トレチャコフ美術館のゼルフィラ・トレグロワ館長=
ヴァレーリイ・シャリフーリン撮影/タス通信トレグロワ館長はロシアNOWの取材に対し、次のように述べた。「トレチャコフ美術館の別館を国内に開設すべきかどうかということについて、わたしたちは長い時間をかけて検討しました。というのもこれは単に展覧会のために集めた作品であるだけでなく、来館者にどう対応するのかというノウハウを見せる重要な場となるものだからです。わたしがトレチャコフの館長になる前の2015年にノヴォシビルスクに初の別館がオープンするはずだったのですが、財政的な理由から中止せざるを得なくなりました。しかしそのとき、一般の人々、またプロの方々から、トレチャコフの別館を地方に開設すべきだという意見が非常に多く寄せられました。そこで今回のプロジェクトに着手しようと決めたのです」
2週間前、トレチャコフ美術館はウラジオストクのプリモルスカヤ美術館で、トレチャコフのコレクションを紹介する展覧会をスタートさせた。そのときウラジオストクを訪れた美術館の役員らが別館の開設に適した場所を視察し、いくつかの候補地の中から、ウラジオストク中心部のプリモルスカヤ美術館の近くにある20世紀初頭の建物を選んだ。
トレグロワ館長は別館が開設される場所とオープンに向けた動きについて、次のように述べた。「この2つのモダニズム様式の建物は、ガラスのアーチ型の曲面天井でうまく繋がれていて、内部に屋根つきの庭があり、レクチャーからコンサートまで幅広いイベントを行える場所となっています。現在、わたしたちは建物を美術館として使用するための再建とリノベーションを行ってくれる設計士を探しているところです。またこれと並行してスタッフの人選を行うと同時に、そのメンバーの教育をモスクワの大学で行うという課題に取り組んでいます」
トレグロワ館長によれば、選ばれたのは非常に良い場所だという。その建物はサンクト・ペテルブルグのエルミタージュ美術館の別館がオープンすることになっているプリモルスカヤ美術館から歩ける距離にあるからだ。つまりここに美術館地区が形成されることになる。
さらにトレグロワ館長は展覧会のプログラムは何より地域の特性を考慮したものとなる点を指摘し、次のように語っている。「プリモルスカヤ美術館に収蔵されている作品のほとんどは、かつてトレチャコフ美術館に収められていたものです。というのは、1930年代にボリシェヴィキがトレチャコフ美術館のコレクションを地方都市に分配したからです。そこで、たとえばウラジオストクにあるようなリュボーフィ・ポポワの作品は、モスクワにさえ存在しないという状況になりました。展示プランを組み立てるにあたっては、このような事実、また地元住民を始め、日本や中国からやってくる数多くのツーリストたちの関心を考慮するつもりです」
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