2020年夏、ペテルブルクで通りがかりの人と言葉を交わす(写真特集)

カルチャー
ロシア・ビヨンド
 あるカメラマンが街の姿を見つめ、偶然通りかかった人にレンズを向け、ロシア人にはあまり馴染みのないいわゆる「スモールトーク」を試みた。

 自主隔離が導入されていた間に、ペテルブルクのカメラマン、ニカ・ヴォズネセンスカヤはペテルブルクの通りを歩いている人の写真を撮り、彼らとちょっとした会話を交わし、それを記録するようになった。非常に多彩な人々の写真集ができたとのこと。

 ヴォズネセンスカヤさんは、地元のメディア「ブマーガ」に対し、「わたしはいつも人を観察するのが好きでした。どんな風に着こなし、どんな風に人と話し、どんな風に微笑むのか。ペテルブルクにはどんな人生の状況にあっても、押しつぶされない強い人がたくさんいるということを見せたかったのです」と述べている。通りがかりの人との会話とその写真はロシアのソーシャルネットワーク「VK」(フ・コンタクチェ)の自身のページ「キッチンシンクのリアリズム」中に投稿している。ではその中からいくつか興味深いものをご紹介しよう。

1.―写真を撮らせてもらってもいいですか?

―このワンピースが素敵だからでしょ?気に入った?

―ええ、とっても鮮やかですね!

―もう5年くらい着ているのよ。毎年誰かが褒めてくれるんだけど、もうすっかりくたびれてしまったわ。

2.(地下通路を歩いていると、若い女性がなにやらチラシを配っている。チラシを受け取ると、お礼を言ってくれた)

―ありがとう。良い一日を!

―写真を撮らせてもらってもいいですか?

―ええ、どうぞ。どんなポーズをとればいいかしら?

―普段通りでいいですよ。

―VKで検索してもらえます?

―オッケー。なんて名前?

―マダム・アクセル。そんな名前はわたししかいないわ。

3.(ツァルスコエ・セローを散策中に)

―ちょっと写真を撮らせてもらってもいいですか?

―ええ!みんなに見てもらいたいわ。

―ペテルブルクの人ですか?

―そう。夏が終わるまでの1ヶ月、旅行することにしたの。貯金を集めて、出てきたの。

4.

―写真を撮ってもいいですか?

―ええ。

―お名前を教えてください。

―アルベルトです。

―どちらの出身ですか?

―キューバです。

5.(河岸通りにて) 

―あなたもモスクワの人?今日会う人はみんなモスクワっ子なのよ!

―いえ、わたしは地元出身なの。

―じゃあ、あなたがちゃんと地元のことを知っているか確かめてみようかしら。わたしの後ろにあるお城、あそこで何があったか知ってる?

―パヴェル1世の殺害。

―わたしはね、レニングラード生まれの82歳。ワシリエフスキー島で育ち、幼い頃はずっと島にいたの。わたしは言語学の専門なのだけど、修士を終えて、5カ国でロシア語を教えていたのよ。

―お写真を撮ってもいいですか?

―でも、髪がぐしゃぐしゃだわ。

―お願いします。みんなにあなたを見てもらいたいの。

―そうね、あなたのお願いだから応じるわ。

―マスクだけ、外してもらってもいいですか?

―それはダメ。わたしは言われたことは守る主義なの。

6.

―お仕事いかがですか?船に乗る人はたくさんいますか?

―いや、ほとんどいない。観光客がまったくいないからね。

7. 

―わたしの写真撮ってくれないかしら?微笑んでみせるから。

―3枚目を撮りたいんだけど、何かポーズしてもらえます?

―ウサイン・ボルトはどう?

8.

―写真を撮ってもいいですか?優しさが溢れていて、そのまま通り過ぎるなんてできなくて。

―レラ、こっちにおいで。あら、ポーズしてる。

―ありがとうございます!ほんと素敵なお2人です! 

9.

―なぜわしなんかを撮りたいんだい? 

―とっても派手な格好ですね。ジャンパーにヘッドフォンにサンダルに自転車!

―そう、自転車、カッコいいだろう?わしのコウノトリだよ。

10.

両親:―ネガティヴな感じには撮らないでね。今はこんな時期だし・・・ 

―子どもは子ども、何も悪くないわ。

11.

―写真を撮ってもいいですか? 

―裸になる必要はないのかい?

―ありませんよ(笑)。お名前は?

―ワレリーです。 

12.

―すごく素敵な赤毛ですね!お写真を撮らせてもらっていいですか? 

―赤毛を撮りたいなら(笑)、今、髪を解くわね。

―あなたってなんて生き生きしていて、明るくて、エネルギッシュなんでしょう!もう一度、頭を振ってもらってもいいですか?

―ええ。

12.

―お名前は? 

―エンナ・アレクサンドロヴナよ。あなたはレニングラードの人?それともどこかからいらしたの?

―わたしは地元の人間です。

14.(男性がビールを飲み干している)

―写真を撮ってもいいですか?

―俺?まぁ、いいよ。

―どう?うまく撮れた?

―そうね、ちょっと斜めになってるけど。

―いいんだ、ビールを飲んでるんだから。

15.

―(写真を撮っても?)

―やめてちょうだい。

―どうして?

―もうすっかり老いぼれてしまってるもの。

―そんなことないですよ!とってもきれいです。

―そう、じゃあ、ちょっと口紅をつけるわね。今、教会から出てきたばかりなの。教会では口紅はつけちゃダメなのよ。

「ロシア・ビヨンド」がLineで登場!是非ご購読ください!