゃないの。実力を発揮して、満足できる演技をして、自分、コーチ、ファンをがっかりさせないことが必要。それができれば審判は評価してくれる。家族が私のことを誇りに思ってくれていると知ってるから、それが大きな力になってる。母と祖母は私の演技を見て、感極まって泣くこともあるの。父は競技の経験者だから、上手に私を誘導してくれる」とクドリャフツェワ。

 

マルガリータ・マムーン(18)、ベンガルトラ

Imago/Legion Media撮影

 親友のクドリャフツェワとは違うタイプだ。ブルネットで情熱的、そして表現力豊か。ロシア代表のコーチで、全ロシア新体操連盟の理事であるイリーナ・ヴィネル・コーチは、マムンを「ベンガルトラ」と呼ぶ。

 本人はこう話す。「父はバングラデシュ生まれ、母はロシア人。つまり、私には実際にベンガルの血が入っている。だからイリーナ・ヴィネル・コーチの言ってることは正しいかな。私は演技の音楽をうまく感じ取ることができる気がする。感情を表現せずに、内からこみあげてくるものをそのまま出している。自然の跳躍力が備わっているから、ジャンプが得意」

 マムーンに唯一不足しているのは安定性。毎回練習の時のように大会で演技できるわけではなく、感情とのズレが生じ、そこからミスが出て、表彰台にあがれなくなってしまう。だが必要な波をとらえることができれば、今大会のようにクドリャフツェワを上回る評価を得ることもできる。キエフの世界新体操選手権大会では6位、今年のヨーロッパ選手権でも表彰台にはあがれていなかった。

 子どものころからカバエワやカナエワのようになりたいと思っていたのか聞いたところ、家の近所に新体操部があったから通っただけと答えた。本格的に取り組み始めたのが小学校卒業後と、新体操としてはかなり遅い。それでも、オリンピックの金メダリストたちはお手本になっている。

 クドリャフツェワとの競争についてはこう話す。「もちろん最大限の演技をいつもしたいと思う。でも私が自分の能力を発揮しきった時でさえ、ヤナは私を超えることができるの。だからと言って力が抜けることはないけど。私の場合は演技がうまくいかなかったら、高い得点をまったく望めない。ミスをしてしまって大変な大会もあった。でも自分自身が満足できるような良い演技ができたこともある」

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