ソ連の外国人を描いた素晴らしい映画7選

カルチャー
アンナ・ソロキナ
 もっとも閉鎖的でもっとも謎めいた国で、外国人旅行者を待ち受けているものとは?ご紹介する傑作はいずれも一見の価値あり。

1. イタリア人たちのロシアでの信じられない冒険 1974年 

 ローマで死を目前にした高齢のロシア人亡命者が、革命前にレニングラードに財宝を隠したと孫娘に話す。そしてその場所は「獅子の下」であるという重要なヒントを伝える。しかし不運にも、この会話を盗み聞きしていた者が他にも複数おり、彼らは老婆の財宝を見つけようと競い合う。さらにKGBもこの全貌を把握しており、彼らの後を追う。イタリア人たちが「獅子の街」のあちこちを掘り返し、ソ連製の自動車ジグリでカーチェイスをする様子が面白い。 

 

2. 令嬢ターニャ 1989年

 主人公は昼は看護婦として働いているが、外貨を稼ぐ売春婦の「インターガール」という夜の顔を持っていた。彼女の夢は外国人と結婚して、外国に行くこと。そしてある日、客の一人で、レニングラードに住むスウェーデンの技師に求婚される。当時、外国人と結婚するというのはどういうことだったのか?それはまさにスリルそのものであった。ソ連における外国人の生活や仕事を内側から描いたほぼ唯一の作品。

 

3. サーカス1936年

 ソ連での黒人たちの生活を描いた1936年の作品。アメリカのサーカスがソ連に客演に来る。主人公のリュボーフィ・オルロワには褐色の肌の息子がおり、サーカスの支配人はいつも彼女を脅迫している。そこで彼女は息子を連れてソ連の新しい住宅に引っ越す。ちなみに息子役を演じたジェイムス・パタースンは実際に、父親がアメリカ人(世界恐慌のときにソ連に移住した)で、母親がロシア人。ソ連邦解体後、アメリカに帰国した。

 

4. ロシアのお土産(Russian souvenir) 1960年

 外国人を乗せ、北京に向かっていた飛行機がバイカル湖の近くに緊急着陸した。乗客たちは、することもなく、シベリアの人々の生活ぶりを見に行くしかない。しかしそこで彼らはロシアのもてなしの伝統やソ連の生活習慣を知る。映画は今見ると、やや純朴すぎる感があるが、リュボーフィ・オルロワの笑顔の見れば、技術的な欠点には目をつむることができる。

 

5. ルツ 1989年

 1930年代、フランス人の女性ピアニストがソ連の外交官と結婚し、ソ連に移住する。しかし2人を待っていたのはロマンティックな生活ではなく、粛清と収容所送りの時代であった。映画は実話を下敷きに作られた。

 

6. シベリア横断急行 1978年

 1927年(!)、日本の企業家がシベリア鉄道でモスクワに向かう。しかし西側の諜報機関が商談を破談にさせようと、その日本人企業家を殺害するため、到着駅に着くまでに彼の乗る鉄道に殺し屋を送り込む。もちろんソ連の秘密警察はそれを見逃すわけもなく・・・。

 

7. イースト/ウェスト 遥かなる祖国 1999年

 製作されたのはソ連邦崩壊後であるが、戦後を舞台にした物語。1940年代末、革命を避けて外国に亡命したソ連市民の子孫たちが祖国に戻って来る。そんな一人がフランス人の妻と子を連れた医師のアレクセイ・ゴロヴィンだった。しかしソ連に到着してみると、そこでは思いもしなかった事態が彼らを待ち受けていた。そしてもはやフランスに戻ることはできないのであった・・・。