ロケット「プロトンM」、バイコヌール宇宙基地=
セルゲイ・カザク/ロシア通信打ち上げロケット「プロトンM」(国際宇宙ステーション向けの運搬ロケットなどとして使用されている)の燃焼検査で欠陥が見つかったと、ロシアの「コメルサント」紙が25日、報じた。エンジンの製造の際、不適切な材料が使用されていたことが明らかになった。通常、貴金属が使用されるが、簡素な材料になっていた。これにより、耐熱性が不足していた。
ロスコスモスはすべてのプロトンMの発射を取りやめ、そのエンジンを追加的な検査のために製造工場へと戻した。
宇宙政策研究所のイワン・モイセエフ所長は、ロスコスモスの措置を正しいと考える。「ロケットのエンジンは、ほとんどの材料が溶融するような温度で作動している。エンジンには複雑な冷却システムが使われている。しかるべき材料が使われていないことが1件でも判明すれば、ロケットには危険ということになる」
ロシアの打ち上げロケットのエンジンに問題があったのはこれが初めてではない。昨年12月1日、打ち上げロケット「ソユーズU」のエンジンの故障により、搭載されていた補給船「プログレスMS-04」が失われたのだ。この高度192キロで崩壊したエンジンを製造したのも、今回と同じ「ヴォロネジ機械工場(VMZ)」である。
検証の結果、プログレスMS-04墜落の責任はVMZにあることがわかり、その最高経営責任者は辞任。ソユーズUのタイプは追加検査のために回収された。「このような場合、事故原因の特定および排除を行う委員会が設置されるし、排除されるまでロケットは打ち上げられない」とモイセエフ所長。
「エンジンを回収するなら、回収原因だけでなく、他の弱点にもとづいて検査が行われるはず。すぐには完了しないこと」とモイセエフ所長。このように、プロトンの次の打ち上げは初夏以降になりそうだ。コメルサント紙によれば、このタイプのロケットは、2017年に打ち上げが予定されている27基のうち少なくとも8基あるという。
モイセエフ所長によれば、各回の打ち上げがロケットの種類とその積載能力に密に関係しているため、プロトンの代わりに他の打ち上げロケットを使うことは無理なのだという。ラジオ局「コメルサントFM」のインタビューで、ロスコスモスのイーゴリ・ブレンコフ広報責任者は、打ち上げ中止に関連して経済的損失を被っているが、「地上で(故障の)原因に対処」することが最優先だと話した。打ち上げのスケジュールは数週間以内に修正される。
VMZ製のプロトンのエンジンを検査するのは、科学生産合同体「エネルゴマシュ」。そのイーゴリ・アルブゾフ最高経営責任者はコメルサント紙に、エネルゴマシュの傘下にプロトンのエンジンを開発した設計局「ヒムアフトマチキ」があるため、エネルゴマシュの専門家はエンジンの技術特性に精通しており、追加的な技術管理ができると話した。
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