ロシアで有名なクマTOP5:猫大のヒグマ、ソ連版プーさん、五輪マスコットなど

Caters/Legion Media
 クマは、ロシアの国民性と権力の最も古いシンボルの1つであり、人気のマスコットでもある。だから当然、民話、伝説の重要なキャラクターだし、ロシアの多くの都市の紋章にも見ることができる。今日、ロシアで最も広く知られているクマ5匹をご紹介しよう。

1. 映画スター「ステパン」

 1993年に、ロシアのふつうの夫婦、ユーリーさんとスヴェトラーナさんは、生後3ヶ月の子グマを家に引き取った。優しく育てたおかげで、魅力的なクマになった、このステパン君は、人間に対して攻撃的でも敵対的でもない。

 彼はこの家族といっしょに暮らしており、俳優とモデルとして活躍している。パーヴェル・ルンギンやアレクセイ・ウチーチェリのような有名な監督による映画に出演し、テレビ番組やコマーシャルにも定期的に出ている。

2. 世界最小のクマ「セーニャ」

 セーニャはヒグマだったが、まるで大きな猫みたいに見えた。どういうわけか、体長45cm、体重20kgしかなかった。ヒグマのオスの成獣は、体長2.5~3m、体重は250~500kgに達するのだが。

 セーニャは野生の環境で見つかったので、自然に戻す計画もあったが、あまりに虚弱だったので、ずっと獣医といっしょにいた。

 セーニャは、人間に似た行動をして、周囲を驚かせた。枕に頭をのせ、自分で自分に毛布をかけて眠り、人間と友だちになった。だが、他のヒグマたちは彼に敵愾心を示した。あまりにも見た目が異なっていたからかもしれない。

 セーニャは、もう少しで正式に「世界で最も小さなクマ」として認定されるところだったが、ギネスブックの承認が届くわずか数日前に死亡した。

3. ヤロスラヴリ市のマスコット「マーシャ」

 古都ヤロスラヴリ(モスクワ北方250㎞)は、市のクマの紋章を誇りにしている。少なくとも17世紀以来、この紋章が使われており、それは警戒心と強さを象徴している。マーシャは、ヤロスラヴリの「クマ精神」の現代的表現だ。スイス・ベルンのマスコットであるクマの話をちょっと思わせる。

 マーシャは子グマのときに、ある男性が密漁者から買い取って、サーカスに売ろうとした。幸いマーシャは、ヤロスラヴリ国立博物館・自然公園に落ち着いた。そこの職員は檻を作った。檻には、クマのねぐらを再現した洞穴もある。これが今のマーシャの家だ。

 彼女は、クマとしてはかなり高齢で、30歳を超えている。にもかかわらず、博物館に来てからマーシャは病気したことがない。今や彼女の体長は2m以上、体重は250㎏だ。

4. モスクワ五輪のマスコット「ミーシャ」

 ソ連で人気があった、児童アニメの画家、ヴィクトル・チジコフがデザインしたミーシャ(ロシアではミーシカと言う)は、1980年のモスクワオリンピックのマスコットだ。ミーシャは、おもちゃ、エンブレム、バッジなど多数のグッズに登場した。

 オリンピックのために、8m大のミーシャのヘリウム・ゴム風船が作られた。1980年8月3日、モスクワ五輪閉会式で、ミーシャの風船が空に放たれ、ソ連全土で中継された。今日にいたるまでそれは、ソ連末期の最も感動的な公式セレモニーの1つとして記憶されている。

5. ロシア版「クマのプーさん」

 1960年代後半に、ソ連のアニメーションスタジオ「ソユーズムリトフィルム」が、「クマのプーさん」のアニメを制作した。だがこのソ連版は、ディズニーのアニメとはかなり違う!ソ連版のプーさんは、いつも何か心配し、困惑し、あまり気が利かない。

 このキャラクターを愛らしいものにするためには、声優の名人芸と様々な技術による「魔法」が必要だった。ソ連版プーさんは、名優エフゲニー・レオーノフが演じたうえ、しかもその声のスピードを上げて、より滑稽に聞こえるようにした。こうして1969年以来、プーさんのアニメはすべてのロシアの子供におなじみだ。

 

ボーナス:画家シーシキンのクマ

 これらのクマには名はないが、ロシアの子供がなじんだ最初のクマのヒーローのひとつ。この絵画「松林の朝」は、イワン・シーシキンとコンスタンチン・サヴィツキーによる1889年の作品だ。ソ連時代には、この絵の一部が、有名なキャンディー「ミーシカ・コソラープイ(ぶきっちょな子グマ)」の包装紙に使われた。そのため、これらのクマはあらゆるソ連の子供のお気に入りになった。

 おもしろい事実がある。イワン・シーシキンは木や植物を描くのは大変な名人だったが、動物となると尻込みした。そこで彼はサヴィツキーにクマを描くように頼んだ。ところが、トレチャコフ美術館の創設者でコレクターのパーヴェル・ トレチャコフは、シーシキンから絵を購入したとき、あまり知られていないサヴィツキーの署名を削除し、絵の「価値」を上げたという。

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