チュクチ料理ってなに?

厳しい生活と気候の条件から、料理の材料は限定的で、人々はその中で工夫をこらしていた。メニューには、血入り乳、クマ肉、クジラ肉、アザラシ肉、苔などもある。=

厳しい生活と気候の条件から、料理の材料は限定的で、人々はその中で工夫をこらしていた。メニューには、血入り乳、クマ肉、クジラ肉、アザラシ肉、苔などもある。=

Vostock-Photo
 衝撃的な食べ物。そうチュクチとエスキモーが摂取しているものを描写できる。

 チュクチ自治管区(日本の北東4000キロ)は、冬が10ヶ月続き、永久凍土が広がる、チュクチ人とエスキモー人の暮らす地域。住民は農業を行わず、スーパーや市場にも行かない。狩猟が生きる手段である。チュクチとエスキモーの生活はここ10年で変化したが、それでも狩り中心に変わりはない。現在でも、狩りを模倣するさまざまな踊りの儀式を行っている。

 自然が与えてくれるものを100%使い切る。厳しい生活と気候の条件から、料理の材料は限定的で、人々はその中で工夫をこらしていた。メニューには、血入り乳、クマ肉、クジラ肉、アザラシ肉、苔などもある。

 北方民族の主要な食べ物とは、肉、魚、脂肪、漿果である。厳しい気候条件での料理の課題とは、狩りでとれたものを最大限に摂取または保存すること、一切無駄をしないこと。そのため、血と乳を混ぜて飲む。これは栄養豊富で、ビタミンもある。人は狩りでとれた動物の一部を食べ、残りを塩漬けにしたり、蒸したり、干したり、燻したりする。肉貯蔵穴と呼ばれる場所があり、地下5メートルに肉を置くと、そこで発酵する。例えば、コパリヘンという料理は珍味だ。セイウチ、アザラシ、トナカイの新鮮な肉を、圧力をかけて発酵させる料理で、数ヶ月間、泥炭層などの下で熟成させてから食べる。

 トナカイ肉はとても好まれるが、クマ肉を食べる時には慎重になる。モスクワのシベリア料理店「チェモダン(Chemodan)」(Gogolevskiy bulvar 25-1, Moscow)のオリガ・ラジナ料理長はこう話す。「クマは獣だから、寄生虫のいる恐れがある。通常、レストランなどでクマ肉を提供する場合は、獣医学監督局が調べる。クマ肉の味は、野生風味の堅い牛肉のようで、独特」

 クマ肉の調理には入念な管理が必要で、レアのように血の残る状態で食べてはならない。トナカイ肉ならば大丈夫だ。

 一部地域ではクジラやアザラシも食べる。国際捕鯨委員会は、コククジラを年間140頭まで捕獲する許可を地元住民に与えている。通常は、海岸から双眼鏡を使ってクジラを探し、見つけたら船で近づき、後を追う。クジラの肉、脂身、皮を食べている。

 ロシア国内でよく知られている現地の料理といえば、ストロガニナ。薄く削ったトナカイの冷凍肉や冷凍魚だ。付け合わせのかわりに、野生漿果(クロマメノキ、ホロムイイチゴ、ガンコウラン、コケモモ、ハイマツ、イソツツジ)、苔、草などが添えられる。

 ラジナ料理長は、伝統的で簡単なチュクチ料理のレシピを教えてくれた。これはスグダイといって、刺身に似た料理である。

 

スグダイ

材料

サーモン、マス、またはネリマ(フィレ) 1kg

植物油 大さじ1

塩、コショウ、ローリエ 適宜

調理

1. 冷凍魚をブツ切りにして皿に並べる。

2. 植物油をかけ、塩、コショウをふり、ローリエを加える。

3. 5分おく。外が少しとけて、中がまだ凍っている状態ができあがり。

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