竹内正実さんが代表を務める電子楽器メーカーMandarin Electronが開発、製造、販売している。竹内さんは、2016年12月にコンサート中に脳出血を起し、しばらく療養していたが、このほど、創造プロジェクト「テルミン侍」の一環として、舞台に復活した。
コンサートの第一部では、竹内さんは大型のテルミンで、ミハイル・グリンカの作品、カミーユ・サン=サーンスの「白鳥」、ジュリオ・カッチーニの「アヴェ・マリア」(実際には1970年ごろにソ連の音楽家ウラジーミル・ヴァヴィーロフが作曲)などを演奏した。
第二部では、アンサンブル「マトリョミン」がマトリョミンを持って舞台に登場し、竹内さんの指揮で、「モスクワ郊外の夕べ」、「ロシアより愛をこめて」(ライオネル・バート作曲)などのいくつかの人気曲を奏でた。
最後のメドレーの一つは、「スコットランド民謡アメイジンググレース」と題され、自身のマトリョミンを持参した観客たちが参加した。
コンサートは、名付けて「復活の日」。創造プロジェクト「テルミン侍」の一環として開催された。
竹内さんは、2016年12月に、横浜で行われていたコンサートのステージ上で脳出血を起したにもかかわらず、最後まで演奏を続け、演奏後に救急車で病院に運ばれた。以来今日まで竹内さんは療養生活を送ってきた。舞台に復帰できたのは、友人、仲間のおかげだが、自身のテルミンにかける情熱によるところが大きい。
自分の世界記録を更新したい
竹内さんがロシア・ビヨンドに話してくれたところでは、今のところ将来に向けての大規模プロジェクトはないが、自分が参加して2013年に打ち立てた世界記録を破りたいと考えているそうだ。同年、竹内さんらは、ステージ上で同時にテルミンを演奏する奏者の数で記録を立てている。竹内さんによると、マトリョミンを演奏する人の数を倍に増やし、その際にロシアからも奏者を招きたいとのこと。
「前が272人で記録を持っているので、それも増やしたい。前回は日本人だけだったんですよ。今度はロシアの方にいっぱい参加してほしいと思っています」と竹内さん。
竹内さんの考えでは、ロシア人と日本人が共演できれば素晴らしい。テルミンはロシア生まれだし、マトリョーシカは日本起源だから、と。
その意味で、竹内さんが考案したマトリョミンは、日露両国の文化の融合と言えるだろう。