シナモン入りのプリュシカ

Legion Media
 ハート型プリュシカは、ただの砂糖の練り込まれたパンではない。おばあちゃんがプリュシカを焼いてくれると、子どもは年上の言うことを聞き、自分の部屋を片付け、ゴミ出しをしようという気になるし、大人は食欲がわいて子ども時代を思いだす。

 ハート型プリュシカは、牛乳とバターのたっぷり入った簡単でとてもおいしいパン。ロシアでいつからこれがつくられるようになったのかを、はっきりと言うことは難しい。一説によれば、春の訪れに関連した儀式的な焼き作業から生まれた。ハート型プリュシカは、ルーシの春の象徴である鶏を簡易に表現したような形をしているからだ。他説によれば、ロシアで「ハンガリー・ブロチカ(ハンガリー・パン)」という名前のプリュシカが知られるようになったのは19世紀で、ヨーロッパから伝えられた。

 確かなことは一つ。プリュシカは、ロシアの家庭で特別な地位を占めている。その地位はとても高く、ソ連の食品産業では「モスクワ・プリュシカ」という誇らしい名前がつけられ、パン屋に並べられていた。

 つくりかたはピロシキのつくりかたと密に関係している。ソ連の家庭ではピロシキがいつもたくさんつくられていた。平鍋やバケツなど、それぞれの家にある大きな容器に入っていた。ピロシキの生地はそれ以上に多くつくられており、2~3リットルの牛乳を使って約6キロが用意されていた。残った生地は、シナモン入りの砂糖の練り込まれたプリュシカになっていた。

 

つくりかた

材料

・牛乳 1リットル
・砂糖 200グラム
・小麦粉 1キロ
・ドライイースト 11グラム
・タマゴ 2個
・無塩バター 150グラム
・植物油 大さじ2
・シナモン 適宜

1.     生地は中種法でつくる。これによって発酵の難しい生地の密な部分まで酵母が入り、発酵が可能になる。

 最初に牛乳を温める。イーストが煮えてしまわないように、牛乳を熱くなるまで温めないこと。温かい牛乳に、砂糖大さじ5杯、ドライイースト、小麦粉大さじ10杯入れて、よく混ぜる。生地はヨーグルトのようになる。この中に小麦粉を少し加えて、タオルをかぶせて、暖かい場所に30分置く。

2.     発酵すると、表面に泡が出てくる。中種ができたら、卵1個を入れ、柔らかくしておいたバター50グラムと小麦粉の一部を加え、手で混ぜる。そして小麦粉を徐々に加えてこねていく。柔らかく、手につかなくなるまで生地をこねる。

3.     生地を丸めて、タオルをかぶせて、暖かい場所に1時間置く。1時間後、生地は膨らんでいる。生地を少し手で押して、また30分置く。

4.     生地を直径8センチの棒状に伸ばし、長さ7~8センチに切っていく。

アレクサンドラ・クラフチェンコアレクサンドラ・クラフチェンコ

5.     それぞれの生地にタオルをかぶせること。生地はそのままにしておくと、すぐに乾いてしまう。

6.     かける砂糖と表面に塗る卵の用意をする。100グラムのバターを電子レンジに入れるか、湯せんにかけて溶かす。別の容器に、残りの砂糖と、シナモンを適宜入れて、混ぜる。さらに別の容器で、卵に少量の水を加えてかき混ぜる。 

アレクサンドラ・クラフチェンコアレクサンドラ・クラフチェンコ

7.     次に、生地をハート型にする。タオルの下から生地を取りだして、めん棒で厚さ約5ミリに伸ばす。生地の上に植物油を少々かけて、スプーンで伸ばし、その上に砂糖とシナモンを混ぜたものをかける。

アレクサンドラ・クラフチェンコアレクサンドラ・クラフチェンコ

 かけた表面を内側にして生地を巻き、管状にする。その管を半分に折って、折った部分に対して垂直にナイフを入れる(長辺に平行に切る)。

アレクサンドラ・クラフチェンコアレクサンドラ・クラフチェンコ

 この時、全部切ってしまわずに、2センチほど残す。切った部分の両側を外側へ開いて、ハート型にする。クッキングシートをひいた天板に生地を並べいき、表面に水と混ぜておいた卵を塗る。

8.     180度に温めておいたオーブンに入れて、15分ほど焼く。黄金色に焼けたらできあがり。

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