ロシアのもっとも有名なデジタル・アーティスト10人

Olga Tobreluts; R66; Artyom Tkach
 デジタルへの移行は経済だけでなく、芸術界でも新たな世界を作り上げている。

 NFT(ノンファジブルトークン)市場が拡大する中で、デジタル・アーティストの作品を扱うマーケットプレースが作られるようになっている。バーチャルの芸術作品が非代替性トークンと結びついたのである。マーケットプレースでは、この非代替性トークンによって、所有権および購入したことの証明を得ることができるのである。この新たな市場に参入している10人の有名なロシア人アーティストを紹介しよう。

 

1. パーヴェル・ペッペルシテインとソーニャ・ステレオスティルスキ

パーヴェル・ペッペルシテインとソーニャ・ステレオスティルスキ

 心理的リアリズムおよびポストコンセプチュアリズムアートの方向性を持つペッペルシテインは、大規模な芸術展にも参加している。ベネツィア・ビエンナーレ、マニフェストなどに参加したほか、ルーブル美術館、ポンピドゥセンター、ニューヨークのニュー・ミュージアム、その他の美術館でも作品が展示されている。マルチメディアデザイナーのソーニャ・ステレオスティルスキとの新たな共同プロジェクトはPPSSと名付けられ、この冬には、ミュージシャンがわたしたちの生活に与える影響をテーマにした「星のイメージ」という展覧会を行った。それに続き、2人はNFT市場で、最新作「新世界」を発表。大陸から成る地図の上をピンポン球のような丸いボールの人形が忙しくなく移動するというものである。国境線はなく、様々な国の領土では花の模様がくるくる動くという、凝ったテーブルゲームのようにも、未来の新世界のイメージのようにも見える作品だ。

 

2. オリガ・トブレルッツ

 コンピュータグラフィックと芸術の規範的作品を融合させたビデオアート作品を手がけてきたアーティスト。2019年にトブレルッツはミッツェ・ヤンクロフスキと合同で、ベネツィア・ビエンナーレの北マケドニア館で、「トランスコーダー、抽象化されたメディアのビフォー・アフター」を展示した。4月にNFT市場で、「ニュー・ミソロジー」シリーズより「ドル」を発表した。立体的に作られたドルマークが、形を変え、風船になったり、新型コロナの分子になったりする。

 

3. アリスタルフ・チェルヌィシェフ

 4月に最初のNFT作品を販売したアリスタルフ・チェルヌィシェフ。動画「パーソナル・インフォーメーショナル・オーガニズムPiO v1.1」は、所有者の血を吸って生きるスマホとヒルを掛け合わせた万能アイテムを紹介するものである。ベルリン絵画アカデミーの奨学生であるチェルヌィシェフは情報の形質転換に興味をもち、ソーシャルネットワーク、遺伝子工学などに関わる新たな技術を芸術と融合させ、再解釈している。続くNFT作品も技術をテーマにしたもので、アップデート中の頭蓋骨を表現した静物画「最新アップデート」やプロジェクト「ディストピア」のフラグメントを発表している。 

4. R66

 ニキータ・レプリャンスキー(本名)はボーダーランズをはじめとするゲーム開発者、ブリング・ミー・ザ・ホライズングループ、アディダスと共同制作している。スーパーレアに掲載されたバイオグラフィーでは、2つのリアリティの技術や人を繋いでいるとのこと。2020年にNFT市場に登場した最初のアーティストの1人だが、最初の作品は3.5ETHで販売された。

 

5. ポクラス・ラムパス

 ストリート・アーティストまたは自称カリグラフューチャリスト(書道家+未来派)のラムパスは、イヴ・サンローラン、アディダス、ドリス・ヴァン・ノッテン、パナソニックなどの製品のために作品を制作している。数年前、ラムパスはイタリア文明宮の屋根に絵を描き、フェンディの店舗のためにカリグラフィティ「F」を描いた。NFTマーケットプレース「ファウンデーション」で発表した最初の作品は、16ETHで販売された。カリグラフィティは、ダゲスタン共和国のスラク川のチルケイスク水力発電所をバックに投影されている。このプロジェクトで、ポクラス・ラムパスは自然と人的影響のバランスをテーマにしている。

