世界最大の都市のひとつに暮らしながらクバレフは独自の手法で、その大都市の中で小さいながらも彼にとって特別大切な街角を絵にしている。
作品には首都モスクワの近代的なビルや人混みは登場しない。代わりに彼の絵に多く描かれているのは美しい教会や19世紀に建てられた建築物、居心地の良い池や公園、小さな中庭である。
またクバレフは作品の中で、イコン(聖像画)や司祭、イコノスタスの前で祈りを捧げる神父などロシア正教の伝統も大切にしている。
同時にクバレフは食べ物などの生活の中の小さな喜びにも目を向けている。伝統的なロシア料理がおいしそうに紹介されている。
光と色の組み合わせの妙により、クバレフの作品は幼年時代の思い出のように映る。絵を見ていると、なにかホッとするようなノスタルジックな温かい気持ちになれる。