レフ・トルストイが、1891年に「Pall Mall Budget」誌に発表された、John Lubbock による古今の傑作100冊のリストを読んだとき、彼は満足どころか大いに不満だった。そこで彼は、自分が選んだ100冊のリストを作ろうとしたが、無理な仕事であることに気付いた。それでも、出版に携わるミハイル・レデルレ宛の手紙のなかで、自分が最も感銘を受けた45冊のリストを示した(リンクはロシア語)。
そこには、宗教的な本、古代ギリシャや中国の哲学から、ロシアの詩やあまり知られていない小説にいたるまで、多種多様な本があった。ロシア・ビヨンドは、そのリストを読んで、偉大なるレフが大いに楽しんだ本で、しかも入手しやすく面白いものを選んだ。
子供の頃(14歳まで)
1 『旧約聖書』、「創世記」。トルストイは「ヨセフの物語」の影響を「甚大」と書いている。
2 『アラビアンナイト』(『千夜一夜物語』。とくに「アリババと40人の盗賊」と「カマル・アル・ザマン王子の物語」)
14歳から 20歳
3 『新約聖書』の「マタイによる福音書」の「山上の垂訓」の部分
4 ジャン=ジャック・ルソー『告白』
5 詩人アレクサンドル・プーシキンの韻文小説『エフゲニー・オネーギン』
6 ドイツの劇作家フリードリヒ・フォン・シラーの戯曲『群盗』
7 ニコライ・ゴーゴリのいくつかの作品。『ヴィイ』、『外套』、『ネフスキー大通り』、畢生の大作『死せる魂』など。
8 チャールズ・ディケンズの長編『デイヴィッド・コパフィールド』
9 詩人ミハイル・レールモントフの長編小説『現代の英雄』
20歳から35歳まで
10 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの恋愛叙事詩『ヘルマンとドロテーア』
11 ヴィクトル・ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』(『ノートルダムのせむし男』)
12 古代ギリシャの詩人ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』(翻訳で)
35歳から50歳
13 古代ギリシャの詩人ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』(ギリシャ語原文で)
14 ヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』
15 イギリスの小説家、アントニー・トロロープの長編『バーセット家の物語』
16 イギリスの小説家、ミセス・ヘンリー・ウッドの小説(トルストイはとくに『イースト・リン』を念頭に置いているとみられる)
17 ジョージ・エリオットの小説(トルストイがJohn Lubbockのリストに不満だったのは、作者名しか挙げられておらず作品名が記されていないこともあったが、トルストイもいくつかの項目では同じことをやっている…)
50歳から63歳
18 すべての 福音書(ギリシャ語原文で。がんばって読んでみようではないか!)
19 『旧約聖書』、「創世記」(ヘブライ語で。まだマスターしていない?トルストイが知ったらがっかりするかも)
20 アメリカの政治家、経済学者、ヘンリー・ジョージの『進歩と貧困』
21 ブレーズ・パスカルの『パンセ』
22 古代ギリシアのストア派の哲学者、エピクテトスの著作。
23 孔子と孟子
24 フランスの詩人、作家エドゥアール シュレーによる『偉大な秘儀参入者たち』(この本の仏陀に関する部分はトルストイに大きく影響し、以来彼は、仏陀についての本を集め始め、エッセーも書いた。トルストイへの仏教とヒンドゥー教の影響についてはこちらを。
25 『老子道徳経』(トルストイは、この書の露訳に携わった最初のロシア人の一人である)。