米露合作映画はなぜ出来が悪いのか

 ロシア映画がたまにしか成功しない一方、ハリウッドが世界最高の映画工場であり続けていることは周知の事実だ。ただ、米露が合同で映画を制作すると、結果は概して良くない。

『デリバソフスカヤは良い天気、ブライトンビーチはまたも雨』(英:Weather Is Good on Deribasovskaya, It Rains Again on Brighton Beach)(1992)

 このコメディー映画は、ソ連崩壊後最初に作られた米露合作映画の一つで、ソビエト連邦の末期を描いている。冷戦後の米国を舞台に、KGBとCIAが力を合わせ、今や合衆国大統領を脅かすまでに強大化したロシア・マフィアと戦う。

『アメリカの娘』(英:American Daughter)(1995)

 1995年に制作された『アメリカの娘』は、妻に幼い娘アンナを連れて米国へ亡命された主人公アレクセイの物語を描く。4年後米国へ渡ったアレクセイは、アンナが彼とロシアに帰りたがっていることを知る。アンナの誘拐容疑で警察に追われながら、アレクセイは娘とロシアへの帰還を試みる。

『アリーナ』(英:The Arena)(2001)

 ティムール・ベクマンベトフ監督は、『ウォンテッド』、『ベン・ハー』、『エイブラハム・リンカーン/秘密の書』などの作品でハリウッドに名を知らしめる以前、古代ローマが舞台の1974年の映画のリメイクである『アリーナ』を制作していた。低予算の『アリーナ』(20万ドル)はあまり受けず、IMDbの評価はたった2.8点だった。

『監禁』(英:Captivity)(2007)

 『監禁』は偏執狂集団に誘拐され拷問される若いファッションモデル、ジェニファー・ツリーの壮絶な物語を描く。彼女はもう一人の囚人ゲイリー・デクスターの助けを得るが、彼には別の顔があった。

 この映画は評論家に受けが悪く、一部からは「不潔で汚らわしく低俗」とまで評された。ジェニファーを演じたエリシャ・カスバートはゴールデンラズベリー賞の最低主演女優賞にノミネートされたほどだ。

『マスターの書』(英:The Book of Masters)(2009)

 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズがロシア市場向けに制作した最初の映画となるこの作品は、賛否両論を呼んだ。ロシアの民話に基づくこのファンタジー映画は、視覚効果が優れていると称賛されたが、『ロードオブザリング』など他のファンタジー映画からの借用が多すぎる点が批判された。

『コマンド・フォース』(英:The 5th Execution)(2010)

 このアクション映画は、破滅的なウイルスの拡大を防ぐ唯一の望みであるロシア特殊部隊の活躍を描いたものだ。有名な総合格闘家フョードル・エメリヤネンコが出演した唯一の作品でもある。

『ブランデッド』(英:Branded)(2012)

 この米露合作SF映画は、企業ブランドが人々を幻滅させる近未来のモスクワを描き出す。元宣伝担当重役のミーシャ(役:エド・ストッパード)は真実を突き止め、世界に歯止めの効かない新消費時代をもたらそうとする秘密の活動を阻止しようとする。

 マックス・フォン・シドーとジェフリー・ダンバーを起用しながら、『ブランデッド』は評論家から専ら否定的に評価され、「複雑で尊大」と評されたほか、IMDbでも4.7点という低めの点数を得た。

『ディアトロフ・インシデント』(英:Devil’s Pass)(2013)

 レニー・ハーリン監督の手がけたこのホラー映画のプロットは、部分的に1959年にソビエトの旅行客らが北ウラルで謎の死を遂げた実際の事件に基づいている。今日、何人かの米国人学生がこの謎を解くため彼らと同じ道を行くが、彼ら自身死の危機に瀕する。

『ラスベガスへのチケット』(英:Ticket to Vegas)(2013)

 ダニー・トレホ主演のこの米露合作コメディー映画では、4人の男たちが、宝くじで当てた賞品を手に入れるため、モスクワからラスベガスへ旅をする。しかし彼らは当たりくじを誰かに盗まれたことに気付き、冒険が始まる。

『ハードコア』(英:Hardcore Henry)(2015)

 『ハードコア』は、米露合作映画の数少ない成功例の一つだ。ザ・ウィークエンドの楽曲『フォルス・アラーム』の人気MVで知られるイリヤ・ナイシュラー監督が手がけたこの映画は、完全に一人称的な視点で撮影されている。シャールト・コプリー、ティム・ロス、ロシア人俳優ダニーラ・コズロフスキーが出演する一流映画『ハードコア』でも、ナイシュラーは同じトリックを用いている。

『最大の衝撃』(英:Maximum Impact)(2017)

 これはテロ組織を妨害し、世界的な危機を防ごうというCIAとFSB(ロシア連邦保安)の合同作戦を描いたアクション映画だ。『最大の衝撃』はマーク・ダカスコス、エリック・ロバーツ、トム・アーノルド、ダニー・トレホ、ウィリアム・ボールドウィンといった往年のスター俳優を起用した。にもかかわらず、映画はIMDbで1.8点と悲惨な評価を受け、評論家からも散々に酷評された。

『最後の戦士』(英:The Last Warrior)(2017)

 ロシアで興行収入第1位を記録した『最後の戦士』は、ウォルト・ディズニー・カンパニーCISとヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、いくつかのロシアの映画会社の合作映画だ。ロシアのおとぎ話のキャラクターで溢れる魔法の世界に迷い込んだ現代の若いロシア人イワンの活躍を描く。

*ロシア人監督が手がけたハリウッド映画の傑作を知るにはこちら。 

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