ロシアの野生的な民族料理TOP8

コンスタント・レメセフ撮影/タス通信
 どんなに綿密に計画された旅行でも、思いがけない事態に遭遇するリスクはある。旅先がロシアならなおさらのことだ。例えば、食べ物の備蓄が予想外に早く尽きてしまい、最寄りのスーパーマーケットまでの道中に難攻不落の山や噴火している火山がある、または気温がマイナス50度で簡単に動けない、なんてことになったら、そこら辺にある物で料理をつくらなくてはならなくなる。ロシアのさまざまな地域の飢えずに済むレシピを、ロシアNOWが特集する。
  1. サハ共和国

Alamy/Legion-Media撮影

 大昔から、漁猟で食料を確保するのが物理的に不可能になる厳寒期、ヤクート馬の肉は地元の人々を助けてきた。子馬の肉の栄養価は非常に高く、老化プロセスを遅らせる栄養素も含んでいる。タマネギを炒め、切った肉、お湯、塩、コショウを加え、15~20分間ゆでる。ゆですぎると肉がかたくなり、風味を失ってしまうため、注意する。できあがった肉は薄くスライスしてふるまう。

 

  1. チュクチ自治管区

Alamy/Legion-Media撮影

 ここは間違いなく、グルメ旅行に最適な場所のひとつ。郷土料理は旅慣れた人をも驚かせる。近づくのをちゅうちょしてしまうような料理もある。例えば、「コパイカ」というごちそう。コククジラの肉と脂身を布袋に入れて、地中に1ヶ月間寝かせる。すると、「それはそれは体に良く栄養価の高い食べ物」ができあがる。少なくとも地元の美食家がそう言っている。

もっと読む:

シベリア・グルメ

 チュクチ自治管区に迷い込んだなら、食べやすい「マンタク」という料理をつくってみてはいかがだろうか。クジラの脂身のついた皮をこまかく切り、鍋に入れて、約20分間ゆでる。食べる前に、クジラの魂に許しを乞わなければならない。チュクチ神話ではクジラは万物の祖先と考えられているからだ。クジラのどの部位も役立つ。肉は家族全員の食料になり、骨で家を建て、皮で服を縫い、船をつくり、脂肪を暖房や照明に使う。

 

  1. モルドヴィア共和国

エレーナ・ザイツェヴァ撮影

 ”血に飢えた”レシピのリストのトリをつとめるのは、モルドヴィア共和国の珍味「クマの足」だ。幸いなことに、この料理をするためにクマ狩りをする必要はない。名前は怖いが、実は普通のハンバーグだ。一説によると、その昔、モルドヴィアの一人の貧しい青年が、愛する女性との結婚を望んだ。すると女性の父親から条件をつきつけられた。青年が自分の力強さと勇気を証明するために、クマを殺すこと。それまで結婚は許さないと。勇敢な青年はクマを殺し、その足を焼いて女性に贈ったという。現在、「クマの足」の料理には牛肉、豚肉、牛肉のレバーを使う。ひき肉、卵、香辛料、タマネギを混ぜて、足の形にし、足の爪の代わりにライ麦の乾パンを長く切ってのせる。

 

  1. コラ半島

Lori/Legion-Media撮影

 コラ半島で飢えたら、釣りで救われることだろう。地元の大河の一つであるウンバ川は、世界有数のサーモンの漁場と考えられている。産卵期は年5回まであるため、ここではサーモンの流れはほぼ無限だ。かといって、釣り人はリラックスしてはいけない。ヒグマも岸辺でサーモン探しをしているからだ。ヒグマと釣り競争をせずに、釣ったサーモンを譲り、急いでその場を去らなければならない。さもないと、それが人生最後のサーモンになってしまう。

  1. ロストフ州

Alamy/Legion-Media撮影

 ロシア北部と比べると、ここの調理用食材は多様だ。ドン・コサックの大好きなデザート「スイカの蜜」のレシピはおすすめ。大きな熟れたスイカを洗い、乾かす。カットして、中身を皮からはがし、中身から果汁を絞り出す。果汁を鍋で香りの強い暗色の濃厚なシロップになるまで混ぜながら煮る。こうしてスイカの蜜のできあがり。

  1. アストラハン州

Lori/Legion-Media撮影

 アストラハンのステップで迷ったら、地元の羊飼いの家を探そう。ステップの住人はもてなし好きで有名だから、料理をしなくても済む。客人を床に座らせ、地元料理をふるまってくれる。最初に出てくるのは肉ののった大きなプレート「ベシュバルマク」。これは「5本指」を意味するため、食卓でフォークなどを探す必要はない。料理の材料はゆでた羊肉、生地、タマネギとシンプル。これらの材料を熱いブイヨンに浸す。

 発酵乳製品の大ファンでなくとも、馬乳酒「ミルク・ワイン」の試飲は必須だ。これは大シルクロードの商人たちの主な飲み物だった(商人たちはエクストリーム旅行の名人だ)。馬乳酒というだけあって、アルコール成分が含まれているから注意が必要。

 

  1. ブリヤート共和国

Alamy/Legion-Media撮影

 長くて疲れる移動の後、旅行者をいやしてくれるのは一口のコーヒー。ブリヤート共和国では客人に喜んでふるまってくれる。ロシアの他の地域とは異なり、コーヒーは紅茶と同じぐらい人気がある。ここのコーヒーには塩味があるから驚かないように。特別な東洋のレシピでつくられる。ブリヤートのお茶も独特な味がする。塩、小麦粉、牛乳、バターが入っている。

  1. サハリン島

Alamy/Legion-Media撮影

 サハリン島の地元住民は、食材探しでゴボウをすすめるだろう。ここではジャガイモやマカロニと同じぐらい、普通の食べ物と考えられている。レシピは簡単。緑の芽を冷たい水に浸して、特有の草の匂いをとり、お湯を沸騰させて塩を入れ、20分間ゆでる。皮をむき、細かく切って、フライパンで植物油を熱し、炒める。塩、コショウをし、醤油を加え、ゴマやカボチャの種をふりかけ、タマネギとニンニクを加えて、蒸し焼きにする。

もっと読む:おいしくて満腹バシキール料理>>>

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる