現代に蘇る古代ロシアのバッグ、「ルコシコ」と「トゥエスカ」

Yuri Kaver/Sputnik; aliexpress.ru
 現代のデザイナーたちは、スラヴのベリー摘みのカゴバッグをおしゃれなアクセサリーとして使っている。

 おしゃれな女性なら、カゴバッグを持たない夏の装いなど考えられないに違いないが、ここ数年のヒットとなっているのが、古代のロシアのバスケットを思わせる形のアクセサリー。森のベリー摘みにも、食料品を保存するのにも、そして夜のパーティに持っていくのにもピッタリだ。 

小さめのカゴバッグ「ルコシコ」 

 ルーシ時代、ルィコ(落葉樹の樹皮)はもっとも手に入りやすい素材だったため、この樹皮を使って、履物(ラプチ)から食器まで、さまざまな日用品が作られた。どんな農家にも、形や用途の違うこのカゴバッグが必ずあった。

 編んだ小さめのバッグはルコシコと呼ばれた。樹皮を意味する「ルィコ」という言葉からきている。この小さめのバッグはベリーやキノコを摘むとき、また穀物の種まきや収穫物を集めるのにも使われた。ルコシコは一番軽くて、ほとんど重さを感じないほどだったことからどこにでも持って行くことができた。また必要に迫られれば、森の中にある素材を使って簡単に作ることもできた。またこのカゴの中に藁をつめて柔らかくし、布でくるんで、枕のように使われることも多かった。

 ルーシ時代、ルコシコは量を計測するのにも使われた。もちろん、大きさにばらつきがあったため、公式的なものではなかったが、ロシア人は、「ルコシコ1つ分のイチゴ」と言えば、だいたいそれがどのくらいの量であるか想像がつく、つまりそれが多くはないが十分な量であることを知っていた。ロシアの食料品市場に行けば、今でもベリー類がルコシコに詰められて売られているのを目にすることができるだろう。

 そしてこのルコシコ型のバッグはいつの時代も女の子たちの間で人気であった。

ベリーを保存する「クゾフカ」

 ロシアのもう一つのカゴバッグがクゾフカと呼ばれるもの。普通、白樺で作られていて、円筒型で蓋が付いている。このカゴバッグは、ベリー類が潰れず、水気が出ないようにするために特別に作られたものである。持ちやすくするために、斜めがけにできる肩紐が付いている。このカゴバッグにちなんだ諺がある。それは「キノコと名乗ったからにはクゾフカに入れ」というもの。これは自分の言葉には責任を取らなければならない。何か言ったなら、善意を持って、それを行えという意味である。

キッチンの必需品「トゥエスカ」

 キッチンで食料品を保存しておくための白樺で作ったカゴバッグはトゥエスカと呼ばれる。取っ手付きの蓋がついていることが多い。トゥエスカの職人は、自らのファンタジーを駆使して、さまざまな絵柄でバッグを飾り付けた。植物から日常生活のシーンまで、各地に独特の伝統の絵柄がある。トゥエスカは今でもごく普通の店で売られており、穀物を保管するのに使われている。

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