ソ連の「雪解け」の芸術をトレチャコフ美術館で

「通りを走り抜ける」

「通りを走り抜ける」

=ユーリー・ピメノフ作/トレチャコフ美術館
 モスクワのトレチャコフ美術館で展覧会「雪解け」が始まった。これは、ソ連のニキータ・フルシチョフ治下の「雪解け」期を対象としたものだ。

 「雪解け」は15年間続いた。すなわち1953年にヨシフ・スターリンが死去し、政治犯の名誉回復が始まり、公式にスターリンの個人崇拝が暴露されてから、1968年にソ連軍がチェコスロバキアに送られ、「人間の顔をした社会主義」の神話が粉砕されるにいたるまで。

 この展覧会は、歴史上のこの時期が芸術的な手法でいかに映し出されたかを示すものだ。

 例えば、ユーリー・ピメノフの「ソビエト・ロマンティシズム」の絵画や、「荒いスタイル」のヴィクトル・ポプコフの、「共産主義の明るい未来」の建設者群像がある。

「ブラーツクの建設者たち」=ヴィクトル・ポプコフ作/トレチャコフ美術館
「グラジオラス」=タヒル・サラホフ作/トレチャコフ美術館
「将来の町での結婚式」=ユーリー・ピメノフ作/トレチャコフ美術館
「カップル」=ヴィクトル・ポプコフ作/トレチャコフ美術館
「カスピ海の辺で」=タヒル・サラホフ作/トレチャコフ美術館
「切れ目」=エリク・ブラトフ作/トレチャコフ美術館
「コンポジション」=ウラジーミル・ヤンキレフスキー作/トレチャコフ美術館
 
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 また日用品の分野での、工業デザイナーの作品もあれば、宇宙開発分野のそれもある(世界初の人工衛星も展示している)。当時の繊維工業の製品の見本と写真もあり、そのなかには、この頃キャリアを開始した「赤いカルダン」こと、スラヴァ・ザイツェフの映像も展示。

 その一方で、ソ連の「非公式な芸術」も紹介されている。ウラジーミル・ヤンキレフスキー、エリク・ブラトフなどソ連最初の抽象絵画を描いた人たちで、「雪解け」後に亡命した。

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