エルミタージュ、トレチャコフ、プーシキンがヴェネツィアビエンナーレでプロジェクトを実施

 ティントレット、ロシアの舞台美術家、ゲーリー・コルジェフの社会主義リアリズム。

 今年、現代美術の国際美術博覧会ヴェネツィア・ビエンナーレ(511日〜1124日)では類を見ないイベントが行われる。ロシアを代表する3つの美術館が初めて、揃って展覧会を行う。いずれも20世紀から21世紀にかけてのロシア芸術をテーマにしたもので、そのうちの一つは地元ヴェネツィアの伝統にちなんだものになっている。

 国立エルミタージュ美術館のミハイル・ピオトロフスキー館長によれば、エルミタージュ美術館が、ジャルディーニ会場でのロシアパヴィリオンのキュレーターを務める。展覧会の責任を個人やグループではなく、組織が行うというのは史上初めてのことであろう。

アレクサンドル・シシキン・ホクサイのインスタレーション

 ロシア・パヴィリオンではグループ展が行われることになっているが、その中心となっているのは、映画「ファウスト」に対しヴェネツィア映画祭で「金獅子賞」を受賞した映画監督、アレクサンドル・ソクーロフとロシアの演劇美術家アレクサンドル・シシキン・ホクサイとなることが明らかになっている。アレクサンドル・シシキン・ホクサイが出展するインスタレーションのための彫刻作りが現在サンクトペテルブルクのトフストノゴフ記念ボリショイドラマ劇場の工房で行われており、ピオトロフスキー館長は「展覧会は劇場とパートナーを組んで行う」と発表している。

 一方、モスクワのプーシキン美術館とトレチャコフ美術館もヴェネツィアの複数の会場での独自のプロジェクトを準備している。

イリーナ・ナホワ。ビデオ・インスタレーション「終末には
始まりがある」。

 プーシキン美術館はサン・ファンティン教会で、ステラ・アート・ファウンデーションと共同による古典美術と現代美術の国際的な対話形式の作品「最後に始まりがやってくる・・・」を展示する。参加者のリストには、ティントレットやエミリオ・ヴェドヴァ、演出家のドミトリー・クルィモフ、コンセプチュアリストのイリーナ・ナホワ(2015年にロシア代表として出展)、アメリカの映像アーティスト、ハリー・ヒル、スイスのアートグループ「!Mediengruppe Bitnik」などが含まれている。

ゲリー・コルジェフ。3枚続きの絵画「共産主義者たち」の中央部分「掲揚される旗」。

 一方、トレチャコフ美術館はヴェネツィア大学のカ・フォスカリキャンパスの要請により、ソ連の画家ゲリー・コルジェフの個展«Korzhev. Back to Venice»を開く。「社会主義リアリズム」を代表する芸術家で、有名な作品「掲揚される旗」の作家で、ゼルフィラ・トレグロワ館長のお気に入りの芸術家の一人である。トレグロワ館長はローマの展覧会Palazzo delle Esposizioniでもコルジェワ展を開いたほか、モスクワでも2016年に回顧展を開催している。今回の展覧会の名前にある「帰還」という言葉は、コルジェフが1962年に、ヴェネツィア・ビエンナーレのロシア・パヴィリオンで行われた展覧会に参加したことにちなんでいる。現在、大学の展示スペースでは、回顧展が開かれており、およそ50点の作品が展示されている。

 モスクワの美術館は、並行して行われているビエンナーレのプログラムへの参加も申し出ていたが、プーシキン美術館がロシア・ビヨンドに明らかにしたところによれば、いずれの美術館も希望は叶わなかったとのこと。

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