ボルシチという料理名を耳にしたことがあるはず。その主な材料がビーツだということも、知っているのではないだろうか。ビーツを使う料理はボルシチに限らず、実はとてもたくさんある。モスクワの人気レストランは、ビーツを使った意外な驚きの料理でもてなそうと、競争しているような気がする。
ビーツはロシアにとって特別な野菜。有名なボルシチの主な材料がこれ。とはいえ、ビーツはロシア固有の野菜ではない。ビザンチンからルーシに持ち込まれたもの。当時すでに、高く評価されていた。ビーツには、神経系に良い葉酸(都市の住民のダイエットにはとても大切だ)が含まれている。記憶力を高め、イライラを抑えるヨウ素も、他の野菜に比べてとても多い(7~17μg、ニンジンでは0.2~6μg)。また、脂肪がたまるのを抑えるベタイン(運動ダイエットに追加すると効果的)、良い睡眠を促すマグネシウムが含まれ、ビタミン、ミネラルが豊富である。
ビーツの良い点をあげていくと長くなるので、料理の話に移る。モスクワの有名レストランが、変わったビーツ料理のレシピを共有してくれた。
ビーツでつくるコートに身を包むニシン(レストラン「ドクトル・ジバゴ(Dr Jivago)」)
Dr. Zhivago提供
1層目の材料
\tゆでたジャガイモ 35グラム\tニンニク 2グラム
2層目の材料
\tマヨネーズ 10グラム\t塩漬けニシン 50グラム
3層目の材料
\tゆでたジャガイモ 20グラム\tゆでたニンジン 20グラム\t皮をむいたリンゴ 10グラム\tゆでたビーツ 20グラム\tマヨネーズ 35グラム\t塩漬けニシン 25グラム\tチリ・ソース 5グラム
つくりかた
この料理は重ねた層料理。それぞれの層はこうする(1層目が一番下)。
1層目。ゆでたジャガイモすりつぶして、細切りにしたニンニク、マヨネーズと混ぜる。
2層目。角切りにしたニシンをマヨネーズと混ぜる。
3層目。リンゴ、ジャガイモ、ビーツ(少量残す)、ニンジン、ニシンを角切りにする。マヨネーズとチリ・ソースを加える。すべてを均一になるまで混ぜる。
残しておいたビーツを薄い輪切りにする。
皿に置く。装飾用に並べていく。
テーブルに出す際には、青ネギを加える。
黒スグリ入りビーツ・スープ(レストラン「セブン(SEVEN)」)
SEVEN提供
材料
\tビーツ 3個\t黒スグリ 100グラム\tクワス 700ミリリットル
ソース「マツォーニ」材料
\tサワークリーム 50グラム\tコリアンダー 20グラム\tニンニク 10グラム\tキュウリ 40グラム
つくりかた
マツォーニ・ソース。サワークリーム、細かく切ったニンニク、コリアンダー、キュウリを混ぜる。
ビーツ・スープ。おろし金で細かくしたビーツと、黒スグリを、約90分蒸して、そこにクワスを注ぐ。濾す。
スープ皿にマツォーニ・ソースを大さじ1杯入れ、輪切りにした西洋ネギを入れて、ビーツ・スープを注ぐ。
ロシア・イタリア風味:ラビオリ風ビーツとアヴォカド、ウォールナッツ(レストラン「リバンベール(Ribambelle)」)
Rimambelle提供
材料
\tビーツ 70グラム\tアヴォカド 60グラム\tウォールナッツ 15グラム\t種を抜いたブドウ 40グラム\t塩 適宜\tバルサミコ酢 適宜\tオリーブオイル 適宜
つくりかた
ビーツをゆでて、薄切りにする。
ラビオリの中身をつくる。アヴォカドをフォークでつぶし、ブドウを細かく切る。
ウォールナッツを大き目に砕く。
材料にオリーブオイル、塩、バルサミコ酢を少し加えて混ぜる。
ビーツの上に中身をのせて、別のビーツをその上にかぶせる。
そのままふるまう。
ビーツと洋ナシのグリル(レストラン「スパイス(Spices)」)
Spices提供
材料
\tビーツ 1個\tバルサミコ酢 20ミリリットル\tオリーブオイル 30ミリリットル\tナルシャラブ・ソース 15ミリリットル\tザクロ汁 200ミリリットル\tショウガ 10グラム\tBBQソース 20ミリリットル\tバジル 5グラム\tキヌア 50グラム\t洋ナシ 1/2個\tタイム 5グラム\t砂糖 10グラム\tミント 10グラム\t羊乳のチーズ(Sainte-Maure de Touraine) 20グラ
つくりかた
ザクロ汁、オリーブオイル、バルサミコ酢、ショウガを混ぜた液体に、皮をむいたビーツを漬ける。180度に熱したオーブンで1時間焼く。
洋ナシを薄切りにする。水にタイムと砂糖を入れて、洋ナシを15分ゆでる。そのまま冷ます。BBQソースを塗って、グリルで焼く。
キヌアをゆでる。冷ましてから、ミント、バジル、ナルシャラブ・ソース、オリーブオイルと混ぜる。
すべてをあわせて、羊乳のチーズで装飾する。
機能カクテル(レストラン「ブラッスリー・モスト(Brasserie Most)」)
Most提供
材料
\t皮をむいた青りんご 1個(240グラム)\tニンジン 2個(250グラム)\tオレンジの果肉 2個分(220グラム)\t皮をむいたビーツ 1個(110グラム)
ジャン・リュック・モレ料理長から貴重な助言をしてもらった。
「この飲み物を抗酸化ドリンクまたは『疲労回復ドリンク』と呼んでいる。それぞれの材料がとても体に良いため。一緒になると、力になって、強力な抗酸化ドリンクになる。青リンゴは肝臓から毒素を排出しながらデトックスする。ニンジンは自然の老化防止剤であり、オレンジ色が鮮やかであるほど、体に良い。味のバランスを整えるために、オレンジの果肉を入れる。このフルーツは疲労と闘う。一番重要な材料は、これらすべての特質を備えたビーツ」
つくりかた
これらすべての汁を絞って、混ぜる。