ブルジョア的なサロン芸術を壊した伝説の移動派画家が現れるほぼ半世紀前の19世紀初旬、アレクセイ・ヴェネツィアノフは、ロマンティシズムのプリズムを通して、農村の暮らしを見つめた。ヴェネツィアノフは、素朴な村の風景の中に、特別な魅力を持つ宇宙を見つけ、芸術の対象にした。空間、光、静寂を捉えた驚くべき感覚が彼の作品の特徴となった。
ロシア芸術の古典画家であるヴェネツィアノフは、ヨーロッパの主要なロマンティシズム画家らと同列とされながらも、もっぱらロシアらしい風景を描いた。祖国では、ヴェネツィアノフ流派なるものが生まれ、信奉者らが農村をテーマにした彼のジャンルを引き継いだ。
アレクセイ・ヴェネツィアノフの展覧会「空間、光、静寂」は、トレチャコフ美術館にて、2021年9月30日から2022年2月6日まで開催中。