チェルノブイリに関するテレビドラマと映画10選(HBOのもの以外)

John Moore/20th Century Fox,2013
 これらのチェルノブイリに関する映画とテレビドラマのいくつかを見れば、あの1986年の暗い一日に何が起きたのか、完全に思い描くことができるだろう。あるいは、深い人間ドラマに感動したり、恐怖に戦慄したりするだろう。

1.『チェルノブイリ:立入禁止区域』(Чернобыль: Зона отчуждения)(2004年)

 このテレビドラマは、複数のジャンルが融合した異様な作品だ。『チェルノブイリ:立入禁止区域』の位置づけは、ミステリー、ファンタジー、ドラマ、スリラー、ロードムービー、アクション、災害もののミックスで、さらにはメロドラマでもある。時は現在、5人のモスクワっ子が彼らのすべての金を盗んだ泥棒を追っている。泥棒が逃げた先は……なんとプリピャチだ!命を守るため、彼らは怪物や危険人物、歩く死人と戦わなければならない。歴史の流れを変えるためにタイムスリップまでする。このドラマの代替現実の一つでは、カルバート・クリフス原発でチェルノブイリと同様の事故が起きた後に内戦によって引き裂かれてしまった「アメリカ分州国」が登場する。

2.『蛾』(Мотыльки)(2013年)

 このウクライナのミニドラマにおいては、恐怖を誘うのは怪物ではなく、チェルノブイリで起きた現実の出来事だ。原発事故の前夜にプリピャチで出会った2人の十代の若者、パーシャとアーリャのラブストーリーが描かれる。彼らは自分たちがどのような悪夢を経験しているのか想像もしていない。『蛾』は批評家からも視聴者からも肯定的な評価を得ている。インターネット・ムービー・データベース(IMDb)での8.1という高い評価がそれを物語っている。 

3.『チェルノブイリ日誌』(Chernobyl Diaries)(2012年)

 『チェルノブイリ日誌』から迫力あるドラマやHBOのもののようなチェルノブイリ原発事故の精密な分析を期待してはならない。映画の目的はただ一つ、金切り声、血、悲鳴、怪物、恐ろしい軍事実験といった要素で観客を楽しませ、怖がらせることだ。典型的なポップコーンムービーであり、平均的な映画である。傑作からは程遠いが、かといってゴミでもない。

4.『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(A Good Day to Die Hard)(2013年)

 まず浮かぶ疑問は、ジョン・マクレーンがチェルノブイリ原発事故とどう関係があるのかということだ。実は大いに関係がある。『ダイ・ハード』シリーズの傑作とは言えないまでも、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』はブルース・ウィリスをまずはモスクワ、それからチェルノブイリ原発へと導いた。マクレーンは悪党軍団を叩きのめし、ロシアの攻撃ヘリコプターの砲火から逃げる。

5.『故郷よ』(La Terre outragée)(2011年)

 『蛾』と同様、このフランス・ウクライナ合作映画の『故郷よ』は、事故の中心に居合わせることとなった一人の女性の悲劇に焦点を当てている。ボンド・ガールのオルガ・キュリレンコが演じるアーニャは、結婚記念日の1986年4月26日に未亡人となる。チェルノブイリ原発4号炉が爆発した日だ。彼女は力を尽くして生きて行かなければならない。『故郷よ』は、ある一点で原発事故の悲劇を扱った他の映画と大きく異なっている。いくつかのシーンが、ウクライナ非常事態省の厳しい監視の下、チェルノブイリ立入禁止区域で撮影されているのだ。

6.『土曜日』(В субботу)(2011年)

 この映画は、原発事故が起きた最初の日のプリピャチを再現している。住民のパニックを避けるため真実が伏せられる中、ワレリー・カブィシュは原発事故が起きたことを知る。ワレリーはガールフレンドと友人らを連れ、平和で穏やかな市内を走って逃げる。『土曜日』に対しては、批評家と観客で評価が割れている。いくつかの国際映画祭で賞を得ているが、観客はさほど感銘を受けなかった。「完全に理解不能な会話」と「語りの完全な混乱」というのが代表的なコメントだ。しかし演技自体は高く評価されている。

7.『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』(Universal Soldier: Regeneration)(2010年)

 1980年代のアクション映画のヒーローであるドルフ・ラングレンとジャン=クロード・ヴァン・ダムが、彼らに栄光をもたらした往年の役柄で登場する。ジャン=クロード・ヴァン・ダムが演じるリュック・デュブローは、テロリストに占拠されたチェルノブイリ原発へ向かう。テロリストはウクライナ首相の子供たちを人質に取っている。言うまでもなくリュックは地獄を見せる。この映画は2人の有名俳優の熱烈なファンだけにお薦めしたい。

8.『オーロラ』(Аврора)(2006年)

 この映画は非情な人が見るものではない。このウクライナ映画『オーロラ』を見た人は、涙を流さずにはいられないと話す。チェルノブイリ原発事故である症状が大量の放射線を被曝する。彼女の命を救うチャンスは一つ、アメリカへ行って高額の治療を受けることだ。希望がすべて失われたと思われた時、オーロラは有名ダンサーのニック・アスタホフに出会う。彼は文字通り彼女の命を救う。

9.『区域の狼』(Волки в зоне)(1990年)

 映画の中のチェルノブイリを語る時、人は破滅的な映画やホラーを思い描きがちだ。しかし、ソ連の映画制作陣は原発事故を推理小説として描こうとした。1990年に制作された『区域の狼』は、閉ざされた立入禁止区域が、放棄された個人の所有物や設備、宝石を狙う多数の略奪者の標的となる様を描く。略奪者は現地当局や警察によって完全に包み隠されている。だが常にヒーローはいる。この混沌を止めることのできる唯一の人物が、元警部のロジオノフだ。

10.『チェルノブイリ:最終警告』(Chernobyl: The Final Warning)(1991年)

 ある意味で、露英米合作の『チェルノブイリ:最終警告』はHBOのテレビドラマの先駆けと言えるかもしれない。この作品もまた、事故の経緯を時系列に沿って詳しく物語っている。ただし話の中心は、負傷者を助けたアメリカとイギリスの医師らの活動だ。この映画は実際に救護活動に当たった医師の一人、ロバート・ピーター・ゲイルの回想録を基に制作されており、ジョン・ヴォイトやジェイソン・ロバーズが出演している。

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