花、トゲ、吸盤などでマスクを作るロシアのアーティスト(写真特集)

@nastia_pilepchuk; Dmitry Shabalin/ PA Gallery
 パンデミック時代の”身につけられるアート”。

 マスクはこの春、もっとも重要な“アクセサリー”になった。しかし、マスクはかなり昔から、ロシアのアーティストにとって、創造と豊かなファンタジーの対象物であった。

ウラルの神話 アリサ・ゴルシェニナ

 ニジニタギル(ウラル)出身の女性アーティスト、アリサ・ゴルシェニナは異なる素材を使って実験的な作品を生み出している。化繊綿で作った指のついた靴、柔らかい彫刻、あるいは石膏で乳児を鋳造したりしている。そしてそんな彼女の作品の一つが、布でできた奇抜なマスクである。

 彼女の作りあげたイメージは、ウラルの伝説と神話、特殊な「ウラルのエネルギー」に満ちている。

 アリサ自身の表現 によれば、彼女は「ウラルの昏睡状態」を強く感じているという。「人々はまるで鉄製の箱の中に座って、都市に抑圧されているのだが、そこには動物が住んでいて、自然との統一を求めている。これはフィクションのように捉えられているが、ときどき、このウラルの昏睡状態は、わたし自身よりも現実的だと思うこともある」と話している

“リサイクル”マスク ドミトリー・シャバリン 

 シャバリンはファッション界から芸術界に移ってきたアーティスト。かつて彼はファッション出版業界で働き、複数の雑誌のファッション編集者であった。マスクのデザインを始めたのは2012年。友人とともにパーティに行くためのマスクを作ったのが始まりだというが、このときの実験がとても気に入ったのだそうだ。

 現在シャバリンは“リサイクル”スタイルのマスクで一躍知られるようになった。彼の作品はモスクワの主要な美術館やパリのグラン・パレでも展示された。

 クリスマスツリーのオーナメント、時計、バッジから、焼き型まで、さまざまなものを集めたシャバリンのほぼすべてのマスクは大衆文化から生まれた。あるいは彼自身はこれを「ビデオゲームや漫画、ブロックバスター映画の登場人物といった現代のメディアリアリティのアイコンだと呼んでいる。たとえばあるシリーズ作品はトランスフォーマーのマスクを基に制作された。

そのときの気分でできるマスク アナスタシヤ・ピレプチュク

 アーティストでDJのアナスタシヤ・ピレプチュクはもともと自分の舞台で使うためのマスクだけを作っていた。しかしビーズと鉄、CDのディスク、糸で作った常軌を逸した作品は、のちに本格的なアートプロジェクトになった。

 「わたしはメキシコの画家フリーダ・カーロとビヨークから大きなインスピレーションを得ています。彼らは非常にユニークで、特別です。ビヨークはわたしの大好きなアーティストの一人で、わたしのヴィジョンに彼女が何らかの影響を与えていると思います。ですが、マスクを作るにあたっては、人や自然、文化、気分など色々なものからインスピレーションを受けています」とピレプチュクが語る

 ピレプチュクはヤクーチヤ出身で、幼年時代はブリヤート共和国で過ごした。ブリヤート共和国はシャーマニズム信仰が盛んで、マスクは大きな意味を持つ。

 ピレプチュクによると、彼女は作業を開始する段階では、最終的にどのようなマスクが出来上がるか分かっていないという。多くの作品はそのときの気分が形作られるからだ。「素材を用意し、そこに感情や記憶を描き、あとはそれが形になるまで制作作業に没頭するだけです」と彼女は話している。

紙となま魚 ヴェネラ・カザロワ

 ヴェネラ・カザロワは演劇やモダンダンスの衣装を制作する一方で、さまざまな素材を使ったマスクを作っている。お気に入りの手法は一見、マッチしないものを組み合わせること。たとえば紙と魚(そう、本物の!)などだ。

 カザロワの作品には食べ物を使ったマスクが数多くある。とくに魚は得意の素材だ。これについてカザロワは、「おそらく、魚はある意味でわたしにとってのシンボルなのだと思います。それが何を意味するのかはいつか解るでしょう」と説明している。「わたしは魚を題材にしたおとぎ話や神話をたくさん知っています。それがわたしにはとても情熱的にするのです」。

 彼女は、自分が制作しているマスクはまったく機能的ではないことを認めており、これはアート作品であり、「ヴィジュアル的な日記」のようなものだと話す。「わたしは何もないところからマスクを作ることができるし、どんなものにもマスクを見いだすことができるのです」。

 ただ人々はこれらの作品を違った印象で受け止めるかもしれない。ただのファンタスマゴリアや悪夢のようだと。

ロシアン・サイバーパンク ニキータ・レプリャンスキー 

 レプリャンスキーはサイバーデザインを手がけている。しかももともとは義肢とニューロインターフェイスのデザインから活動をスタートした。義肢は失われた体の部分に必ずしも似せる必要はないと確信していたという。

 その後、彼はマスクに目を向けるようになった。多くのものとの違いは、機能的であるということ。つまり、日常生活の中で身につけることができる(もしサイバーカルチャーが好きなら)という点である。

 「マスクを制作してみて、わたしはこうして個人に作用する文化的人工物を作っているのだなと思いました。人はマスクをかぶるだけで、気分を変えることができるのです。ある種、別のエネルギーを取り入れることができるわけです」。

 レプリャンスキーは自身のマスクブランドを立ち上げる準備をしているところだというが、彼の作品はすでにインスタグラムの拡張現実の中で誰でも「試着」することができる。「コブラ」のマスクだけでも、すでに1億3,000万回、閲覧されている。

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