イリヤ・ラグテンコ
ウラジーミル・アスタプコービチ/RIA Novosti東京で11月中旬、「ロシアの季節」の一環として、週祭「モスクワの遠く2017」が開催される。ここでは日本のロシアの現代文化を知ることができる。
その目玉イベントが、ムミー・トローリのライブ。極東ウラジオストク出身で、「ロッカポップス」(ポップ・ロック)という独自のスタイルの音楽は、1990年代末にロシア全土で流れていた。ムミー・トローリは現在、ツアーを活発に行っている。ラグテンコ氏は民族音楽外交を行いながら、ウラジオストクでアジア、アメリカ、ヨーロッパのアーティストも参加する大音楽祭「V-ROX」を主催している。
-日本にはよく来るのですか。
そうですね、最近は特に来ていますね。
-あるインタビューで、1980年代にラジオで日本の音楽を聴いていたと言っていましたが。
そうです。いまだにラジオから録音したカセットテープをぜんぶ持っていますよ。今でも時々それを聞いて、誰がうたっているのか調べたりしています。ラジオ局「マヤク」以外、音楽情報は乏しかったですから。自分の音楽の嗜好に、日本の音楽が少なからず影響をおよぼしていると言っても過言ではありません。
-当時のミュージシャンの音楽でまだ聴いているものはありますか。
はい。1980年代の「Xジャパン」というバンドですね。多くのバンドはもう存在していませんが、Xジャパンはまだ活動しています。ヨシキさんとも会うことができました。おかげさまでヨシキさんとは親交があります。自分に近い日本の音楽は、V-ROXに出演した「エゴラッピン」や「ラブ・サイケデリコ」などです。2000年代の波ですが。
-2016年、「ヴィジュアル・ジャパン・サミット」に出演した初のロシアのミュージシャンとなりましたが、また参加したいと思いますか。
はい。あれは特別なイベントでした。ムミー・トローリはビジュアル系のコンセプトやスタイルには完全に一致していませんが、素晴らしい日本の友だちやミュージシャンの知り合いがいました。こういったジャンルの狭い特殊なことが、むしろ視野を広げてくれることもあります。
-日本のファンにはムミー・トローリのどの曲が一番人気ですか。今回、日本語でうたう予定はありますか。
すでにいくつかの日本語の作品がありますが、実感として、日本のファンはロシアのファンのように、「メドヴェディツァ」や「ウラジオストク2000」のような元気な曲が好きみたいです。両国のファンの好みはここでは同じですね。
-ロッカポップスという名称はどうやって生まれたのですか。日本で生まれたというのは本当ですか。
初めて日本に来た時に生まれました。当時は音楽だけでなく、レコード、コンサートといった視覚的な面ですべてが衝撃的だったわけです。それで、このような特殊なロック・ポップ音楽を定義づけようとしていたら、仲間の誰かがこれは「ロッカポップス」だと言ったんです。ロシアの記者にこの名称を冗談で何度も言っていたら、名称が独立していったんです。すでに日本の音楽とは何の関係もなくなっていましたが。
-日本ではロシアのクラシック芸術がよく知られています。でもロシアの現代芸術はそうではありません。日本の人に紹介したいものはありますか。
少しずつ始めた方がいいこともあります。クラシック芸術は長い時間をかけて広まっていったものです。現代文化について言うと、ロシア国内であまりまじめに捉えられていませんよね。もちろん、技術の進歩にともなって、情報がすごく速く知られるようになりました。ロシアの若者は、日本の現実とは無関係に、ランダムに日本のグループの情報を得ています。正直、自分の頭の中にも、自分でまだどうやって整理すべきか把握できていない、中途半端な情報がたくさんあります。整理する必要なんてなくて、接点を見つけるようにすればいいだけなのかもしれませんが。
-次のアルバムはいつリリースされますか。
今年です。すでにレコーディングは終わっています。
*週祭「モスクワの遠く2017(Far From Moscow 2017)」は11月13~20日に東京で行われる。ムミー・トローリのライブ以外に、プログラムには「ホワイト・ラビット」レストランのウラジーミル・ムヒン料理長による現代ロシア料理や、若手ピアニストのキリル・リフテルの演奏、DJのキト・ジェンペレのパフォーマンスなどがある。
もっと読む:
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。