サハリンでストリートアートが街の道案内に(写真)

カルチャー
ロシア・ビヨンド
 およそ一年前、ストリートアートの愛好家たちが街の壁に最初の作品を描いた。それが今では役所や市民がもっと新しい作品を描いてほしいと依頼するようになった。

 ロシア極東にあるサハリンのアーティストコミュニティーである「アートサハリン」は、最近、彼らが今までトライしたことがなかったストリートアートに挑戦することに決めた。そしてそれはたちまちコミュニティーの主要な仕事になった。地元の人たちから熱狂的な反応を得たのである。サハリンには現在、13人しかストリートアーティストがいないのだが、プロジェクトの多くは彼らの共同作業によって行われている。

 「アートサハリン」のアーティストで、クリエイティヴディレクターのアレクセイ・ドゥルジニンさんは、ロシア・ビヨンドからの取材に対し、「サハリンではストリートアートはとっても新しいもの。だから反響も大きかった。(ポジティヴなものもネガティヴなものもあるが、もちろん好意的な意見が多い)」と話す。

 「アートサハリン」のグラフィティには暗いものや低俗なものはなく、むしろ芸術的美しさを重要視している。作品の背景となっているコンセプトがとっても重要なのだという。

 これについてアレクセイさんは「ただ、世の中をもっと美しくしたいんだ。われわれにとっての世界とはサハリンとクリル諸島なのだけど・・・」とアレクセイは語る。

 「アートサハリン」は役所と住民に事前に下絵を見せて確認を取ってから、マンションの壁に作品を描く。ほとんどの作品は装飾としての意味を持っているだけでなく、通りの名称が入っているなど、道案内的な要素を持っている。たとえば、ユジノサハリンスク郊外のダーリヌィ(遠いという意味)地区では、まったく同じ設計の建物や同じ名前の通りがあるのだが、グラフィティが描かれているおかげで迷わずに済むようになったという。 

  アートサハリンの最初の作品は役所の許可なしに描かれた。聖書に書かれている文句「隣人を愛せよ」をもじって、「ダーリヌィを愛せよ」と地区の名称が含められている。

 モスクワ通りと組み合わせられているのはクレムリン。明解である。 

 クリミアとサハリンは海に近いという以外はあまり共通性がない。そこでアーティストたちはクリミア通りに、独自の灯台とナトゥースカという女船員を描いた。

 深紅の薔薇という名の小道に描かれた壁画には、薔薇を手に、ダーリヌィまではまだ遠いのかと訊く宇宙飛行士がデザインされている。一本の線が壁面を横切っていて色のトーンがその上下部分で変えられている。

 こうしたオフィシャルな作品と並んで、アーティストは地元で作品を作ったりもしている。これはヴァンダリズム的芸術行為の結果である。エセーニン通りに、「農民」詩人エセーニンの肖像画と詩が描かれている。