サハ共和国のハッピーな冬

サハのサンタクロースとも言えるチスハアンは、地元の冬の雄牛の伝説をもとに最近考案された存在だ=タス通信撮影

サハのサンタクロースとも言えるチスハアンは、地元の冬の雄牛の伝説をもとに最近考案された存在だ=タス通信撮影

サハ共和国には、極寒、温かいウォッカに凍った肴、焼いた馬肉など、一大観光地に変貌することができるぐらいのエキゾチックな要素がいっぱいだ。

 サハ共和国は、総面積300平方キロ強(フランス5個分またはインドの広さに相当)の、ロシア最大の面積を誇る地域だが、もっとも人口が少ない地域のひとつでもある(人口約95万人、人口密度0.31人/km²)。

 ここでは昨年に引き続き、今年も「冬がヤクートで始まる」フェスティバルが開催されている(ヤクートとはサハの旧名または別名)。このフェスティバルの見どころは、ロシアのマロースじいさんとチスハアン(地元のおとぎ話に出てくる冬のおじいさん)のコラボレーションと、ストロガニナ・フェスティバルだ。

 

サハのサンタクロース「チスハアン」 

 サハのサンタクロースとも言えるチスハアンは、地元の冬の雄牛の伝説をもとに最近考案された存在だ。ちなみにこの雄牛の角は、極寒のシンボルである。チスハアンはとても優しいひげのおじさんで、帽子には大きな角がついている。

 永久凍土を彫って室温年中マイナス7度の洞穴をつくり、そこをチスハアンの住み家として、ミロのヴィーナスなどの氷像や氷のバーを設置した。氷のバーはロンドンやモスクワなどにもあるようだが、これは一応ここで考案されたとなっている。ウォッカやシャンペンが、氷を削ってつくられたグラスに注がれるのだから、ムード満点だ。冷たいアルコールの肴には、ストロガニナがふるまわれる。これは氷下から釣り上げた魚を素早く凍らせ、食べる時に薄く削る、冷凍生魚の料理だ。ヤクート人は豚肉や鶏肉を食べず、北方の民の主な食糧であるトナカイ肉や馬肉を喜んで食べる。

 

ストロガニナ・フェスティバル 

 ストロガニナ・フェスティバルには事前コンクールがあり、参加グループがストロガニナでつくった作品を審査員に提示する。もっとも美しかった作品は、この地域の非公式なシンボルのひとつであるマンモスだ。

 さて、フェスティバル本番になると、男女2人1組になって、男性が冷凍魚を切り、女性がそれを美しく重ね、時間と美しさを競う。審査員になるのは、漁師、大食漢、市政府関係者などだ。

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 ホールでは同時に魚、ナイフ、美しいドレス、帽子、魚の皮でつくられた手袋、馬毛の帽子などが販売されている。競争以外でも、地元の舞踊団が踊りを披露したり、地元のモデル学校に通うヤクート人モデルが、地元でつくられた毛皮のコートや伝統的な衣装を着て、ファッションショーを行ったりする。ヤクート人女性はお祝いの時、最大17キロにもなる装飾品のセットを身につけるのが伝統で、モデルはシルバーの飾りをたくさんつけている。

 ヤクート人の普段着には、必ず伝統的な要素がひとつは加わるようになっていて、ビーズの豪華な装飾がつく、トナカイの毛皮でつくられたウント(長靴)をいつもはいている。この長靴は高価だが、非常に温かい。

 

サハ共和国の多様な顔 

 サハ共和国政府は、ここを多くの旅行者が訪れる場所にしたいと考えているが、それはトナカイの毛皮を身にまとった原始的な人々、舞踊やストロガニナ、喉歌、毛のフサフサした馬がいるからというだけではなく、永久凍土研究所などの研究所、ロシア最北の国立大学、石油、ガス、ダイヤモンド、金、ウランなどの複雑な製造業があることから、出張旅行なども意図していると解釈できる。共和国の首都であるヤクーツクでは、建物の基礎の代わりに永久凍土に杭を打ち込んで、多層階建築物を建てている。また、ここには体の不自由な人を支援する優れたプログラムがあり、低層住宅にも車イス用のエレベーターが設置され、どの公共の建物にもスロープが設置されている。ヤクーツクはとても文明的な街だ。

 でも共和国政府の上層部の意図は明白である。ビジネス目的の旅行をする人は限られているし、ウラン鉱山やダイヤモンド加工工場になんて到底入ることはできない。エキゾチック、民族の伝統、シャーマニズム、ストロガニナとウォッカを楽しみたい人の方がはるかに多い。こういった人々は旅行者としてサハ共和国を訪れるだろうし、共和国政府だってそれを期待していることは間違いないだろう。