 

6. AES+F Group

 自らの芸術手法を、「ソーシャル・サイコ・アナリシス」と呼ぶ4人組グループ。複数のプロジェクターを用いたビデオインスタレーションは、大規模な美術館や国際的なプロジェクトで発表されている。ペトロニウスの小説「サティリコン」の一章にインスピレーションを得た作品「トリマルキオの宴」はシドニー・ビエンナーレ、また「最後の暴動」はベネツィア・ビエンナーレに出品された。ロシアでもっとも有名なアートグループのNFTマーケットプレースで発表した作品は、それらの続編となるものである。春にAES+Fグループは、3つの作品を発表した。「サイコシス」シリーズのビデオ作品は、サラ・ケインの同名の小説を基にした演劇プロジェクトの続編。一般には公開されていない18分の完全版のアクセス権とともに販売された。ビデオ「キノコ」は5.5ETH、「ネイルウェイブ」は2.43ETHで購入された。5月10日には、AES+Fと韓国のファッションブランド「ジェントル・モンスター」とのコラボ作品で、ドミトリー・クルリャンツキーの音楽を使った動画「サークル・オブ・ライフ」のオークションが行われた。

 

7. Brickspacer 

 メディアアーティストのBrickspacerはアリアナ・グランデとラッパーJeemboのためにグラフィック画を制作し、プーマやペプシの宣伝動画を作り、東京のメディアギャラリー「ネオ渋谷」でも紹介された。2年前に「すべてを飲み込む音楽の力」を表現するようなパフォーマンスを始めた。NFT市場には彗星の如く現れたが、最初のデジタルアート作品の中には宙を飛ぶクジラのデジタル・アートがある。もっとも感動的な作品は、多発性関節炎を患う妻を持つ木彫アーティスト、イーゴリ・ペレヴァロフに捧げた「I Will Carve for You(=わたしはあなたのために彫る)」。アーティストは、この作品の売上金10万ルーブル(およそ14万6,600円)をペレヴァロフ夫妻に送った。

 

8. アレクサンドル・シシキン・北斎 

 ペテルブルク出身のアーティストで、劇場で活躍している。ペテルブルクのストリート・アート・ミュージアムやモスクワの現代美術館「ガレージ」などで作品が展示されている。2019年にエルミタージュ美術館をテーマにした「フラマン派」プロジェクトを制作し、ベネツィア・ビエンナーレのロシア館に出品した。デジタル・アートの分野での活動を始めたのは比較的最近である。ミケランジェロの「うずくまる少年」にインスピレーションを得た「吸血鬼の国のための血の噴水プロジェクト」シリーズの2つの作品は、0.5ETHで購入された。

9. アルチョーム・トカチ

 デジタル・アーティスト、アルチョーム・トカチの作品は、ペテルブルクのストリート・アート・ミュージアム、エルミタージュ美術館、大英博物館に収蔵されている。NFT市場では、作者としても、またキュレーターとしても活動する。トカチはエルミタージュ美術館の「ARフィルター」の創設に参加したアーティストたちの作品をまとめ、アートドロップとして発表している。トカチは合わせて42点を販売し、そのうちの数十点は転売されている。売上(16,000ドル=およそ174万円)はまだ自身のNFT作品を販売できていない作家たちに分配した。

 

10. ミーシャ・モスト 

 ミーシャ・モストはストリート・アーティストとして活動をスタートさせたが、2000年にロンドンのギャラリー向けの作品作りに方向転換した。かつてバンクシーを世界に紹介したロンドンの画商ラザリデスとも共同活動している。モストはアメリカでよく知られており、数年前に、シリーズ「過去の未来」で、大規模な作品を作っている。2020年、コロナ禍のロサンゼルスを訪れ、「イン・サーチ・オブ(〜を探して)」というタイトルの壁画を描いた。ミーシャの画像作品はファウンデーションで、4.95ETH(現在のレートで18,000ドル)で販売された。購入者には、特典として水彩バージョンの作品が贈られた。

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